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謎に遭遇する日8

冒険者視点です。


side 「断絶の剣」スケイル



また歩き出した冒険者集団はその後10分程で森の出口付近に辿り着く。


「よーし。この先は見渡す限りの草原が広がっているから草原に出たら後衛職を中心に、少し距離を開けた円陣で進む。みんなそのつもりで動いてくれ!じゃあ行くぞ!!」


スケイルが号令を掛ける。

そうして冒険者集団は森林地帯を抜け草原地帯に出る。

ここで本当は円陣を組むはずなのだが誰も動かない。

何故なら冒険者達の視線の先には巨大な象のようなものが居たからだ。

距離は大分開いているがそれでも冒険者達には緊迫した空気が流れていた。

冒険者の誰かが言う。


「な、なんだよあれでかすぎだろ!?」


「む、無理だ!退却しようぜ!?」


冒険者達は今すぐにも逃げ出しそうな状態だが、「断絶の剣」のメンバーは落ち着いている。

そしてスケイルが他の冒険者達を落ち着かせようと声を張る。


「落ち着け!奴はこちらから攻撃しなければ襲ってこない。機嫌が悪くなければな……。」


最後の方は近くにいる「断絶の剣」のメンバー以外には聞こえない程度で呟く。


「とにかく陣形を組め!今魔物の集団に襲われたらひとたまりもないぞ!」


そこまで言い、ようやく冒険者達は動き出す。

円陣を組み終わったのを見るとスケイルはガースに声をかける。


「奴の様子はどうだ?」


「どうやら寝ているみたいだな。しかし、何か違和感がある……。」


「違和感?」


「ああ……以前見た時はもっと存在感があったような気がするんだが……。」


「う〜む…痩せ細ってるような……気のせいか?」


「はっ!そうだ、確かに痩せ細ってる!

何が原因だ?」


ガースは考えるが全くわからない。

そんな時、「断絶の剣」の中で一番目のいいシリアが人差し指を巨大な象にむけ驚きの声をあげる。


「おい、奴の近くに何かいるぞ!」


「「なんだと!?」」


スケイルとガースはどこかの双子姉妹みたいに同時に声を上げ同時にそちらを見る。

そこには白く見える獣がいた。


「狼か?」


距離が離れているためハッキリとは見えない。

そのため、スケイルはシリアに確認しようと聞いた。

しかしシリアからは思いもよらない返事が返ってくる。


「あれは断じて狼なんかじゃない!!

あれは……あれは狼に似た何かよ。気づかれる前に逃げた方がいいわ。」


少し震えた声で答えるシリアを見たスケイルは警戒レベルを最大限に上げすぐさま行動に移す。


「ガース、円陣を組んだばかりだが、すぐに退却出来るようみんなに伝えてきてくれ。」


「分かった。」


ガースは円陣を組んでいる冒険者達に未確認の魔物がいる事と危険度が高い事を伝え、いつでも退却出来るよう準備に取り掛かる。

スケイルは準備が出来つつあるのを見た後シリアに聞いた。


「あの獣はどうしてる?」


「……」


「どうした?」


スケイルは何も答えないシリアを見て冷や汗を流す。

シリアの体は震えながら強く手を握りしめているのを見たからだ。

シリアは震えながらも言う。


「……気づかれたわ。」


「!」


スケイルは獣の方を見るが何も動きはないように見える。

しかしシリアにはハッキリと見えていた…獣が3つの目でこちらを見ている姿が。


「何も動きはないように見えるが本当に気づかれ…」


そこまで言ったがその先の言葉は出てこない。

何故なら獣が突然こちらに向かって走り出してきたからだ。


「なっ!」


スケイルは後ろを見て退却準備が整っているのを確認すると声を張り上げる。


「ガース!フィー姉妹!こっちに来い!

あの獣の足止めをするぞ!他の奴らは今すぐ撤退だ!!」


「了解だ」


「「は〜い」」


「断絶の剣」以外の冒険者達は森の中に退却し、ここには「断絶の剣」のメンバーだけが残った。

そして段々と近づいてくる獣の姿は次第にハッキリしてくる。

狼の顔に3つの目と鋭い牙が生えており、その体は白に近い灰色の毛に覆われていて、一対の翼が生えている。

そして尻尾は目と同様に3本あった。

その姿を見た「断絶の剣」のメンバーは全員、体が震えていた。

臆病な性格のガースはもちろん、先程まで元気一杯だったフィー姉妹も手を繋ぎながら震えていた。

スケイルも例外ではなく、体が震えて力が入らない。

しかし、このままでは不味いと思ったスケイルは雄叫びを上げる。

自分を、そして皆を鼓舞するために。


「うおおおおおぉぉ!!!」


その瞬間、異形の獣は立ち止まる。

警戒して止まったのか?とスケイル達は思うがそれも束の間、異形の獣は3本の尻尾を立てゆっくりと翼を広げる。


「「「「「?」」」」」


スケイル達は何をするつもりなのかとじっと見つめる。

異形の獣は翼を広げきったと思ったら短く吠えた。


「があぁ!!」


その瞬間、異形の獣の翼と尻尾は数百の触手に変わる。


「「「「「ひっ」」」」」


「断絶の剣」の面々は短い悲鳴を上げ、ガースとフィー姉妹は腰が抜け座り込んでしまう。

スケイル達の頭の中に死という言葉が思い浮かぶ。

しかし異形の獣はこちらを見つめるだけで襲ってこない。

数分の静寂が訪れる。

スケイル達には数時間にも感じたがそれも終わりが来た。

異形の獣が動き出し、遂に来たかと思うスケイル達だったが、何故か異形の獣は踵を返し来た方に歩いて行く。


「……た、助かったのか?」


「ど、どうやらそうみたいね……。」


「「「「「よかったぁ〜」」」」」


スケイル達は安堵の息を吐く。


「奴の気が変わらないうちに俺らも逃げよう。」


スケイルがそう言うと、先程まで体が震え動けなかった事が不思議に思うくらい早くその場から逃げ出した。

その後半日程かけて、先に逃げていた冒険者達と合流しさらに3日程かけて街に戻った。

その間、「断絶の剣」の面々は殆ど言葉を発することはなかった。




次回から主人公視点に戻ります。

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