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020

ご覧いただきありがとうございます。新しい地域に到着しました

また幾つかトラブルが発生します。新しい仲間はできるだけ早く出そうと思ってます。



 アウラを出発してから約六時間、俺たちは秩序(ちつじょ)の街ノルナリヤに到着した。


 始めて来る街に興味津々なのか、コトハは視線をあちこちに動かしている。街はとりわけ変わった様子もないのに、いったい何に期待しているんだろう。


「随分と大きな街ね。お店の数もアウラとは桁違い。ここならゆっくり観光していられるかも」


「観光って……俺たちの目的は〝魔王の討伐〟だろ。たぶんそれほど悠長(ゆうちょう)に過ごしている時間は無いぞ」


「いいじゃない減るもんじゃないんだし。色んなことをいっぱい楽しむのは必要なことよ。ここで人生の経験値を積んでおくのも悪くないわ」


「うまいこと言ったつもりか、それ?」


「あ、見て見てアルト、メルク産の熟成仕込みチキンですって! あそこのお店、絶対美味しいに違いないわ、要チェックね!」


「無視かよ……」


 このお姫様は自分の都合の悪いことに関しては聞こえない振りをする。いささかじゃじゃ馬に過ぎないだろうか。アレクサンドロス大王でも手綱を引けないかもしれない。


「――ところでアルト、どうしてここは〝秩序の街〟なんて呼ばれてるの。広場には大きな女神像が設置されていたけれど、それと関係あるのかしら」


「だったと思う。確かそれが〝秩序の女神像〟で、女神さまはモンスターたちからノルナリヤを守っていたそうだ。大昔の話だけど」


「女神像はその功績を(たた)えた勲章(くんしょう)ってわけね。修道女(しゅうどうじょ)が多い理由にも頷けるわ」


 コトハの言う通り、ノルナリヤにはいたるところにローブを(まと)った信徒が見える。つまりここはひとつの街でありながら〝秩序の女神〟の聖地でもあるわけだ。


「何はともあれ無事街に着いたことだし、手早く転職を済ませよう」


「アルトは何の職業に転職するか目星が付いているの?」


「もちろん。これまでの奇妙なステ振りもこの時のためだからな」


 プロフィールからステータス情報を確認する。


 俺のLvは現在70。ステータスは体力20、筋力20、魔力20、知力14、幸運1となっている。普通では絶対にやらない均等なステ振りだけど、隠しジョブを開放するのなら話は別だ。俺はトロールをしているわけじゃない。


「ステータスの振り方が転職にどう影響するのかなんて考えもつかないけど、アルトのことだし、どうせまたインチキするんでしょ。知ってる」


「インチキじゃない、ちゃんと正式に実装されている機能を使うだけだ。――まあ確かに邪道ではあるけど。それでコトハは?」


「わたしは〝ストライフ〟に転職するの。せっかくこの二刀をもらったんだし、絶対に極めないと!」


「ストライフか……たしかに二刀を扱うには最適だが……」


 コトハが選択したのは二刀をメイン武器に扱う、超火力職。


 二つの剣を(たく)みに操り絶え間なく攻撃を与えるため、そのDPS(ディーピーエス)は全職業中トップクラスに君臨する。


 ――と言えば聞こえはいいが、ファイター系列であるにも関わらず防御スキルは0、回避スキルも0、おまけに転職した(あかつき)には〝永続的に防御力0〟というデバフがつくロマン職だ。


 さらにコトハは未だ体力にステータスを振っていないためHPがたったの100。こんな有様で二刀をやろうものなら、いったい何回床を舐めることになるのか。


憂鬱(ゆううつ)だな……」


「うん? いまなにか言った?」


「いいや何でも……」


 言いたいことは山ほどあったが、かつてないほどに活き活きと輝いたコトハの横顔を見れば、愚痴(ぐち)は喉の奥へと引っ込んでいった。


「初めての転職、楽しみねアルト!」


「……ああ」


 そういうことにしておこう。俺たちは聖職者がいる聖堂へと入った。


隠しジョブ……通常では転職できない、特殊条件を満たした時にのみ解放されるジョブ

トロール……「わざと」ふざけたプレイをして周りに迷惑をかける行為のこと。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「いいじゃない減るもんじゃないんだし。色んなことをいっぱい楽しむのは必要なことよ。ここで人生の経験値を積んでおくのも悪くないわ」と、言っていますが、人生の時間は減りますよ?
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