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136(コトハvsユミムル)

MMO用語集を新たに作りました!英数字順・五十音順としてますので、見つけやすいかと思います。後書きに並べているとすごく長いのと、いつでも探せるためには読者さま的にこっち方がいいのかなあと思い。そろそろ色々管理がしんどいですしろめ


 戦いはすぐに始まった。


 第五十九試合目、バーサーカーvsクロノ。Lvは圧倒的に後者の方が高いのだが、彼の顔色がどうにも良くない。ユミムルは(ひたい)に嫌な汗を(にじ)ませている。


 そして極め付きはすっかり戦意を喪失(そうしつ)したような引け腰。とても195Lvの冒険者とは思えない。


 だけどバーサーカー相手なら理解もできる。ユミムルにとってこの戦いはまさに最悪としか言えないだろう。


 コトハがあのスキルを習得しているならの話だが。


「アルトくんアルトくん」


 観戦していると、フィイがぎゅむと腕を引っ張ってきた。


「あのユミムルという男はどうしてああも逃げ腰なのだろうか。Lvはコトハくんより20も高い。装備も整っているだろう。なのにあの体たらくでは……」


 決闘場内を逃げ回るクロノと、追いかけ回すバーサーカー。誰が見ても勝敗は(きっ)しているようなものだった。


「クロノっていうジョブはマジシャン系列から転職できるんだけど、スキルがどれもバフデバフ特化なんだ。たとえば〝スウィフト〟は味方の移動速度上昇、〝スロウ〟は敵の移動速度減少、〝ストップ〟は一定時間硬直させるとか」


「なるほど、時間を意味するクロノに相応(ふさわ)しいスキルなのだ。しかしどうしてそれらを使用しないのだろう。決闘にあたってとても有用的に思えるのだが」


「それは相手が〝バーサーカー〟だからとしか言いようがないけど、見ていたら分かるよ。()()()()()で止まってくれるほど、狂戦士は大人しくない」


 鬼ごっこを続ける両者。徐々に縮まっていく距離を見てクロノが先にしびれを切らした


「ええい鬱陶(うっとう)しい脳筋め――これでも食らえ〝スロウ〟!」


 ユミムルが長杖を向けた途端に、コトハは素早さを失った。


 クロノによる移動速度減少デバフだ。


「頼むからそのままでいろよ……お次はこれだ〝ストップ〟!」


 重ねて放ったスキルは対象を数秒間、硬直させるスキル。


 コトハは抵抗もできずに、その場で釘付けにされた。


「な、なんだ、()()()()()()()()! なら何も問題ない、小娘風情が生意気なんだよ――お前をここで仕留めてやる!」


 ユミムルが長杖を振りかざす。杖先からバチバチと(ほとばし)る電撃はスキル〝ライトニング〟。


 最初期のジョブ、マジシャンで習得できる技だ。


 クロノはジョブ自体に攻撃スキルがないため、ああやって地道に初期スキルで削ってはここまで勝ち上がってきたのだろう。彼もまた状態異常を得意とするジョブのひとつだ。


「あ……」


 ユミムルの言う通り彼女がここで止まってくれればどれだけ楽な戦いができただろうか。


 だが、現実は(はかな)く――数瞬後にはコトハが当然のように硬直を解いていた。彼女の満身から赤のオーラが奔流(ほんりゅう)した時のことだった。


「スキル〝バーサーカーⅡ〟、効果は全ての状態異常効果と回復効果の無効化。追加で移動速度を上昇」


 俺の言葉を聞いているのかいないのか、(かたわ)らのフィイとリズは「おおお」と舌を巻いていた。コトハの動きに見惚(みと)れていたんだろう。


 狂戦士は刹那の内に身を(ひるがえ)す。迫りくる雷撃をあっさりと凌いだ上に、一段と高めた速力をもってユミムルの元へと到達する。その間、僅か一秒にも満たない。そして、


「〝バーサーカーⅢ〟、KBを無効化。武器攻撃力、筋力、移動速度を更に獲得」


 彼女が(まと)うオーラは紫色に変色する。それは狂戦士が保有する最も強力なバフスキルの発動を意味していた。


 ああなったらもうクロノでは手の打ちようがない。いち魔法使いが接近戦で狂戦士に敵うわけもなく――アナウンスが少女の名前を呼びあげたのも直ぐのことだった。


TOP4まで終わりです!少し閑話を挟みつつ、激戦へと向かう予定です!

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