表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

109/216

108

ロボロボ……


 カタクラフトの強みは手数の多さにある。リズがスキルによって召喚した機械仕掛けの守護者たち――イージスを手元のパネルで操作するのだ。ちなみに同時に出せる数は五体が最大。


 よってカタクラフト戦では純粋な対人というよりかは、モンスターを相手にするかのような対多数戦を強いられる。慣れていないとかなり厄介な相手だ。


「ちょっとリズ、あんた戦うのは苦手だって……だ、だましたわね!」


 飛来する銃弾やらミサイルやらを二刀で払い、更には同時に襲い掛かるAT-31による近接戦闘を(さば)きながらコトハが()える。


 普通こういうのって回避しながら隙をついていくもんなんだけど、正面から受けて立った挙句に全てを身体能力と動体視力のみで(しの)ぎきるって、こいつやっぱり化け物だな。


「わたしはね、イージスはわたしじゃないもん♪」


「む、むむむむむむ……」


「ほらやっちゃえイージス! はやくおねえちゃんをたおして!」


「年下の子になんか……絶対に負けられないんだから!」


 リズの指示に従い、DA-79が六機のミサイルを発射する。


 降り注ぐ爆発物、容赦のないガトリング砲による追撃、そして仮借(かしゃく)なく猛攻を仕掛けるのは四つ手にビームソードを持ったAT-31。


 それでもスキル〝バーサーカー〟を発動させたコトハを捉えるのは容易でない。上昇した移動速度は20%。ただの疾走によって飛来物を(かわ)しのけ、さらには迫る四本もの光束剣をフェンリル二刀で打ち払う。


 鋼と粒子の擦り切れる金属音が(とどろ)き渡る。


 一つ、二つ、三つ、四つ……衝突を重ねる度に両者が繰り出す斬撃はよりいっそう凄みを帯びて加速する。


〝バーサーカー〟によって強化されたコトハの筋力は脅威の1,490。もし一太刀でも許せば、リズの使役する従者はことごとくバラバラにされるだろう。


 それを分かっているのか、カタクラフトの少女は鬼気迫る面持ちで指示を入力。目にも止まらぬ指さばきでパネルを操作し続けている。


 だが――それでも。


「……そんな」


 剣の打ち合いでコトハを勝ることは適わなかった。たとえAT-31の腕が四本であろうと――いやだからこそ彼女は入力を遅らせてしまったのかもしれない。


 操作量が多いということは、それだけ高い技術が必要となる。対人ではわずかな入力ミスが命取りとなるんだ。DA-79にも指令を送りながら戦うというのは、コトハという規格外の身体能力を持つバーサーカー相手に、悪手であったのかもしれない。


「はああああああああぁ!」


 ほんの一刹那(いっせつな)の隙をついた一太刀。コトハがAT-31の胴体に切っ先を滑り込ませる。


 直後に爆発し姿を消す近距離攻撃に特化したイージス。


 ようやく切り拓かれた進路にコトハが駆ける。


「終わりよ、リズ」


「ちがう……わたしはまだ、たたかえるんだからぁ!」


 しかし彼女必死の抵抗も虚しく、砲撃も銃撃も、コトハには何ひとつとして届かない。


 ある時は地に身体を滑らせるローリングで回避をとり、またある時は迫る銃弾をつがいの白刃でパリィする。


 防御の構えなど一切とらず、二刀を(たずさ)えただ敵へと疾駆(しっく)するその様は、まさに狂戦士。


 地蔵も同然の設置砲台DA-79がコトハによって爆散される。――決着だ。


「お、おねえちゃん……」


「怖くないように目つむってて。すぐに終わらせるから」


 それでも最後はコトハらしい一面を見せる。


 バーサーカー対カタクラフトの決闘は、前者の勝利で幕を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご愛読頂き有難うございます
星5評価ブクマレビューなどを頂けるととても嬉しいです。モチベーションが上がります。

ADRICAのMAPです(随時更新)。
MAP MAP MAP
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ