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宿屋のメリー告白大作戦  作者: ミツキ
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回答者・未亡人キャリー


どうも。私メリーです。

いま貴女の背中に隠れて震えてるの。




_回答者・未亡人キャリー


ぜぃはぁ。


「・・・兄妹はあんたの名前を叫びながらウォルトの家に走って行ったよ」


ぜぃはぁ。

チャロさんに私を捜索させる作戦ですね。

ふっふっふ。チャロさんはこの時間は隣村の彼女のところまでお散歩中なんです。

まだまだ甘いですねっ!


「昔から元気だねぇあんた達は。

まぁ木を飛び移るあんた見るのは久しぶりだけどさ」


窓が開いていて助かりました。


「久しぶりついでに、何か作ってよ。今起きたとこなんだ」


はい。ちょうどジェームズさんの畑から新鮮なお野菜をいただいたのですよ!

軽食になさいますか?

それとも、そのまま晩御飯になるようなものにしますか?


「よくもまぁそんな大荷物でぴょんぴょんと。

そうね、がっつりしたものをお願いするわ。あと夜食用にツマミ」


はい!


ゴソゴソ、ガチャガチ、トントンッ


「あーいい匂いしてきた。

メリーの宿屋が改修工事始まってから、ろくなもの食べてなかったからね」


それはご迷惑をおかけしました。

ケインさんの食堂は行かれないのですか?


「エリーゼをいじめるババァいるじゃない。嫌よ」


そういえばケインさんはご両親と三世帯同居ですよね。

ケインさんのお嫁さんとお姑さんは仲がよろしいので?


「たまにババァが泣きながら山から降りてくるからね。今のところ嫁が勝ってるんじゃない?」


そ、そうですか。


「あら美味しそう。カブのサラダ大好きよ。いただきますっ」



「カブのサラダ、カボチャとほうれん草のキッシュ、キノコのクリーム煮。

トマトソースのニョッキ…完食しちゃったわ」


ふぅ。ちょっとすっきりした。

あ、あの、朝食用のパンもご用意できますよ?練っていいですか?


「その笑顔みちゃったら断れないわよ。好きになさいな」


はいっ!キャリーさんの台所、私大好きなんです!


「息子達は旦那よりデカくなっちゃったから使いにくいってぶつぶつ言ってるけどね。結局、旦那の味を継いだのはメリーになっちゃったわね」


いやいや、息子さん達は師匠のお店を都会で立派に継いでらっしゃるじゃないですか。


「あのバカどもは流行にすぐ手を出すからね。じきに痛い目に合うさ。

ごちそうさま。お腹いっぱいだ」


んふふ。


「なぁに?」


美味しいって言ってもらえるのは

もちろん嬉しいけど、

お腹いっぱいって言ってもらえるのも

幸せだなぁって。


「そう?」


はいっ!


「そっか。じゃあ、メリー。

そろそろ家に帰りな。みんな待ってるんだろ」


…はぃ。


「懐かしいねぇ。親父さんに怒られて厨房出入り禁止になったときは

いつもうちに来て、泣きながらパン捏ねてたよねぇ」


その節は色々とご迷惑を。


「『親父を見返してやれ!究極の味を伝授する!』とかバカなことを言って

遊んでたのは旦那だったなそういや。

…はぁ、行ってくるよ」


どちらへ?


「メリーの家に行って、今日はうちに泊まらせますってね。

まだ帰りたくないんだろ?

あぁ別に本当に泊まらなくていいから。

気が済むまでうろついて来な。


っ!キャリーさん!キャリーさん!

大好きです!


「はいはい。旦那の野営道具の場所はわかるね?」


チュウしちゃいます!

んちゅっ!


「はいはい。行ってきな」


行ってきます!


お父さん、お母さん、弟さんたち、ご近所さま方ごめんなさい。


メリーはもうちょっとだけ、


全力で、現実逃避します!



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