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シャルドネend A 幸せな結末


――――クラウンリオンとの再会、魔王城奪還はベルマが消えたことで為し遂げられた。


人国はてっきり大臣のヴサが王座を乗っとるのかと思っていたが……。


「新たな国王エマルジェン陛下が誕生なされた!!」


ベルマの甥にあたり、放浪していた王弟の息子は花嫁を連れてやってきたらしい。

しかも魔族ダークサタンス帝国の女将軍ときた。


―――人間と魔属の恋か、うまくいくはすがない。


「シャルドネはどっちに賭ける?」

「僕らの恋が上手くいくか、についてですか?」


シャルドネはきょとり、と首を傾げた。


「……馬鹿、私の話聞いてないじゃない」

「僕は正直、彼等の行く末はどっちでもいいのですが」


堕天使とは思えないほど彼は清廉で、混血の私はとても醜く思えた。


ふと視線を彼からそらすとクラウンリオン、ダフォトス、ディオのいつもの面々がむさ苦しくも歩いているのをみかけた。


「あ、お父様がこちらにくるわ」

「僕が傍にいるときは……こちらを見てください」


シャルドネは私を柱の死角へ追いやり、彼等に見つからないよう隠れた。


「どうして隠れるの」

「貴女のことになると魔王が魔王になるんです」


シャルドネは小さな声でいうと、思いだしながら苦笑する。


―――ミシッ、柱にヒビが入る。なにか衝撃を受けたようだ。


「ちょ……あぶなっ」

「隠れてコソコソ何をやっている貴様ら」


「まさかグラッチがいたなんてね。というかルヴィストスまでなにしにきたの?」


「魔王へ貴女との婚約について真剣に話にきました」

「……は?」


ヴサの話ならもう拒否して済んだはずなのだけど、彼は何を言ってるんだろう。


「……私は諦めていませんから」


ルヴィストスはシャルドネを睨むが当の彼は動じていない。


「諦めるもなにも、彼女は出逢った日から僕のものですから」


遠回しにルヴィストスに帰れといっている。


「オレ達ピエロやりにきたんじゃないだろ。帰ろうぜ」


ルヴィストスは真顔のまま固まり、グラッチに担がれて帰った。


「……」


しばらく沈黙していると、上から白い羽が舞った。

またネフィリビウムが来たのだろうか、警戒していると――――


“シャルドネよ”


「この声は……大主天神(パティオン・キングス)!」


話しかけているのはシャルドネの住んでいた天界の神らしい。


「僕を……いえ、なぜ私を堕天使になさったのですか!?」


シャルドネが膝を折り、姿の見えぬ上を見上げた。


“此度の件、我は関与しとおらぬ”


「……では?」


“そなたが堕天した当時、我は人間として転生させられておった”


神が人間になり人間界にいるということは、シャルドネを堕天させたのはやはり――――ネフィリビウムで間違いない。


「キングスは現在何を?」


“パティシエールをしておる”


「しかし神は男性ではございませんでしたか?」


“ああ、今も男だが私の姫が勘違いしているままでな、というわけでそういうことにしている”


―――いや、どういうわけだ。


“力が戻った今、そなたを元に戻すことはできるぞ”


「いえ、お言葉はありがたいのですが……」


シャルドネは天使・天界に戻ることをどちらも断った。


「どうして、天使に戻りたかったでしょ?」

「天使に戻れば、神を愛さなければならない。僕は貴女しか……これからずっと愛せないでしょう」


彼は会って間もない私のために天界を、白い翼も捨てるといった。


――――それは彼のもつ誠意や覚悟を伝えるのに十分すぎる。


「私、であったときから貴方のことは好きでも嫌いでもなかった」

「嫌いでなくてよかったです」


だから私も過去のことを、種族のことを悩むのをやめよう。


「今は貴方がとても好きなの。突然すぎて嘘みたいだけど私の言葉を信じてくれる?」

「もちろんです。本音でも嘘でも貴女が僕を好きと言ってくださるならそれで構わない」


【HAPPY..5番目の堕天使】

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