表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/216

028

クエストはささっと終わる予定です。


 早朝、約束していた通り部屋に迎えのシスターがやってきた。


 今日は神父に頼まれたクエストをこなす日にも関わらず、俺のコンディションは最悪。何故かと言うと、結局、一睡(いっすい)もできなかったからだ。


 あの後もコトハとフィイは、狭いだの詰めてだのと好き放題文句を言ってきて、頼んでもいない密着を進んでしてくる始末。


 フィイはまあ……大変豊かなモノを持っているから冤罪(えんざい)を掛けられてもまだいい。むしろ「ありがとうございます」である。もう片方の少女は知らない。


「――ねえアルト、今すっごく失礼なことを考えてない? なんだか変な感じがするんだけど」


「え? いや? 気のせいじゃないかなたぶん」


「ふーん……」


 どうしてコトハはこういう時に限って(かん)が鋭いのだろう。相手の心を看破(かんぱ)するなんて、サイキッカーでも不可能だぞ。


「それで、目的地まであとどれくらいなの。ていうか本当にこっちであってるのかしら。辺り一帯は森よ、森。違う地域じゃないか不安だわ」


 クエストの手続きを済ませて、早速外へと踏み出してからものの数分。コトハは息をつきながら呟いた。


(あせ)らなくてもティニル洞窟(どうくつ)はこの先だよ。ところでクエストを受けたのは俺たちなのに、どうしてフィイまでここに居るんだ?」


 俺の前にはローブを被った金髪少女が率先して歩いていた。


「どうしてって、われは案内役だよアルトくん。面倒なクエストを受けてもらったんだ、後は勝手にでは失礼だろう。クエストにはわれも同伴する」


「つまり気を(つか)ってくれているわけか。でも大丈夫だぞ、俺はこの辺の地理にも詳しいからな」


 ぴたりと止まって振り返るフィイは、分からないといいたげに首を(かし)げた。


「アルトくんは駆け出し冒険者なのだろう。ノルナリヤに来たのが初めてなら、この先も来た試しはないとおもうのだ」


「それがね、アルトは何でも知ってるみたいなのよ。地理のことだけじゃなくて、モンスターのこととかレベリングのこととか!」


 俺が答えるよりもコトハが横槍を挟んだ。


「にわかに信じ難いが、もしそれが本当なら大したものだ。もっともアルトくんがただの冒険者ではないことは何となく読めていたが……」


「はは、いくらなんでもそれは」


 俺の疑念に、フィイがふりふりと頭を振る。


「アウラから来たと言うのに、きみたちのLvは70に達している。これから向かうティニル洞窟でさえ適正Lv41-50だというのに、どう考えてもおかしいだろう。いったいどんな魔法を使ったのだ」


「ふふんすごいでしょ。わたしも最初はびっくりしたんだから。それでね、アルトは――」


 俺について意気揚々(いきようよう)とコトハが喋るものだから、口を挟む隙が一切ない。


 しかしあれだなあ、チートだとか最強だとか、こうも大げさに紹介されると、さすがにちょっと恥ずかしい。俺はただ何でも()()()()()だけなんだが。


「俺のことよりもさ、フィイのことを教えてくれないか。同伴するってことは、一緒に戦うことになるんだろ。それだったら職業とかステータスとか知っておきたい」


「アルトくんと比較すると、われはしがない者にすぎないが――」


 言いながらフィイはプロフィール情報を開示する。


 展開された電子パネルを見るとそこには……。


「われの職業は〝アークマスター〟聖なる力を操り、あまねく邪悪を討ち滅ぼす者。Lvは69、ステータスはこのような感じとなっている。大したものでもないが、よろしく頼むよ」


 マジシャンから転職できる隠しジョブ〝アークマスター〟の文字が、フィイの職業欄に刻まれていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご愛読頂き有難うございます
星5評価ブクマレビューなどを頂けるととても嬉しいです。モチベーションが上がります。

ADRICAのMAPです(随時更新)。
MAP MAP MAP
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] タンクぽい僧侶って歪ですね 幸運極振りの盗賊が仲間入りすると案外最強じゃない?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ