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愛で哀

作者: 無月

友達と好きな人が被った時、友情を取るか恋愛を取るか…

好きな人の幸せと自分の幸せを天秤にかけたら…

沢山選択がある中で、この選択を選ぶ人もいるんだって思って見ていただけたら嬉しいです。

いつの間にか君が好きだった

ずっとずっと君が好きだった


僕は君と付き合えたら幸せだけど

私は君といれるだけで幸せなのに


きっと僕じゃ君を幸せにできない…

君は私じゃない方が幸せだよね…


    愛しき君よ、どうか幸せに…




暑い…それに蝉の声がうっとしい…

そのうっとしさは目の前のやつが惚気ていく度増していく。恋愛相談という名目で貴重な夏休みにこいつと会っているが…目の前で好きな人との嬉しかった話聞かされてもイラつくだけだ。その相手が僕の好きな人ともなれば尚更。

こいつのおかげで…というとムカつくが僕は君への気持ちに気づけた。目の前のこいつが君を泣かせるようなやつなら、僕は君に今すぐにでも告白するのだが…残念ながらこいつはいいやつなのだ。

僕が君を好きなら、僕には相談はしない。どっちも大事だから。僕自身の気持ちを殺してほしくない。僕の悲しむ顔をみたくない…と言ってくれたのだ。それでも、僕は嘘をつくことしか出来なかった。

こんなに僕のことも考えてくれるやつはいない…それに、きっとこいつは僕よりも君を幸せにできる…だから、僕は僕の気持ちを閉じ込めた。これは美徳か?と問われればそれは違う。君を幸せにすることにおいて勝てない相手だから僕は譲ってしまう。そうじゃなければ、君への気持ちは譲らないのに…。きっと、君と付き合えたら僕は幸せだろうな…。

月が太陽を追いかけはじめた頃、ようやく解放された。

「今日は相談のってくれてありがとな!俺、お前が友達でよかったわ!」

「別にいいよ…頑張れよ」

そう言うと、こいつはニカッと笑った…。本当にこいつには叶わない…。

いつの間にか蝉のうっとおしい声はどこかへ消えていた。



夏休みが終わった。やっと君に会える。それだけが嬉しかった。大好きな君とまた一緒に帰れる、話せる。それが出来なかった夏休みは苦痛そのものだった。

付き合ってるわけじゃない、ただの友達…。異性だから、簡単に "遊びたい" なんて "会いたい" なんて言えなかった。RINEで会話するだけの日々も今日で終わるのだ。

君が来るのを待ってると、クラスの男子に話しかけられた。仲良いけど君ほどじゃない、でも、クラスメートと呼ぶには他人行儀すぎる…そんな子だった。

他愛ない話をしていると、君が来た。おはよう、と言えば、おはよう、と返ってくる…それだけで幸せだった。

「ねぇ、今日一緒に帰らない?あの新刊の感想聞きたい!」

「あっ…えっと…ごめん…僕今日車で帰るから…感想RINEでもいいかな?」

せっかく久しぶりに会えたのに…車で帰るなら仕方ない…と思いながら、じゃあ、RINEで送ってねと約束する。

「あのさ…!俺と一緒に帰らない?」

さっきまで話してた男の子にそう言われた。断る理由もないし、それに一応友達だし…

「いいよ、一緒に帰ろっか」

視界の端にいた君の顔が悲しそうだった。



あれから、あいつは君にどんどんアピールしていった。興味のなかった小説や漫画にも手を出し、君と話す機会を必死につくっていた。僕はそれを眺めるだけしか出来なかった…。

でも、今日は今日だけは君を独り占めできる。恩師へのお礼のプレゼントを買いに、君と出掛けるのだ。今日はあいつに邪魔されることも、あいつに遠慮することもなく、君といられる、話せる…それがなにより幸せだ。

ある程度買い物を済ませた後、可愛いアクセサリーショップが目に入った。君がキラキラした目でお店を見てるのが可愛くて、2人で少し見ることにした。

君があんな目をするのをあいつは見たことないだろう。僕しか知らない君の顔…あいつは見たことない君の顔…。優越感に浸るってこういうことを言うのだろう…そう思いながらヘアピンを見ていた。すると青色のシンプルなヘアピンを見つけた。青は僕の好きな色…このヘアピンを君がつけたら、君は僕の……。そこまで考えて辞めた。彼氏でもあるまい、きっと君は気持ち悪いと思うに違いない…。それでも、考えたことを実行したくてたまらなかった。君にバレないよう、こっそりそのヘアピンを2本買った。

別れ際、今日は楽しかった!また明日ね!なんて言う君の声を遮るように、

「僕も今日楽しかった!お礼じゃないけどこれ受け取ってもらえないかな?」

「これ…あのお店の?貰っていいの…?」

「君に似合うと思って買ったから…使ってほしいな。」

そう言うと、君は嬉しそうに笑った。その顔が夕方の光のせいだろう…凄く綺麗でほんのり赤かった…。



高校を卒業して数年が経った。あの日、君からヘアピンを貰った日から、私は毎日肌身話さずヘアピンを身に付けていた。さすがに学校で使用していたら怒られるので、制服に忍ばせていた。寒色系が好きな私にとっては青色のヘアピンはとても嬉しかった。

そして、今日、私は結婚する。君じゃない人と…。相手は、ずっと私のことを好きでいてくれた人。この人なら、素敵な家庭になるだろうと思ったのだ…。本当は、君がよかった。でも、高校時代、大学時代、君は私と2人でいることが辛そうに見えた。時折何かに葛藤して悲しそうな顔をするのだ。私は君の側にいれるだけで幸せだけど…君は辛く悲しいみたい…。私だけが幸せじゃダメなの、君も幸せじゃないとダメなのに…。

式前の待機部屋で、君から貰ったヘアピンを触りながら、鏡の自分に大丈夫と言い聞かせていると、スタッフの人に話しかけられた。

「ずいぶんと使用されてるヘアピンですね。きっと綺麗な青だったんでしょうね…そういえばお色直しのドレスも青ですよね?青色、お好きなんですか?」

「えぇ…大好きで大切な人が高校時代くれたヘアピンで…ずっと使ってるうちに青色好きになったんです。」

「大切な方から貰ったんですね…もしかして、新郎ですか?」

「いいえ、残念ながら(笑)。新郎と私の共通の友人なんです。」

今日、式に来てくれてるであろう "貴方" は、お色直しの時、このヘアピンに気づいてくれるだろうか?貴方から貰ったヘアピンはまだ大切に使っているよ…少しばかりくすんでしまったけど…。



式が始まった。花嫁姿の君は綺麗だった。

貴方が来てくれた。貴方の姿を見れて幸せだった。


いつの間にか君が好きだった。

ずっとずっと貴方が好きだった。


僕は君と付き合えたら幸せだけど

私は貴方といれるだけで幸せなのに


きっと僕じゃ君を幸せにできない…

貴方は私じゃない方が幸せだよね…


あいつが君を幸せにしてくれる。

他の人が貴方を幸せにしてくれる。


     だからどうか、大好きな君/貴方は

       誰よりも幸せになってね

     君/貴方の幸せを誰よりも願ってます

まずは…ここまで読んでくださってありがとうございます!

いかがでしたでしょうか?相手が大事だからこそ、自分の気持ちを閉じ込める男女のお話…。どうしても書きたくて書いてみました。

恋愛は人それぞれの考えによって変わっていくものだと私は思います。もしかしたら、付き合えたかもしれない、結婚できたかもしれない。戻れない過去に後悔するのも、恋愛の1つなのではないでしょうか?


お話を書くのが初めてなので悪戦苦闘でした…。

再度になりますが、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!貴方様に幸あらんことを!

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