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124(コトハVSペルケドラ)

バーサーカー対ネクロマンサー始まります!今回もまた一話にしては長いです、すみません。都市戦ではバンバン戦闘があるので今後もなるべくまとまって話を出すと思います。

■告知

ノルナリヤ終わりあたりまでシーンをいい方に大型アップデート入れるので今日の更新ないかもしれません。アップデートし次第まだ告知しますね。


 決闘場に立つ二人の少女。ひとりは俺たちのパーティーのコトハ、もうひとりは対戦相手のペルケドラだ。


 眼が欠けているのか、金髪のネクロ少女は左目に眼帯を付けている。黒のゴスロリ衣装と相まって非常に厨二臭い外見だ。狙ってやっているのかはたまた彼女の勝負衣装なのか。


「ねえあなた」


 二人の紹介アナウンスが流れる中、コトハがペルに話しかける。


「どうして決闘なのに眼帯なんて付けているの? 怪我をしてるのなら仕方ないと思うけど……視界的に不利になっちゃうわよ?」


 どこまでもフェアな戦いを望むコトハらしい意見だった。


「ククク、これはわが絶大なる魔力を抑える魔具(まぐ)であるからして心配は要らぬ。解放してしまえば世界に(わざわい)(もたら)されよう……」


「えっと……」


 ポカンと開いた口が塞がらないコトハ。不敵に邪気眼(じゃきがん)ポーズを決めるペル。


 やっぱりあの眼帯、ただの飾りだったんだな。ていうかあの女の子本物の厨二病かよ。


「よく分かんないけど、問題ないってことでいいのよね?」


「左様! ククク……安心してよいぞ狂戦士、今宵(こよい)の決闘は(われ)が相手だ、バーサーカーの名に恥じぬ暴虐(ぼうぎゃく)っぷりを尽くせるだろう。なにせ我はネクロマンサーなのだからな。手数には自信があるというものだ」


「そうね、ならお互い善処しましょう!」


「ふえぇ!? そんなにあっさり流されるのは……も、もうちょっと我に対して(おそ)れとか抱いていたりしても……」


 ペルが不満を漏らすが、あえなく試合開始のアナウンスが鳴る。


『――それでは第十七試合コトハVSペルケドラ、試合を開始してください!』


 強制的に会話を断たれ、頬を膨らませる厨二少女。よほどご機嫌斜めなのか彼女はすかさず先手に出た。


「よかろう、ならば我の恐ろしさ――身をもって味わわせてやるのだ! (きた)()眷属(けんぞく)たちよ、かの者に苦痛を与えるのだ!」


 ペルの声に従って決闘場に数多のスケルトンたちが現れた。


 ネクロマンサーのスキル〝サモン〟、それは使役者のレベルに応じてより強力な使い魔を召喚する。強制的に対多数戦へと持ち込む厄介(やっかい)なスキルだ。


「あんなにも多くのスケルトンを相手に……コトハくんは大丈夫なのだろうか。見たところ百は超えているようなのだ」


 隣で観戦してるフィイは不安そうに目を白黒させていた。


「ネクロマンサー……召喚系スキルを主体とするマジシャン系列のジョブ、普通だったらかなり面倒な相手だ。だけどコトハに限っては少し相性が悪いかもな」


「相性が悪い――それってどういうことなのだ?」


「まあ見ていれば分かる。バーサーカーは元々、純粋な一対一はあんまり強くなくてな。ああいう対多数戦の方が輝くんだよ」


 視線の先、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の中で猛然(もうぜん)と二刀を舞い踊らせている少女――コトハはスケルトンの軍勢にも(ひる)まず、これまで(つちか)ってきた腕前を存分に発揮していた。


 両手で剣を構えたスケルトンファイター、弓での遠距離攻撃を仕掛けるスケルトンアーチャー、更には魔法弾で狙撃をしてくるスケルトンメイジ。


 それらをものともせずに切り伏せるのは狂戦士の異名を持つ二刀使い。


 スキル〝バーサーカー〟がコトハの移動速を更に高める。彼女は疾風にも似た迅速(じんそく)さで迫りくる弓矢・魔力弾のことごとくをDODGE(ドッヂ)する。極めつけは、


「はあああああああああぁっ!」


 同時攻撃を仕掛けてくるスケルトンファイターの斬撃を紙一重(かみひとえ)のところで躱しては、すれ違いざまに二刀を骨身に滑り込ませる。間違いのない玄人(くろうと)芸だ。


 これまで俺との対人も含めて通算百ダウン以上している彼女は、ただの通常攻撃で仕留められてくれるほど(ぬる)くはない。あれが努力を積んだ戦士の成果だ。そして、


「スキル〝横一文字〟!」


 コンボ数が稼げたところでコトハのAoEスキルが猛威を振るう。


 直線状にいる敵全てを一刹那(いっせつな)のうちに断ち落としてしまう真黒の斬撃。あれこそがバーサーカーの強みだ。


 スキルを放つために必要な〝コンボ数〟を対多数戦では容易に稼げてしまう。百をも超えるスケルトンたちが消滅したのも、(わず)か一瞬の出来事だった。


「ぐぅっ……そんな、我の、我の眷属たちが……」


 動揺を(あらわ)わにするペルケドラ。その隙をついて足元を蹴り出す狂戦士。


〝横一文字〟はペルにもHITしていたようで、HPが残り半分くらいになっている。コトハに数度切られただけでダウンしてしまうだろう。


 だがそのまま大人しく切り伏せられるほどやわでもない。ネクロマンサーはコトハのダッシュに呼応して、両腕を天に衝き上げた。


「くっ……やむを得ないこうなれば奥の手なのだ! ()でよ()従順(じゅうじゅん)たるしもべよ、我に勝利を(もたら)したまえ!」


 ペルケドラがスキル〝アーケインサモン〟を発動。それは多数を呼び起こすサモンではなく、強力な一体を招く召喚スキルだ。そしてペルが呼んだモンスターとは。


「何よそれ……随分と怖そうなのを出してきたじゃない。三つの頭を持つ獣……ケルベロスってやつなのかしら」


 地獄の番犬ケルベロス。Lv190のフィールドボスがペルの持ち得る最高峰の切り札だ。


「さあ行くのだ我がしもべよ、あのバーサーカーを(ほうむ)り去るのだ!」


 (あるじ)の命令に(こた)え、地をどよもす(うな)りを上げるのは三つ首の番犬。その背に乗って指揮を()るネクロマンサー。番犬の体高は推定五メートルを超えている。


 普通ならば、ケルベロスを倒さずして指揮者を倒すことはできないだろう。はたしてコトハはどう出るか。


「……」


 モンスターの(おぞ)ましい咆哮(ほうこう)にも(ひる)まず、眼前を(にら)()えるバーサーカー。

 

 ケルベロスの出方を(うかが)い慎重に、だが臆病ではない的確な位置取りでモンスターの脅威を分析する。


 獄炎のブレス、噛みつき、引き裂き、更には空から降り注ぐ火炎弾メテオ。


 それらの攻撃範囲を理解したと同時に、今度はコトハが反撃に出る。


 狙う部位は確実にHITに繋がる四肢のみ。頭部周りはブレスと噛みつきの脅威がある。研ぎ澄ました立ち回りによって足元を切り続ける。着実にコンボ数を稼いでいくコトハ。


 僅かに吊り上がった口角からは、勝機の目を見いだしたかのような余裕が(にじ)み出ていた。


「ふははは、そんなことをしていてもケルベロスを倒すことなど(かな)わぬ! まったくHPが削れていないではないか! 高ダメージを出したくば弱点である頭部を狙うのだな!」


 一方で高みの見物を決め込むペルは、コトハの意図を察していない。


 なぜダメージが通らないにも関わらず攻撃を続けているのか。なぜ死に物狂いでコンボが途切れぬように駆け回っているのか。


 理由は――彼女がバーサーカーだからという他ない。


「あ……」


 時は来た。コトハのコンボ数が五十に達した時、頭上のインジケーターが赤く(きら)めく。


 それは〝百花繚乱(ひゃっかりょうらん)〟がより強力なスキルを放てる合図。ようやく危機を察知したペルが慌てて指示を出そうにも、その気づきはあまりにも遅く。


「急いでケルベロス! 今すぐメテオとブレスであの子を――」


 コトハは二刀を振り下ろした。


「スキル〝影裂き〟!」


 バーサーカーの超広範囲スキルが、視界内に映る対象全てを斬り刻む。


 たとえ相手が手の届かぬ位置にいようと関係ない。その理不尽たる斬撃の前には立ち位置など無も等しく、たとえ影が相手だろうと裂いてしまう。


 ケルベロスに騎乗したペルケドラがダウンしたのも、直後のことであった。


『勝者は――バーサーカーのコトハ選手です!』


 アナウンスが彼女の勝利を告げる。


 コトハは感極まっているのかその場で微動だにもせず、だがこちらににこりと微笑んでみせた。


ネクロマンサーって厨二度高くていいですよね……

けれどもMMORPGだとロマン職扱いになりがち……

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