プロローグ みか先生かく語りき
ブス! これを聞いてあなたはどう思いますか? そんなブスをめぐっての、一人の女の子の心の成長を描きます。さて、どうなりますか。でははじまりはじまり…
ねえ、君たち、ブスって聞いて何を想像する? ほら、笑ってないで、ちゃんと考えてみてよ。
じゃ、一番前の君。どう思う? え? このクラスの女の子たち、みんなブスだって? あ、コラ、いきなりの考え無しパンチは危ないぞ。逆にめった打ちに遭うから気をつけなさい! ほら、だからって、女の子たちもこのクラスの男子だってみんなブスじゃん! って言いながら後ろから男の子をこづくのは止めなさい! 何も先生はみんなを争わせようと思ってこんなコトを聞いた訳じゃないんだから。
はい。静かに!じゃ、今度は女の子に聞いてみようかな。一番後ろのあなた。どう思う? うん、太ってて色黒で目が細くて…へえ。そうか。女の子も男の子も、大体の子が今の意見に賛成してるみたいだな。
はい、確かに今のこの国では、テレビに出てる人気俳優さんやアイドルさんたちは、今の意見とは正反対の人たちだね。簡単に言うと、美人、美形と言われる人たちは、目がぱっちりと大きく、八頭身で色白細身だ。
でもね、所変われば品変わると言う諺があるように、太ってなければ美人じゃない、細身はブスだってトコもあるんだよ。
色黒が美人の条件のトコもある。だからそこでは色白はブスなんだ。日本では、色の白いは七難隠すって言う程大切なのにね。ほら、君たちのお母さん方だって、美白、美白って努力してるんじゃないかな? けどね、そこでは、もうまるっきり状況も違うんだね。そうだ、みんなの大好きなアイドルさんなんてもうブス中のブスってコトになるんだよ。うん、ウソじゃない。これはホントなんだ。他にだって首が長くなけりゃダメってトコもあるし、もっと驚くべき理由が美人・美男子の条件のトコもある。だからブスの条件も当然違ってくるんだね。
え? そんなのは特別で、日本では問題外だって? うん。そうだね。でもね、日本でも、昔、目が細くて下ぶくれのお多福顔が美人とされていた時代もあったんだよ。だからその当時のブスはそれとは正反対というわけ。ウソじゃない。
はい、注目! つまりね、美人、ブスってものは、場所や時代によって違ってくるわけ。ちょっぴり難しい言葉で言うと、文化の違いでまるで変わってきちゃうんだ。だからね、人間は見た目はそんなに重要じゃないんだ。一番大切なのは気持ちなんだよ。だからブスって言うのはね…