表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/39

きっと、最後の

フタツの足元には、パンドラのものだろう血だまりができていた。


「フタツ!」


ためらいなく、プロメテウスに弾丸が向けられる。

回避して、上空へと飛ぶ。

パンドラはまだ存命だ。

流れ弾を防がなければ。


「やめてフタツ!なんの意味があるのっ」


戦争は終わった。

こんな風に、撃ち合う必要などないはずなのだ。

撃ち合ってどうにかなる時は過ぎたのだ。


「意味?」


プロメテウスの問いに、フタツは薄く笑みを浮かべる。


「お前には、わからない」


そう言い捨てる。


「言われなければもっとわからない!」


下から撃たれる弾丸を避けながら、上へと逃げる。

この期に及んで、プロメテウスは戦いを避けたかった。

フタツに銃口を向けたくなかった。

同じ、機械化兵に。仲間に。


「……新政権では、生きられない者もいる」


静かにつぶやかれた言葉は、すぐに銃声にかき消される。

フタツからの攻撃ではない。


「ーーっ!」


視認して初めて、フタツ以外から銃口を向けられていることに気づいた。

たった4機の機械化兵。

けれど、その存在に気づかなかったことに動揺する。


「これは……」


視認できない敵。

戦争の終盤で敵が使用したステルスの新兵器。

何故。


「なんで……!」


その技術が、仲間であるはずの、仲間であったはずの機械化兵が使用している。

その事実は、嫌な予感を確信へと変えて行く。


「戦いの中でしか、戦争の中でしか生きられない」


4機に気をとられている間に、フタツは差を縮めてきていた。


「理解、できないだろう?」


そんな奴らがいるなんて。

そう言う彼は、どこか自嘲気味で。

裏切られた怒りが削がれて行く。


「できない」


フタツの顔を見据えて、プロメテウスが答える。


「だからといって、なぜこんな凶行に走ったの。なんで、なんで……」


帝国を、裏切ったのか。

何故。

いつから。


「お前のその想像が真実かは知らないが」


フタツはゆっくりと照準を合わせる。

プロメテウスは動かない。


「目の前の全ては現実だ」


放たれた弾丸は真っ直ぐに。

ためらいは微塵もなく。


「フタツ……っ!」


回避行動を取ったプロメテウスは、その動き一つで2機の機械化兵を地に落とす。


「デウカリオン!」


叫ぶ。

すでに到着していたデウカリオン達が動く。


「パンドラ様とエピメテウスの救護、急げ」

「救護班向かっています。応急処置、開始」


シチとシイが地上ですでに動いていた。


「リク!」

「またやられた」


リクは少し離れたところで起き上がる。

不意の一撃を食らって停止していたようだった。

彼のそばにはムツが駆けつけていた。


「イツキ」

「地上の2人、拘束完了。地上から補佐します」


プロメテウスが落とした時点で、2機はすでに行動不能になっていた。

イツキは上空に銃口を向ける。


「ミツ」

「補佐します」


プロメテウスの背後にミツが立つ。


「2機を頼む。新兵器に気をつけろよ」

「了解です」


プロメテウスは、目の前のフタツから目を離さない。

悠長に、相手は全ての指示が終わるまで動かなかった。


「揃い踏みだな」

「クソが」


笑って言ったフタツの言葉に、ミツが悪態を吐く。


「さぁ、戦争の時間だ」


銃声が響く。

戦いの口火が切られた。

ナナはお留守番

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ