ルヴィス・グラッチ共通 分岐
「わかったわ、婚約だけね」
「フォフォフォフォ……」
城を人間にとられるのは癪だ。
しかしルヴィストスと一時的に婚約し、それからクラリオンを探せばいいだろう。
味方になる人間と敵対してはまずい。
確実に城を取り戻せそうなほうを選ぶことにした。
「……だから言ったのに」
「なにが?」
「誰にもついていかないでくださいと、言ったではないですか」
やはり大臣の息子だから、作戦を知っていてあんなことを言ったのか。
「しかたないでしょ、お父様の命がかかっていたんだから
それに……」
「あの作戦は貴女が城を離れなければ延期されました」
「……そうなの?」
「ええ」
「ところであの暗殺者誰よ、人間のくせに気配がなくて、あんな簡単に後ろとられたわ」
「……リ・グラッチのことですか?」
「知り合い?」
ルヴィストスが手を叩くと、天井から降りてきた。
「……呼んだか」
この男、珍しい黒髪をしている。
上半身は短めの衣服、褐色。中東あたりの民族衣装だろうか。
「あんた! 昨日はよくも!!」
「彼女はお前のことを気になったそうです」
「そうか、悪いがオレは間に合っている」
「そんなこと聞いてないわ。どうやって気配消していたのよ」
あれは人間にできる技じゃないし、気配ありありの魔族にも出来ない芸当。
「……ま、それは知らなくていいだろ」
「なんなのこいつ…」