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転職完了です!


「で、これが例の女神像か」


 二階の奥、祭壇上(さいだんじょう)にはそれらしき彫刻(ちょうこく)が設置されていた。


「彼女は戦神とも(おそ)れられた女神さまだ。好んで強者と戦い、そのすべてを討ち取ってきたという伝承(でんしょう)が残されている」


「フィイはこういうことに詳しいんだな。おかげでまた新たな知識が得られた、ありがとう」


 お礼にフィイの小さな頭を撫で回す。背丈が低いということもあって、彼女の頭はいつもちょうどいい高さにあった。


「う、うむ……また頼りにしていい、われの知っていることなら、なんでも教える」


「ああ、その時はまたお願いするよ」


 どうしてフィイが頬を赤らめているのかはさておき、お待ちかね二次転職の時間がやってきた。


 前回同様、女神像の前で黙して祈りを捧げる。


 見知った電子パネルはその直後に現れた。


〝ようこそ冒険者さま。新たな力の獲得が可能です。転職を行いますか?〟

《YES/NO》


 YESを押下。


〝ご希望の職業を一覧から選択してください〟


《ミストルテイン》


 狙い通り、今回も隠しジョブが発生。


 弓矢と剣、二つの顔を持つ北欧神話のアイテム名にちなんだジョブは、その由来に等しく、すべてのアーチャー系列スキルを習得可能だ。


 条件はLv100時点で、体力、知力、幸運の数値が等しいことと前職がレヴァーテインであること。これもまたWIKI(ウィキ)には載っていない秘密のジョブだ。


「――そっちもちょうど終わったみたいだな」


 二人のプロフィールを確認すると、そこには二次転職後のスキル名が記されていた。


 コトハは二刀を操る狂戦士〝バーサーカー〟に、


 フィイは神聖なる魔法使い〝ホーリーマスター〟に転職していた。


「アルトも予定通り済んだみたいね。職業名は〝ミストルテイン〟……また知らないジョブだわ、でもどうせ強いんでしょ?」


「まあな。全てのアーチャー系列スキルを習得できる」


「それはまたとんでもない性能だ。前衛も後衛も、アルトくんひとりで完結してしまうのではないだろうか……」


「そんなことない、二人にはいつも助かってるよ。感謝してる」


 本心からの礼を伝えると、フィイは口角を緩めて、コトハはまだなにか言いたそうに(うな)っている。彼女に関してはいつものことだから放っておこう。


「今日はかなり遅くなっちゃったな。今から宿屋でも探して明日にはIDに――」


 その時。


『オオオオオオォォ!!』


 やにわに鳴り響いた男たちの歓声(かんせい)が集会場を震撼(しんかん)させる。


 どうやら一階で何かが起きたようだ。


「な、なになに? なにがあったの?」


「あまり大声を出さないで欲しいのだ。驚いてしまうではないか」


 あまりに突然の出来事で、怖がるコトハとフィイが抱き着いてきた。あ、暑苦しいのだが……。


「たぶんさっきの騒ぎだろうな。ほら、二人の男がいがみあってただろ? ウルクともう一人――ルドラとかいう男か。その決闘が決着したみたいだぞ。まあ結果は見るまでもないだろうが」


 一階を見下ろすと、そこには床に突っ伏したウルクと、高笑いを決めているルドラの姿が。そうだろうなとは思ったけど、これでウルクはまたデスペナルティによって装備やアイテム、経験値とルクスを失ったわけか。冒険者業は廃業になるかもしれないな。


「こいつ――卑劣(ひれつ)なことを! 今すぐにウルクの装備を返せ!!」


 彼のパーティーメンバーである男が()えた。


「馬鹿が、そんなことするわけねえだろうよ。返してほしけりゃあ力づくで取り返すんだな。お前も〝決闘〟するってんなら、おうともよ、堂々と受けて立つぜ」


「くっ、くそ、こいつ……!」


 さすがに自分たちでは敵わないと(わきま)えているのか、彼のパーティーメンバーはすんでのところで踏みとどまっている。


 ルドラとかいう男は――Lv150、職業ファイター系列のハイランダー、装備ミスリル防具一式と、まあまあな中級冒険者だ。いやこの都市じゃあかなりの強者に分類されるかもしれない。


「あの男気に食わないわ。格下の冒険者にふっかけて、装備品をぶんどるだなんて」


 コトハが下をねめつけて言った。


「まあなあ……胸糞は悪いだろうけど、この都市じゃあんなのごく普通の出来事さ。強者も弱者も常に戦いを強いられている。闘争都市っていう名称はだてじゃない」


「……そうね。わたしもああならないように気を付けないと」


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