私が悪役令嬢物を書くなら
ふと思った。
「私が悪役令嬢を書くとしたらどんな感じになるのだろう」
え? そんな事よりも続編を書け? ちょっと待って欲しい。私は自他ともに認めるテンプレ作家である。処女作の「異世界は幸せ(テンプレ)に満ちあふれている」から始まって、テンプレ作品を書き続けているのである。
お分かりだろうか?
悪役令嬢物は小説家になろうでも書店でもよく見るではないか! なら、このジャンルはテンプレである。私の出番であろう!
……。ごめんなさい。悪役令嬢物が好きだから、自分でも書いてみたくなっただけです。
さて、気を取り直して悪役令嬢である。彼女はいったいどんな人物なのだろうか? 私の好きな作品では共通項がある。まずは列挙してみよう。
悪役令嬢とは
・乙女ゲームの登場人物である
・ゲーム主人公であるヒロインのライバルである
・性格は悪い
・取り巻きが多い
・公爵令嬢や伯爵令嬢である
・父親は重職に就いている
・縦髪ロール(金髪が多い)である
・「おーほっほっっほ」と笑う(個人的な感想です)
・扇子を持っている(個人的なry)
・ゲームヒロインをいじめ抜く
・頭脳明晰である(事が多い)
・だいたい学院が舞台で、唐突にゲームヒロインの前に現れる
・断罪イベントではある意味主人公
・婚約者は王子で、主人公に取られる
・断罪イベント後は処刑されるか、一族郎党が処刑される
・そこまでじゃなくても国外や修道院に追放されてしまう
どうであろうか! このキャラ付けのしやすさ! 属性持ちすぎでしょう。これなら私でもキャラ付けして書けるのでは!? と思っても仕方ないでしょう。
しかし、ふと気付くのです。これだけでは足りないと。貴族ですよ? 学院ですよ。さらには貴族が多く集まる学院ですよ? そんなお嬢様やお坊ちゃまが集まる学校を書けますか?
制服は? 校則は? 食堂はあるの? 何年制? 先生は貴族の子弟である子供相手に授業なんて出来るの?
しかも、そんな学院に平民である主人公がやってくるんですよ? 無理でしょ。どう考えても無理でしょ? 魔力が多い? 実は王族の隠し子? 実家はパン屋さん?
もし、私が「学費無料です! 貴方は100年に一度の逸材です! ぜひ貴族の多い学院に入って下さい」と言われても、そんな学院に入学なんて恐れ多くて出来ません。
たとえ学費免除と言われても無理ですよ。イベントてんこ盛りなんでしょ? ぱーてーとかあるんでしょ? ランチを食べに行っても1食金貨1枚なんでしょ? 「銀貨? 銅貨? てっか? 鉄の貨幣? いえ、金貨なら従者が持っているのを見たことありますが……」とか困惑されるんでしょ? (個人的なry)
あれ? 悪役令嬢を書く話なのに書けない理由を並べている気が……。いかん! いかんぞ! 私は書籍化している作家。そう、誰がなんと言おうと商業作家なのです!
苦手だからと逃げるわけには行かない! 常に最良のコンテンツを提出しようとする気概がなくてどうする。
ふー。実に危なかった。実に危なかった(大事な事だから2回)。逃げちゃダメだと人型ロボットぽいのに乗っている14歳の少年も言っている。14歳? うちの上の子よりも年下じゃないか! なんで子供にそんな事をさせているの!
ちなみに敵から白い悪魔と呼ばれているロボットが搭載されている『木馬』と呼ばれた乗り物の艦長は、軍歴6ヶ月の19歳なんですよ。え? マジで? 6ヶ月の新兵だったの? (ネット検索で初めて軍歴を知った)
あれ? 何の話だっけ? そうそう、ロボットには夢とロマンが詰まっている話ですよね。痛ぃ! ちょっと叩かないで。分かってる。悪役令嬢の話ですよね。
それにしてもエッセイっていいですよね。横道にそれても怒られないから。いや、嘘です。そもそもエッセイとは何だろうと? と私も思っているのです。
えーと、困ったときのggrksですよね。なになに「自由な形式で自分の意見を述べた散文」だと? なるほど、天意を得たり! 私が今書いている文章はエッセイなのですよ!
はい。すいません。文字数を稼いでいるわけではないのです。散髪の時間待ちに暇つぶしに書いているわけではないのです。18番が呼ばれたからあと3人か(21番の予約札を握りしめながら)。
そうそう悪役令嬢の話です。私が書くなら、まずは情報収集ですね。
悪役令嬢物とは
・悪役令嬢に転生してしまう
・断罪される未来を知っており回避しようとする
・ゲームヒロインには極力近付かない。もしくは仲良くなる
・追放された場合のために蓄財に励む、もしくは収入源を確保する
・攻略されるキャラクターには近付かない、でも仲良くなっちゃう
・追放場面で覚醒した場合はあっさりと退場していく
・コロッケが好き(特定作品)
・渡り鳥丼屋を開業する(特定作品)
・ダンスを踊るのが好き(特定作品)
え? 特定作品が多いだろうって? いいじゃん!
「アルバート家の令嬢は没落をご所望です」
「悪役令嬢はダンスがしたい」
特定作品はこの2つですよ! URLを貼れって? 調べる事も出来ませんの? これだから平民は。貴方とわたくしとでは時間の貴重さが違いますわ。そもそもそのような雑務を私がする訳ないでしょう。それすらも分かりませんの?
おお、いい感じで悪役令嬢の台詞が書けた。これは私でも悪役令嬢物が書けるのでは? ワンチャンあり?
ほわんほわん(書いてるのを想像中)
「第一位王位継承者であるダイチオジ・スゴイネーである私は、君との婚約を破棄する! 理由は君が一番知っているだろう。また私は、このヒロン・イゲームを婚約者候補とする事も発表する」
「「「おぉぉぉぉ!」」」
「なんですと! いつの間にそのような話が! そのような情報は聞いておらん」
「これは帝国に報告しなければ」
「誰だ! ヒロン? 平民だと!?」
ダイチオジの言葉に卒業式会場となっている講堂に衝撃が走る。それほどの言葉であった。スゴイネー王国はラーイバル帝国とは覇権を争っており、今回のダイチオジと公爵令嬢との婚約は、最終決戦を控えた貴族と王家との結束を高めるものと位置付けられていたからである。
「殿下。突然のお話で驚いておりますわ。では私はどうなるのでしょうか? 殿下から婚約破棄されると困りますわ。次が無くなりますから」
「ちょっ! 筋書きと変わるからアドリブはやめて! ……ん! いいか! 君がヒロンへ行った数々の狼藉! 私は見ていたのだ!」
「見ていたのなら助けてあげて下さいませ」
「だーかーらー! やめてってば!」
壇上にいるのは3人。第一王子であるダイチオジ・スゴイネー。ダイイチオジの背後で震えているヒロン・イゲーム。そして、糾弾されている悪役令嬢の3名であった。
ほわんほわん(想像終わり)
よし! 良い感じじゃないか! これなら私が書いても良いと思うんですよ。エッセイなのでネタバレもなにもないですが、実はダイチオジ・スゴイネーとヒロン・イゲーム、悪役令嬢の主人公は仲良しであり、主人公は転生をしています。そして、3人は小さな頃に色々と話し合い、学院で『未来を変えないけど、バッドエンドは避ける』ために共同戦線を組むのです。
ん! 良い感じですね。
では、エッセイとしてのまとめに入りましょう。
「私が悪役令嬢を書くなら」は出来そうです! ん! 良い感じでまとまりましたね。まあ、実際に書くかどうかは不明ですが。(おい)