051
ご覧いただきありがとうございます。中ボス終わりです!
「主我が神よ、我爾を頼む、惠みを以て盾の如く、彼を環らし衛り給え――
リンカーネイション!」
間一髪のところでフィイが〝一度限りの不死〟をコトハに付与する。
その甲斐あって、大王ゴブリンからの一撃を受けても彼女は戦闘不能になることなく、すぐさま身を起こして窮地を脱した。
でかしたフィイ。どうやら俺の方も間に合ったようだ。
「そこまでにしておけ――ただのMOB風情が付け上がるな」
なおも追い打ちを掛けようとする小癪なゴブリンに、長杖を掲げて粛清する。
スキル〝シューティングスター〟。
忽然と空間に現れた計十三の燃え盛る隕石は全て、俺のスキルによる召喚物だ。
本来、メイジの最上位職であるアークメイジのみが習得できるスキルは、準備時間こそ長くあれ、HIT数が多いにも関わらず単発2.0と圧巻のスキル係数を誇っている。
「――ッ!!」
そして降下。
獣に絶叫させる余地もなく、鏖殺の流星は矢も楯もたまらぬ勢いで降り注ぐ。
エナジー、ブレス、ウォークライ、激震、そして等価交換。
これらのバフによって威力が跳ね上がった結果、断罪の星々が与えたダメージは一発7,560。十三全てを浴びればトータルダメージは98,280にまで達した。
HP5,000の中ボス? そんなものは知らない。このスキルがあれば大王ゴブリン二十回弱は殺し尽くして余りある。――かくして、幕切れだ。
「大丈夫だったか? 危ないところだったけど無事でよかった」
未だペタンと座り込んでいるコトハに手を差し出す。
けれど彼女は呆然とするばかりで、なかなか反応をしてくれなかった。
「きゅ、98,280ダメージって……アルト、遂にチートを使ったわね!!?」
そしてやっと口を開いたかと思えば、コトハはそんなことを叫びだした。
「いやいやチートじゃないって。言っただろ? 大王ゴブリンは魔法攻撃が弱点なんだ。係数が掛かってダメージが二倍されるしそれに〝シューティングスター〟は十秒の準備時間がある。見た目は派手なスキルだけど、詠唱時間を考慮したらそこまで――」
「あーあー、もう聞きたくない! 分かったから、どうせアルトが正しいんでしょ、そんなのわたしだって分かってるから!」
ぐぬぬ、と口元を結わえて俺を睨むコトハ。自分があれだけ苦戦した相手を簡単に倒されてご立腹のようだ。……今回は少しばかり同情する。
「アルトくん、さきのスキルはマジシャン系列の最上位職〝アークメイジ〟が習得できるものだと思うのだが、まさかレヴァーテインはそれすらも扱えるのだろうか」
後から到着したフィイに質問される。
「ああ、この隠しジョブはファイター系列とマジシャン系列、全てのスキルを習得可能だ。とは言ってもスキルポイントの兼ね合いで、結局取れるものは決まってくるんだけどな」
「なるほど……ちなみにアルトくんは他のステータスもまた均等に配分しているようだが、もしや他にも……」
俺の狙いを悟ったようにフィイが怪訝な目つきをする。
実際その読みが当たっているあたり、やはり彼女の方がコトハよりもキレるようだ。
「――戦果としてはLvが2上がったのと、ドロップアイテム〝谷底のモーニングスター〟がひとつか。悪くはないけどこれも使わないし街に着いたら売り払おう」
「せっかくなんだしアルトが装備したらどう? いつまでもロングソードが武器だと心もとないわよ」
コトハにしてはもっともな指摘だった。
「確かにこれを着けたら攻撃力は上がるが……こんなトゲトゲメイスを持ってモンスターをぶん殴るところ、コトハは見たいか?」
「えっと……正直引くわね」
「だろ。売却だな」
本編では絶対にやりませんが一応……
アルト等価交換後魔力79
攻撃:[[[79+10+15]*5]*4*2*+120]13=3,780*13=98,280
ソース:+10武器、+15業績、*5魔力係数、*2大王ゴブリン魔法抵抗力-100%、*2スキル係数、+120サージ、*13HIT数







