表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

159/216

158(テミティア大高原)

MMOネタはまだまだあるので、これからもイベント盛りだくさんでお送りします!やっぱり雰囲気緩い方が書きやすくていいですね。


 テミティア大高原の適正Lvは100から130。駆け出しを卒業したくらいの冒険者がこぞって訪れるエリアだ。この日も多くの冒険者の姿が見える。目的はおおかたクエスト消化のためだろう。ああやってコツコツと経験値を稼いでいくんだ。


「俺たちのLvは175。ここら辺のモンスターじゃとてもレベリングにならないな。さっさと先に進みたいところだけど……」


 ちょうど進行方向に二組のパーティーが見える。どちらも口汚く(ののし)()い、いかにも犬猿(けんえん)の仲といった風だ。穏やかな狩場でトラブルがあったらしい。


「大の大人が喧嘩していったいどうしたのかしら。バルドレイヤの酔っ払いでももう少し品があるわよ」


 コトハがさも呆れたようにため息をつく。実際その通りなのが笑えない。


「ああいう輩にはあまり関わりたくはないのだ、きっとろくでもないことに決まってる」


「でも放っとくともっとおおきなめいわくになっちゃうかもだよ? ここはおにいちゃんにまかせてみようよ!」


 フィイとリズが議論を始めた。どうやら俺の知らないところで俺に任せる話になっているらしい。正直あまり介入したくない。


「パーティー決闘でも始まりそうな勢いだな。装備のロストで得をする冒険者はいないし、(あいだ)に入ってあげた方がいいのかも」


「パーティー決闘……ってなに?」


 リズが目をぱちくりさせた。


「その名の通りパーティーvsパーティーで戦う多人数での決闘だよ。先にどちらかのパーティーメンバーが全滅した方の負け。普通の決闘と違って、勝つには連携が重要だ」


「面白そうね、やってやろうじゃない!」


 コトハが意気揚々(いきようよう)と声を上げた。


「ああ、望むところ……ってやらねえよ!? 何で仲裁(ちゅうさい)役の俺たちが両パーティーを殲滅(せんめつ)しようとしてるんだよ!」


「えっと、喧嘩両成敗ってやつ?」


「中世時代の法原則を持ち出してくるな。あと俺たちがやったら成敗じゃなくて蹂躙(じゅうりん)にしかならないからやめろ」


「分かった分かったわよ! ……ならわたしひとりだけで行ってく」


 コトハが背を向けて駆けだす。そうはさせない。


「おい待て」


「ひぐっ!!?」


 か細い首根っこを掴むと、潰れたカエルみたいな声が鳴った。


「いいかコトハ。ここはしんちょう~に事を運ぶんだ。火に油を注いだらダメなことくらいお前にも分かるだろ? 何より俺たちはギルドを持ってる。悪い評判は立たせたくない」


「な、なによ、暴力は全てを解決するって誰かも言ってたわよ!」


「ミステリー漫画に出てきそうなセリフだな。ジョブがバーサーカーだと頭もバーサク状態になってしまうなんて知らなかったよ」


「ふふん、コトハくんでは荷が重かろう。やはりここは聖職者であるわれが」


 突然ロッドを取り出したフィイが背を向ける。そうはさせん、させんぞ!


「おい待てムッツリシスター」


「うにゃああぁっ!!?」


 もう片方の手でフィイの首を掴む。なまじ猫みたいな悲鳴が上がった、やっぱり彼女の前世は猫かもしれない。


「な、なにをするのだアルトくん! 迷える者を導くことがわれの本分だというのに!」


「導いた先が冥界(めいかい)じゃ笑えないだろ。全員墓地送りにしようとするな」


「おにいちゃんおにいちゃん!」


 続けて名乗りを上げたのはギルド最年少のロリっ()。頼むぞリズ、もう両の手が塞がっているんだ。これ以上面倒事は起こさないでくれ。


「あのね、リズは話をきいてみたらどうかなって思うの。だってあらそいはよくないもん。いまは仲が悪くてもきっと話したらよくなるよねって!」


 どうして最年少の彼女がこの三人の中で一番しっかりしているのか。思わず感動で涙が出そうになった。


「よしそれでいこう。リズはしっかりしていて偉いな」


「……」


 彼女を褒めた途端、両側から「ちょっとおかしくない?」みたいな目を向けられたが知らん、もう知らんよ。とりあえず彼らの話を聞いてみよう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご愛読頂き有難うございます
星5評価ブクマレビューなどを頂けるととても嬉しいです。モチベーションが上がります。

ADRICAのMAPです(随時更新)。
MAP MAP MAP
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ