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(予約投稿つけ忘れで一度夜中に出ちゃいました。すみません)
いよいよ都市戦最終日。
AからDの各トーナメントグループはTOP4まで決定。後は各グループ優勝者を決めて、四名の代表者による最後のトーナメントが開かれる。
トーナメント表を見たところ、一番の激戦区は俺たちの所属するグループAだろう。
ポイズナー、ローグマスター、ダークマスター、ホーリーマスター、ガンブレイド、ティファレト、シンフォニア――それぞれが各グループの優勝候補に上がってもおかしくない強職たちだ。
グループBからDはレンジャーやメイジ、ハイランダーなどの人気職……言ってしまえば平凡なジョブで溢れている。
各グループの振り分けは完全ランダムらしいが、これはなまじ怪しさを感じる。どうしてグループAばかり対人に強いジョブが集中しているのか。マクティアの言う通り、何か裏があるのかも。
「どうしたのおにいちゃん、だいじょうぶ?」
考え込んでいると、リズが顔を覗き込んできた。
「大丈夫、少し考え事をしていただけだよ。――それよりも今は目の前のことに集中しないとな」
第六十一試合目、ミストルテインvsティファレトの試合開始はもう間もなく。
先日、彼の試合をちょこっと見たがアレはとてもチャレンジカップに出るようなプレイヤーの動きじゃない。コンボといい身のこなしといい、かなりこなれている印象だ。間違いのない強敵だろう。
「ん……チャット? こんな時に誰だ?」
ピコンと軽快な通知音が鳴る。チャット画面を開いてみると、そこには予想もしていない者からの個チャが来ていた。
パーシヴァル:試合直前にすまないが、数点聞きたいことがある。できれば早急に返信してくると有難い。
俺に個チャを飛ばしてきたのは、北の監視場を務める騎士団長。確かに彼とはフレンド登録していたが(監視という嫌な名目のため)、まさか個チャを送ってくるとは予想もつかない。
本来個人チャットというのは、仲のいい人同士でしかやらないものだからだ。
パーシヴァル:昨日、封鎖区域で待機しているモンスターたちの動きが変わった。具体的には〝近接を得手とするモンスター〟の数が減少し、中遠距離を得意とするモンスターたちが増加した。これについて何か心当たりは?
俺が問い返すまでもなく、騎士団長さまは早速本題に入った。
昨日……昨日って言っても俺はほとんど決闘場にいたからなあ。試合内容的には、ポイズナーとローグを下しただけ。そのためにスキルはいくつか習得したが……。
余計な疑いをかけられても困るし、とにかく報告できるものはしておこう。
アルト:心当たりはまったくないけど、とりあえずやったことだけ。昨日は二回決闘して相手はポイズナーとローグマスターだった。習得したスキルは〝バーサーカー、死神の瞳、ソウルハーヴェスト〟の三つだけ。
パーシヴァル:なるほど……他に習得したものは?
アルト:あるけどまだ誰にも見せてない。次戦はモンク系列のティファレトが相手だからな、このままじゃ勝てないと思って近接寄りにしたんだ。
パーシヴァル:そうか。貴重な情報を感謝する。
もっと突き詰められるかと思いきや、騎士団長さまからの個チャはあっさりと終わった。
待てよ、そう言えば昨日はメルクトリにも話しかけられたっけか。俺のスキルが何かをかなり気にしていた様子だった。一応これも……。
アルト:補足しておくとメルクトリと世間話をしたよ。何気ない会話だったけど、しつこく俺のスキルツリーを見ようとしてきた。まさかソッチの気があるわけじゃないよな?
俺が付け足して送ったチャットには、どうにも応答がない。ただ未読というわけでもなさそうで、パーシヴァルはスタンプで返事をしてきた。――グッドを示す親指のスタンプと可愛らしい猫さんスタンプだ。
あの鉄面皮の男がスタンプ? 似合わねえ……特に猫さんスタンプって、女子高生でもあるまいし。実は裏でタピってたりするんだろうか。想像しただけでも身の毛がよだつ。
「いや違うこれはまさか――メルクトリにソッチの気があるという意味でのグッドなのか!? 俺はそういう意味で狙われているのか!?」
突然、俺が大声を出したものだからフィイやリズたちを驚かせてしまう。
「ど、どうしたのだアルトくん!」
「きょうのおにいちゃんはやっぱりへんだよ! ねえだいじょうぶなのおにいちゃん!」
だけど彼女たちの声も一切耳に入ってこない。
どうしてメルクトリはやけに俺との距離を縮めていたのか。……俺は試合のことよりも、自分のケツをどう守るかに必死だった。
※進行状況