022
現在コトハのイラストを作成中です、挫折したらごめんなさい、
その後はフィイのイラストを描こうかなと思ってます。
なるべく更新頻度は変わらない状態で進めたいなと思ってます。
「アルトくん、きみはどうも彼女に慕われているようだね。微笑ましい限りだよ」
そんな俺たちのやり取りを見て、フィイがやれやれと首を振った。
「そうだね、アルトくんとの抱擁はあと一回限りにしよう。これ以上、彼女に恨まれてもたまらないのだ」
「あ、あと一回あるのか!?」
つい嬉しげな声を漏らしてしまった瞬間、コトハに握られている右手がめきめきと嫌な音を立て始める。だからなんでお前が怒るんだよ!
「アルト、いま鼻の下伸ばしてたでしょ」
コトハの鋭い声に、ぎくりと背筋に悪寒が走る。
「……ノバシテマセン」
「伸ばしてたでしょ」
「ノバシテマセン」
「ううん、絶対にいま伸ばしてた!」
不毛な言い争いを重ねていると、コトハはしびれを切らしたように唸ってから、ふいとまたそっぽを向いた。ご機嫌斜めらしい。あとでなんか奢ってやろう。
「――そもそもどうしてギルドに登録する必要があるんだ? 二階以上を利用するのに、なにか問題でもあるのかよ」
フィイがこくりと頷く。
「なにせ近頃は物騒でね、悪いことを企んで礼拝所を破壊しようとする者もいるのだよ。われらの女神様は、モンスターにとって憎き存在なのだから」
「確かに、中には擬態できるモンスターもいるもんなあ」
「そういうことだ。――現についこの間、礼拝所の女神像が蛮族によって破壊された。修復も不可能なほどにね。ああまったく、困ったものだよ」
「なに――女神像が破壊された?」
溜め息を漏らすフィイは「そうだ」と短く相槌を打った。
「だからこうして警備めいたことをしているというわけだ。あまり表には出していないが、大半のシスターは気が立っているだろうし、くれぐれも気を付けたまえよ。妙な真似をすれば蛮族だと思われかねない。そうなれば流石のわれも、庇うことは難しいのだ」
つまるところ、無断で二階へ上がろうとした俺たちはかなり危険だったってことか。危うくシスターたちから敵と見なされるところだった。フィイがいてくれて本当に助かる。
「受け付けはここだ。ギルドへの登録はそうかからない。終わったらわれを呼びにきてくれ、少しあちらでくつろいでくるよ」
そう言ってフィイは端っこのソファーへと歩いていった。
受け付けのシスターから渡されたギルド登録簿に、名前、職業、固有IDなどの基本的なプロフィール情報を書き込んでいく。
フィイの言った通り、登録に必要な手続きというのはそれくらいなもので、五分もあれば完了した。これで俺たちは晴れて転職ができると思ったのだが……
「――こんな時に新米冒険者だと? ギルドに登録などしてはならん、人に擬態したモンスターかもしれないだろ!」
がぜん奥の方から出てきた神父らしき人物が、俺たちの登録を拒絶してきた。そして「すみません」と一心に謝っている受け付けシスター。彼女が怒られているのが不憫でならない。
「やあやあどうしたのかねアルトくん。何やら揉め事のように見受けられるが」
事態を察知してフィイが戻ってきた。
「あの神父っぽいおっさんが俺たちの登録を阻んだんだよ。やけに偉そうな感じだけどここの管理人的な存在か?」
「ああ、彼か。これは厄介なことになったね。ちょっとまってくれたまえ、少し交渉してみよう」
もしかして彼女なら事態をうまい方向に運んでくれるのではないか。そんな希望は、神父の反応を見た瞬間に崩れさった。
話し相手が変わっても、神父は憤慨するばかり。いい年した大人がガミガミと……これはダメっぽいな。







