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僕の片思い

作者: めい

誰もが一度は経験したことのある、切ないけど幸せな片思いの物語です


僕は29歳、彼女なし。

恋愛に興味がないわけではないけど、人見知りで臆病な僕は、好きな人が出来ても告白する勇気もない情けない男。

恋愛経験も少なくて、今までの彼女も相手から告白してきた人ばかり。

だから相手の気持ちに応えられず、長くは続かなかった。


こんな僕でも、周りが見えなくなるくらいの大恋愛がしたいとは常々思ってる…


そんな憂鬱な毎日を送ってた僕だが、最近少し気になっている人がいる。

同じ会社の10コ年上の先輩。

部署が違うからあまり話す機会はないけど、いつも笑顔で明るくて仕事も出来て、人望も厚い人気者で、先輩はいつも輝いていた。そんな先輩のこと実は入社した時から気になってた。


でもこんな地味な僕のことなんて相手にされるわけもなく、時々仕事で会話をするだけの関係…


そして今日も仕事から疲れて帰って来て、そろそろ寝ようかと思ったその時、携帯が鳴った。

こんな時間に誰だろうと携帯を見ると、なんとその先輩からのメールだった。


仕事の関係でメール交換はしていたが、僕から連絡する勇気なんてなかった。

もちろん向こうから来るなんて夢にも思わなかった。


何かの間違いじゃないかと半信半疑でメールを見た。

内容は、何日か前に仕事を手伝ったことのお礼のメールだった。

短い文だったが、礼儀正しくて優しい彼女の性格がその文章から伝わってきて、僕の胸は高鳴る一方だった。


返信しないとって思いながら、でも何て返したら良いかと考えすぎて、たった3行程のメールを打つのに1時間もかかってしまった。

その後何度かたわいもない会話のやりとりをして、僕はずっと顔がにやけてることに気付いた。


その日から先輩のことが更に気になってしまった。意識しすぎて、職場で会っても恥ずかしくて目を反らしてしまう自分がいた。


こんな情けない自分に落ち込んだり、でも先輩の笑顔を見ると幸せな気持ちになったり。

いつの間にか僕は先輩に恋をしていた。


先輩に恋をしてから僕は臆病者になった。

先輩のちょっとした言動にいつも心が動かされていた。

29年間生きてきて、こんな気持ちになったのは初めてだった。


僕は気持ちを抑えきれず、勇気を振り絞って先輩に気持ちを伝えようと思った。



先輩が仕事が終わる時間を見計らって、会社の前で待っていた。

30分後、先輩らしき人影が見えて、嬉しくなった僕は駆け寄ろうとした。


すると、、

信じられない光景が目の前にあった。



先輩は会社の上司と腕を組んで出てきた。

予想外の光景に僕は思わず柱の陰に隠れてしまった。

確かその上司は既婚者で、子供もいたはず…


でも先輩は満面の笑顔で、幸せそうにその上司と話しながらその場を去っていった。



色んな感情が僕の心をかき乱し、僕はその場に立ち尽くしていた。



それから僕はなるべく先輩のことを考えないように、見ないように、関わらないようにして、ただただ無心で働いた。


そんな日々が続いて3ヶ月程経ったある日、会社の廊下で泣いている先輩がいた。


僕はその場を通り過ぎることが出来ず、先輩に声をかけた。

「大丈夫ですか?」

もっと気のきいたことを言いたかったけど、そんな言葉しか出てこなかった。


先輩は目に涙をいっぱいに溜めて、僕を見上げた。

「大丈夫だよ、ちょっと悲しいことがあって」と無理に笑顔を作る先輩が、僕はいとおしくて仕方なかった。


それからまた僕と先輩はメールをやりとりするようになった。

そして時々飲みに行く仲になっていた。


不倫していた上司とは別れたらしく、先輩はすっかり元気をなくしていた。

傷心して、しばらく彼氏は良いかなって話す先輩のことを見つめながら、僕はこの人のこと守りたいと思った。


いつか先輩の傷が癒えてくれた時、その時先輩の隣にいるのが僕でありますように。


そう心から願っていた。

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