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ご覧いただきありがとうございます。

■告知:37話までアップデートが完了しました。ストレスのあるシーンが激減したかと思います。今日からまた複数話更新していきます。


「これで第一試合目の組み合わせは全て消化、と。参加者は半分に絞られたわけだ、実力のある冒険者は更に上り詰めてくるだろう。対人で強いジョブも多数みられる。本番はここからだな」


挿絵(By みてみん)


 グループAの試合数は全体の半分が終了。傾向を見てみると、接近戦を得意とするファイター系列、中遠距離を得意とするアーチャー系列、テクニカルなスキルが多いマジシャン系列、各ジョブはほどよいバランスで勝ち残ってきている。


 脳筋一辺倒では通じないということだろう。中には回復専門のプリーストなど、本来は決闘に不利なジョブで残っている者も見える。それだけ本人の技量が高いという証拠だ。チャレンジカップとは言え、(あなど)ることはできない。


「ほほう、君も都市戦に出場していたのかね。名前を見てまさかとは思ったが、よもや同じグループAとは奇遇じゃないか」


 淡々した口調で語りかけてきたのは、先日バルド湖で知り合った冒険者カムイ。よく見ると彼の名前がトーナメント表の左下にある。声を掛けられるまでまったく気づかなかった。しかも177と意外にも高Lv。


「確かに奇遇だ。見たところカムイも一回戦を突破、もしかしたら決勝で当たるかもな。その時はよろしく頼むよ」


「ふん、何を白々しい。そうでなければ困るというものだ。――俺は釣り場での屈辱(くつじょく)を決して忘れていないのだからな。あの時は俺の完敗だったが、今度の戦いは絶対に負けない。首を長くして待っていることだな!」


 ……首を洗っての間違いではないだろうか。


 そう思ったものの突っ込む隙もなく、カムイは(きびす)を返してしまった。


「おにいちゃんはいっぱいおともだちがいるんだね。たくさん声をかけられてるから有名人みたい」


「どうだろう……自分でこういうのも何だけど、コロシアムでそれなりに名は売れちゃったからなあ。釣りや生産場で目立ったっていうのもあるし。でも悪くは無いと思う。こうやって色んな人と知り合うのもいい機会だと思うしさ」


 新たな出会いを獲得したのは、何も俺に限った話ではない。


 隣ではコトハと先ほどの対戦相手ペルが仲良さそうに会話をしていた。


「――それにしても驚いたわ。まさかケルベロスを召喚しちゃうなんて。ネクロマンサーなんてジョブ初めて見たけど、すっごく楽しそうね」


「ククク……我の神髄(しんずい)を理解したようだな。闇より()でし眷属(けんぞく)たちはその気になれば世界に(わざわい)(もたら)してしまう。ゆえに我はこの眼帯を付けているのだ、力の暴走を抑えるためにな」


「ねえねえ他にはもっと面白いモンスターを出せないのかしら。ドラゴンとか、デーモンとか!」


「ふ、ふええぇ!? 我の言葉は無視されているのだ!?」


 とまあ、やや方向性の違う二人な気がしなくもないが楽しくやっている。特にコトハはパーティーメンバー以外で初めての友達だから嬉しそうだ。


「アルトくんアルトくん、今日の試合は終わりなのだろうか。人だかりがまばらになってきたようなのだが」


 フィイが周囲をきょろきょろと見渡す。


 白熱していた決闘場は今では物静かになっており、戦っている冒険者はいない。一日で三十二試合を消化するという過密スケジュールは無事に終わったようだ。


「外から歓声(かんせい)が聞こえないし、他の会場も終わってるっぽい。とりあえず今日のところはお疲れさまかな。俺たちもギルドハウスに帰ろう」


 彼女たちを連れて決闘場を後にする。都市戦の一日目が終わりを迎えても、街のお祭り騒ぎはおさまるどころか激化する一方。


 夜のバルドレイヤはどこもかしこも飲んだくれだらけ。中には酔った勢いで騒ぎを起こし騎士団に連行されている者も。


 過保護かもしれないが、フィイやリズにはあまりよろしくない光景だ。さっさと連れて帰ろ――ってうおおぉぃ! そこのおっさん近くで()しゃ(ぶつ)をまき散らすんじゃない! 二人がドン引きしてるだろうが!


「ククク……夜の街というのもまた酔狂(すいきょう)なものよ。我の力が高まっているのが分かるか少年。莫大(ばくだい)なる魔力の奔流(ほんりゅう)(うず)()いているのだ……」


 ぎゅっと左の手を握られる。パツキン厨二少女が邪気眼ポーズで俺に微笑んでいた。


「えっと……君は……」


 聞きたいことがあまりにも多すぎて上手く言葉に出来ない。


「ねえねえアルト、わたしねペルと友達になったの。それでせっかくだからわたしたちのギルドハウスに泊まっていかないって話になってそれで」


 言い(よど)んでいるとコトハにすごい勢いで経緯を説明された。


 なんだそんなことか。微笑ましい事情で安心した。


「いいよ、だけどひとつだけ問題があってギルドハウスは同じギルドに所属している者じゃないと入れないんだ。だから――」


 ペルに〝ギルド招待申請〟を飛ばしてから続ける。


「もしよかったら俺たちのギルドに入らないか」


「ふぇ……いいの……?」


 こくりと頷く。


 しばしの間、目をぱちくりさせていたペルは俺の言葉を呑み込んだと同時に、またいつもの暗黒微笑を浮かべてみせた。


「ククク、よかろう! 我の力を見切ったその慧眼(けいがん)を褒めて(つか)わす。今日から同じ屋根の下で暮らす者たちよ、よろしく頼もうではないか!」


 ペルが勢いよく〝承諾〟ボタンにタッチする。


 システムメッセージが新たなギルドメンバーの加入を報せた。


〝ペルケドラLv188 ネクロマンサーがギルドに加入しました〟


一緒に冒険する仲間は最大四人を想定しています。ペルさんとは仲間になるものの特別なイベント以外であまり一緒には冒険しないです(誰かが欠けてる状況ならあるかも)。ギルド専用イベントなど、そういう時は間違いなく人数が多い方が楽しいので(ゲーム内では……)ギルメンはそこそこ増やしていこうかなと思います。パーティー人数はこれ以上増やしません。次回、ギルドとパーティーの違いを説明します。

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