選択……5
ふ。と、冷静になる。
そう言う体験って、誰にでも有るのだろう。
直前までの感情が消えて、冷静になる。
何故か、斜め上を向いていた視線を下げる。
ああ……。
消えたのは感情だけじゃなく、雑音もだったか。
最後の一人が同じ形の物に変わっただけの変化。それがきっかけだろうか。
これで、自分にあれを差し向けた国は消えた。
……疲れた。どうせ400年もしない内にここに居た全員は死ぬのに。自分で殺る必要有ったかな。
疲れた。休もう。家……建てる所からだけど。いや、土地も探さないと。
やっぱりちょっとムカついてきた。
なので、
周囲の素材を使って宙に浮かびながら巨大なお絵かき。数万かな?もっとかな。
それだけの人の血と肉を対価にした、呪い。
穢れ在れ。
穢れ在れ。
この土地を呪え。
血を啜れ。
死肉を喰らえ。
魔力を淀ませて呪え。
この血を収める器を奪え。
この地に足をつく者の一部を永劫に奪え。
うん。良い出来。
自分が呪った物で【独立】が効かない、自分も足つけると呪われてしまう。だから、浮かびながら。
つくとしたら『呪い(部位欠損固定)』かな?
指とかならマシで、腕や脚が死ぬまで欠損したままになるという。運が悪ければ首持ってかれるか。
これだけの人の血を使ったから、地の呪いどころかその結果と言うか、呪いの欠損も解除出来ないかもしれない。
あ。『呪い(出血)』ついた。
本当に人を呪わば穴二つ。
でも〈闇属性〉が高いし、供物も十分だったから返った呪いは大したことない。
〈光属性〉〈阻害属性〉高い上に〈調薬〉で調整すれば解呪は可能か。
よし。気も済んだし引きこもろう。
スタンピードはあれ、ほとんど自分は悪くない。
依り代が殺される、自分が殺されたみたいに感じるから暴れただけだし。
勝手に魔物が逃げただけだし。
魔物の誘導なんてしてないし。
しばらく依り代も控えよう。人怖い。
家で使おう。依り代も自分だから一人遊びみたいになるけど。
怖かった。
恐かった。
頭に血がのぼって、考え無しだった。
八つ当たり以外にも魔女に手を出したから呪われたと、思ってくれれば良いけれど。
自分は生産が好きな魔女。
討伐隊を返り討ちにした。
国を使って呪いをかけた。
畏れて。
恐れて。
怖れて。
どうか放っておいて……。