謎に遭遇する日7
今回は別視点になります。
ここは絶望の領域と言われる場所。
広大な土地に様々な環境がある。
草原、森、砂漠…果ては雷鳴地帯など様々な環境がこの領域にある。
そしてそこに住む魔物、これが非常に強いとされている。
そんな絶望の領域でも比較的安全と言われている場所が森林地帯と草原地帯だ。
そこには20人程の集団が歩いていた。
side S級冒険者「断絶の剣」リーダー
絶望の領域の森林地帯には現在4つのパーティーが菱形の陣形で歩いていた。
そして先頭を歩くパーティーが人類種の中で最強クラスの力を持っている冒険者パーティー「断絶の剣」。
そんな彼らがここにいるのは怪しいと思われるものを見つけるためだ。
しかし何を見つけていいのか分からないため何日も森を調査していた。
「ったく。
なんで俺たちがこんなことしなくちゃならんかね?」
そんな愚痴にパーティーの女が答える。
「仕方ないではないか。
私達だけではなく人類種が総力をもって世界中を調査しているのだから…。
噂では3人いる魔王のうち2人とは裏で休戦協定も結んだらしい。」
「まじかよ。
魔王と手を組むとか正気か!?」
「そこまでの事態と言うことだ。
スケイル、君もその事をちゃんと理解して調査に当たってくれ。
でないと、真面目に調査している者達に失礼だ。」
「相変わらずシリアは冒険者のくせに真面目だな。
騎士にでもなった方が良かったんじゃないか?」
「それは何度も言っただろう?
私はスケイルと一緒にいたいんだ。」
「お、おぅ…。」
スケイルは別に照れているわけではない。
少し気圧されているのだ。
シリアは真っ直ぐで素直な人間だ。
真面目で面倒見が良く人当たりも良い。
しかし唯一と言ってもいい欠点がある。
それは欲望に素直過ぎる事だ。
スケイルが体を拭いている時は平気で覗いてくるし、夜寝る時はロープを持って襲いかかってくる時もある。
そんな時のシリアの目はとても恐ろしいものがある。
そしてスケイルが今までシリアがしてきた事を思い浮かべていた時、横から厳つい声が聞こえてくる。
スケイルが声がした方に目を向けるとスキンヘッドで幾つもの傷が顔に入った人物がいた。
パーティーメンバーでガースという戦士だ。
彼は見た目とは裏腹に臆病者で、優しい性格をしている。
それに薬学から魔物学まで多岐にわたる知識を持っているのでパーティーメンバーからは非常に頼りにされている。
しかし、彼は臆病者で普段は怒ることなどないがたまに切れることがある。
以前、街でガースの妹が男にしつこく付きまとわれている所を目撃し、妹が連れて行かれそうになるとものすごい形相になり、男に詰め寄り持っていた片手斧で首を切り落とそうとした事件があった。
その時はたまたまスケイルが横に居たのでなんとか事なきを得たが、この事件がきっかけで街では一番恐れられている。
「スケイル、もうすぐ奴の領域だ。
その前に一旦休憩を取ろう。」
「そうだな。
奴の機嫌が悪かったら最悪の事態もあり得るから休める時に休んでおこう。」
「「やったー!!」」
スケイルが休憩を取ることを決めると、後ろから2人の少女が同時に喜びの声をあげる。
「静かにしろ!
魔物が寄ってきたらどうするんだ!」
「「はぁ〜い…」」
スケイルに怒られ又もや同時に返事する2人の少女。
彼女らは双子の姉妹で姉が赤い髪をしており、妹が緑の髪をしている。
彼女ら姉妹は魔道士で姉が火、妹が風を扱う魔道士である。
姉妹は髪の色と属性の違いを除けばほぼ全てが同じで、顔も性格も好き嫌いも全てが一緒であり、思考もほぼ同じ。
そのためか<共有化>という固有スキルを持っている。
姉妹の性格は天真爛漫、この言葉に尽きる。
可愛らしい笑顔で周りに元気を与えるが活発すぎて周りに迷惑をかける事も多々ある。
中学生ぐらいの姉妹がなぜS級の冒険者パーティーにいるのかと言うと、色々理由があるのだが一番の理由は単純に戦闘力がずば抜けて高いからだ。
圧倒的な魔力、ほぼ同一の思考でのコンビネーション、火と風の相性のよさ、これらに加え<共有化>という固有スキルまで持っているので手がつけられない。
戦闘力が高すぎる姉妹の名は姉がソフィー、妹がラフィー、2人合わせてフィー姉妹と言われている。
そんなフィー姉妹が休憩中、スケイルに聞く。
「「奴ってどんな奴〜?」」
「2人同時に喋るな、聞き取りづらいっていつも言ってんだろうが。」
「「ひっど〜い」」
スケイルは言っても無駄だと思い聞かれたことに答える。
「言っても無駄だ。
奴に遭遇したら隠れるか逃げるしか選択肢はないからな。
ただ半端なくでかいって事だけ分かってりゃあいい。」
「「私達でも倒せない〜?」」
「ああ。
いくらお前たちの魔法が強力でも倒せん。
まぁ奴を見たらすぐにその事が分かるさ。」
「「そうなんだ〜」」
そんな話をした後、休憩も終わりまた森を歩き出す……。
次回も冒険者視点です。




