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新地域に向けてMAPを更新しました。ステータスも作ろうかなあと考えています。



 朝がきた。昨夜のことはあまり覚えていない。いや覚えまいとして忘れた。


 ベッドがひとつしかないものだから「俺はソファーで寝る」と言ったのだが、「こっちで寝てよ」とわざわざ狭い寝床に連れ込まれた。


 さらに寝る時、抱き枕さながらに彼女が張り付いてきていた点については、それはもう大変だった。


 壁みたいな胸板はともかくして、普通に(つら)がいいんだからあまり変なことはしないでいただきたい。美少女からの抱擁(ほうよう)って、ドストレートに言うと興奮する。それはもうしょうがない。男としての本能だ。


「ほら、どうしたのボケっとして、らしくないわよ? アルトはもっとはきはきしてないと」


 寝起きで焦点の定まっていない俺に、コトハが手を差し出す。昨日よりも積極的な気がするが、Lvが上がって前向きになったんだろうか。


 手を取ると、彼女は宿屋に併設(へいせつ)されたご飯(どころ)へと足を運ぶ。そして鬼のように注文するサンドイッチ。なるほど、朝ごはんか。


 こんな量食えないぞ、と思いきや大半はすべて彼女が平らげてしまった。華奢(きゃしゃ)な見た目に反して意外と入るのな。あとゲームの世界だろうと飯が食えることに驚く。


「――今後の予定だけど、となり街のノルナリヤってとこに行こうと思う。70Lvになったから転職できるはずだし」


「転職……ってなに?」


「Lv50に到達すると強くなれるイベントだ。いわゆるジョブチェンジってやつ。次の街に居る聖職者に話しかけると転職できるぞ」


「そんなことができるのね。……あ、それともう一つ聞きたいんだけど〝業績〟ってなにか知ってる? 昨日プロフィールを見てたら業績がひとつ追加されてたの」


 彼女に言われたところで、やっと俺もその存在に思い至る。ADRICAには業績というやり込み要素があるんだった。


「ああ、それは勲章みたいなものだよ。特定のモンスターを倒すかダンジョンを突破するかで貰えるんだけど、中には業績を獲得することでステータスUPするものもあるから、できるだけ集めていきたいかな」


 冒険者の徽章(きしょう)に触れて、自分のプロフを展開する。するとそこには……


■業績一覧

 鋼鉄(こうてつ)(はさみ)[効果:防御力+50]

 獲得条件 アスククイルの討伐


 コトハの言う通り業績が獲得されていた。


 効果は防御力プラス50。防御力は装備でしか補えないから普通に嬉しい。


「今後は業績も集めていかないとなあ、恩恵も馬鹿にならないし。それじゃあ飯も食ったし出発――って何か忘れているような気が」


 呟いたとほぼ同時に、ピコンという通知音が聞こえた。やけに耳慣れたSE音だが、まさかこれは。


『ゴラァ坊主! いつになったら来やがるんだ! 早朝に武器屋の前で集合だって言っただろ、まさかビビって逃げるつもりか!』


 UIからチャットを開いた瞬間、腑に落ちた。


 やはり今のは個人チャットを報せるシステム音だったか。そしてこの安い煽り文句は……なるほど、あの大男に違いない。


「どうしたのアルト?」


「新しい街に向かう前にやるべきことを思い出した。ちょっとイベントを済ませてくるよ」


「あれ……わたしたちまだアウラでやることなんてあったかしら」


 真顔で言うコトハもまた、あいつの存在を完全に忘れているようだった。


SE……サウンドエフェクト、効果音。

UI……ユーザーインターフェース。画面とかHPバーとか、ああいう機能の総称。

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