1 【ちびっ子になった】
「うぅ・・・。うにゃぁぁ・・・。」
僕は小鳥の平和なさえずりで目が覚た。
僕は周りを見回した。
ここは寝室。それもとても可愛いイメージの寝室だった。
ぬいぐるみはあちらこちらに散らばっていた上にベッドは姫様ベッドであった。
さらに壁はピンク色に塗られていた。
この状況を合理的に推論してみると…
僕は部屋の端にある姿見の前に立った。
軽く深呼吸をして鏡に映った姿を眺めた。
「やっぱり・・・。」
僕は可愛いパジャマを着ている、
小さい女の子になっていた。
…再び考えてみよう。
僕はきっと5つの【特性】を選んだ。
そしてスタートボタンを押すと、急に目に見えなかった小さくて透明な文字が見えてきた。
「これ、完全に詐欺じゃん。」
見えない文字がいきなり飛び込むなんて、
これ、完全に詐欺だよね。
…まあ、そのようなことはさて置いて、まず【欠点】を一度見てみよう。
【チビ】は言葉通りチビになることを言いているようだった。
実際に18歳であることにもかかわらず、僕の身長は130㎝くらいだった。
まあ、とりあえず元気だからいいとしよう。
次は【私生児】。
これも言葉通り僕が私生児だと言うのだろう。
この部屋の大きさと【お金持ち】の特性から考えてみると、僕は貴族の私生児てことなのかな。
【無視され易い】、
これはよく分からないのでパス。
【方向音痴】と【悪筆】は言葉そのままの【欠点】だろう。
方向音痴はよく分からないけど、悪筆の方は前生の僕も悪筆だったから、あまり変わることがないとしよう。
深刻にマイナスになる要素はないが,
ランダムに選択されたわりには微妙に悪意を感じる組合だった。
僕はもう一度鏡の前に立ってみた。
ふわっとしたお姫様パジャマを着ている僕は、
外見で見ては小学生、それもかなり低学年みたいだった。
黒髪に黒い目は西洋式のパジャマには似合わないと思うが、
顔は女の子にしては普通にきれいだと思う。
どちらかというとかわいい系だが、
小さなチビ体形がすべてを削っていることは違いない。
以前にはちゃんと歩くこともできなかったから、
健康に歩き回ることができるだけに、文句は言わないようにしよう。
僕が鏡の前で体をくるっとまわってみたその時、
メイドだと思われるある女性が部屋に入ってきた。
「ちひろ様、おはようございます。 食事を持ってきました。」
メイsドは私の体形に似合う小さな机の上に食事を置いた。
ライムギパンにスープ、簡単なサラダまで、朝ご飯では条文だった。
僕はメイドさんに軽くあいさつした。
「ありがとう。」
メイドさんは僕の言葉を聞いて露骨に嫌という表情で舌を鳴らした。
「チッ。」
メイドさんは部屋のドアを強く閉めて、部屋から出てしまった。
・・・あれ?
僕、何かした!?
私はいらいらしたが、
机の上にあがっていた写真何枚を見て一気に理解することができた。
家族、と思われる人たちはみんな金髪に青い目をしていた。
だが僕だけ、黒髪に黒い目をしていた。
他の家族は皆明るく笑っていたが、僕だけ悲しそうな表情を顔に浮かべていた。
さらに、18歳になるまでこんなに小さい体をしていたとしたら・・・。
僕は窓を開けた。
鬱蒼な森が見え、その向こうには華やかな城のようなものがあった。
そして壁をよく見ると、ところどころがひびが入っており、壁紙としても隠すことができないほど水が漏れていた。
たぶん僕は完全に呪われっ子扱いされるようだった。
そうするとさっきの反応も充分に理解ができた。
一応、お腹がすいたので僕はメイドさんが持ってくれた食事を食べ始めた。
パンはかたくてスープは薄い。
その上、パンを半分だけ食べてないのにお腹がもういっぱいになってきた。
恐らく体が小さいからだろう。
私は食べ残した食事をドアの外に置いた。
以前だったらこの程度は全部食べてたけど、
恐らく体とともに胃も小さくなっただろう。
「ふむふむ。」
チビになったこの状況もまだ理解できないのに家庭の事情まで複雑するとは。
もう、何をすればいいのだろう。
僕が悩んでいるその時、
外から食器を整理するおとが聞こえてきた。
すると、今度には年を取った白髮のメイドさんがドアを開けた。
「ちひろ様!今日が何の日か忘れていましたか!」
メイドさんはびっくりした顔で私を見つめた。
「まだパジャマですか!」
「ふあっ!?」
メイドさんは僕に近づいてきて、
なれた手付きで僕のパジャマを一気に脱がせた。
心の準備がまだできていないというか、いきなり服を脱がされては・・・
恥かしい気持ちを隠さないまま僕は一応目を閉じた。
柔らかい生地が肌あちこちを撫でるその感覚は耐えられるものではなっかった。
僕は深呼吸をして、目を開けた。
すると、鏡の中には制服を着て髪をとかした僕の姿が見えてきた。
「あの、今日、何かかあったけ?」
メイドさんはため息をついて答えた。
「今日は学園に行く日ではありませんか!早く準備をしてください!」
学園?
メイドさんはベッドのそばにいる僕の荷物に見えるものを指で指しながらそう言った。
ウサギの形をしたピンク色のかばんだった。
僕はかばんを背中にかけた。
「さあ、早く行きましょう! 馬車を用意しておきましたから!さあ、さあ!」
メイドさんが僕の手を取りながらそう言った。
聞いたことない、って答えないのが辛らかったが、
このメイドさんはさっきとは違って何だか僕を家族のように扱あつかっていると感じた。
別館の前には木でできた馬車が待機していた。
僕は馬車に乗ろうとしたが、入り口の階段がどっても高くてなかなか足が届かなかった。
僕が踵を上げてジャンプしていると、
その光景を見ていたメイドさんが僕を馬車へ上げてくれた。
御者のムチ音とともに、馬車は勢いよく動き始めた。
目を覚めてから2時間、僕は訳も分からないまま'学校'というところに向けだした。