表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/216

041

ご覧いただきありがとうございます!次のエリアもサクっと終わる予定です。早くIDに向かいたいですね。



 ひと悶着あった翌日。


「や、やあああぁぁぁぁ!!」


 コトハは昨日の落ち込み具合などまったく見せない様子で奮闘(ふんとう)していた。


 朝からモンスターの群れと戦わせているけど、十分たった今でもまだ戦闘不能にはなっていない。


 ステータスに筋力を全振りしているというだけあって、火力は十分。おまけにナハス平原にいるMOB(モブ)は俺たちよりも格下の41-50Lv。コトハは通常攻撃だけでほぼすべてのモンスターをワンパンしていた。


「目覚ましい成長だな」


 呟く俺に、フィイはこくりと頭を縦に振って答える。


「われもそう思うのだ。昨日、泣き喚いていたコトハくんと同一人物だとは思えない。今日中には次の地域に進めそうだ」


「ああ、そうかもしれない」


 なんて淡い希望を抱いた次の瞬間だった。


「あ」


 ピコッと鳴った嫌な音の方を見てみると、そこには地面に突っ伏している藍色髪(あいいろがみ)の姿が。


 この日、コトハ初ダウンの瞬間だった。


「あいつ、うまくいってたからって油断したな。起き上がるまで放置でもいいけど……だいぶ頑張ったし、助けてやろう」


 モンスターの群れから、ぐるぐる目になっているコトハを引きずり出してから三十分。


 ようやく目を覚ました彼女は、HP1の状態で復活した。


「わたし、また倒れちゃったのね、う、うぅ……」


 と早速、涙目になって呟くコトハ。また喚き出さないか心配だ。


「だけど昨日よりだいぶ良くなってるぞ。攻撃を(かわ)せるようにもなってきたし」


「ううん、まだ全然ダメだわ。アルトに比べたら――」


 そこでコトハは口を止めて、じっと俺を見つめる。


「どうした?」


「そう言えばと思って。アルトは避けるのも攻撃するのもかなり上手いけど、いったいどうやったらそうなれるの? わたしなんてどっちか片方で精一杯なのに」


 コトハの抱える悩みは、おおよそ全ての新人冒険者が考えるものだろう。


 モンスターにどう対処していいか分からず、わちゃわちゃと攻撃するが、いつの間にか攻撃を受けて死んでしまっていたとか。死にたくないあまりいつまでたっても攻撃できないとか。その苦難は皆誰しも通る道だ。


「いいかコトハ、モンスターの行動には〝パターン〟がある。次に打ってくる攻撃や、そのタイミング、終わった後の硬直時間など、奴らの動きには規則性があるんだ。初めて目にするモンスターが相手なら、まずは観察してパターンを読む。そして攻撃できそうな隙を見つけたら、後は冷静に殴るだけ。これをマスターできれば、ノーダメで倒せるようになるだろう」


「分かったけど、ちょっと待って……いま、メモを取るから」


 俺の言ったことをコトハはメモ用紙につらつらと書き連ねていく。


 勉強熱心なのはいいことだ、これならもう少しアドバイスしてあげてもいい気もするが、ちょっと甘やかしすぎだろうか。


「アルトが言うとけっこう簡単なように聞こえるけど、パターンを見切って攻撃するなんてかなり大変なんじゃないの」


「そりゃあそうさ。強くなるためには努力は欠かせない。誰でも最強の冒険者になれるほど、この世界は甘くないからな」


「そうね。うん、分かった」


 コトハは吹っ切れたように、深く息を吐いて立ち上がる。どうやらやる気になってくれたらしい。ならやっぱり助言しておくか。


「コトハ、重要なのは〝欲張らないこと〟だ! 隙をついた時でも、攻撃回数は最小限に留めておけ〝もう一発〟が死ぬ原因になる!」


 後ろ姿のまま手を振って、彼女はモンスターの元へと向かっていく。


 アドバイスの甲斐(かい)はあったようで、それきり(しばら)くコトハはダウンすることもなく、鮮やかな手さばきでモンスターを倒していた。


 そうしてその勢いのまま突き進んだ結果、ナハス平原を踏破(とうは)、ついでにLvも1上がって、俺たちは続くエリア〝セクタ峡谷(きょうこく)〟へと辿り着いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご愛読頂き有難うございます
星5評価ブクマレビューなどを頂けるととても嬉しいです。モチベーションが上がります。

ADRICAのMAPです(随時更新)。
MAP MAP MAP
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです。 次の投稿を楽しみに待っております。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ