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宿屋のメリー告白大作戦  作者: ミツキ
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回答者・医師エメリヒ、妹レイラ、猫カカオ&バニラ

どうも。妖怪のメリーです。

妖精じゃなくてごめなさい。


嫌ですよこんな自己紹介!



_回答者・医師エメリヒ、妹レイラ、猫カカオ&バニラ



「しっくりくるよね」

「しっくりくるわね」


多芸なだけです!もぐもぐ。


「突っ込み疲れで喉が痛いよ。

おかわりお願いできるかい?レイラ」

「どうぞ、兄さん。ケーキも食べてね」


もぐもぐ。美味しいな。

ジェームズさんはこのケーキが食べられなくて惜しかったですね。


「まぁどちらにしても痔は悪化してそうだけどね」


鞍にくくりつけた荷物の中に、お嫁さんの愛情がこもったお手製クッション

いれましたが、アルゴさんが止まってくれるかどうか。


「やめなさい年頃の娘達」


もぐもぐ。ごくごく。

ぷは。


「にゃん!」「にゃぁん!」


ナデナデ。タシタシ。

ナデナデ。タシタシッ。


「…レイラや。お兄さんの目には、猫になにやら説教されているメリーが

必至に誤魔化しているように見えるけど」


「間違いないわね。目が泳いでいるもの。もうしばらく見守りましょう」


「なぁん?」「うなぁん?」


「そろそろ追い詰められてるね」

「傍目にはゴロゴロ喉を鳴らしているようにしか見えないわ」


わかりましたよぅ

ちゃんと言いますから

それはやめてくださいっ


「何言われたんだろうね」

「嫌いになっちゃうわよとかかしら」


うっうっうっ。

お前の後頭部に舐めハゲ作るぞと脅されました。


「「まさかの実力行使」」



村に戻ってからは安心していたんです。

王都からは村は遠いですから。

品評会に出展される方々は、ほとんどが王都在住なので、

私自身はフォード領出身の村娘メリーとしか明かされていません。

主催者の王妃さまのご好意で、詳しい出身地は明かさないとお約束して頂きました。


自分の中では終わったことでした。


ただ、私のこの髪のように、

村ではただの景色に紛れるようなものでも、

私が描いた絵は、いえ、行商人さんに見て欲しかった大好きな秋の景色は

都会の人には珍しいものだったようです。


「そうなの?ただの田舎でしょ?」

「…色鮮やかなカエデやイチョウが山一面に彩る景色は、フォード領独特のものだね。

村で生まれた僕らにはわからないけど、メリーが村にやってきたのは、秋だったね」


はい。


「いつか、ガントレ子爵に見つかると思ってしまったんだね」


はい。

私はまず村長に相談しましたが、

貴族が相手では敵わない。もっと貴族に詳しい人に味方になってもらわないと、


「だから何だと言うの?メリーのご両親が、メリーを手放すわけがないでしょう?」


レイラ。あのね。


あのね、私は、お金になるんです。


村では、入賞と誤魔化してるけど、本当は優勝しちゃって。

あの一枚の絵は王子様に引き取って頂けたけど、

もし二枚目、三枚目があれば、とても高く売れます。


そして私の、この金と青の見た目も。


サロンにお招きいただいた時、

王子さまが田舎娘に恥をかかせては可哀想だからと、ドレスをご用意いただきました。


それはもう、上等な布と雪の結晶のようなレースはとても綺麗でしたよ。


でも、鏡に映った姿を見て、

ぞっとしました。

孤児院にいた頃の人形がそこにいたからです。


「実際、君は孤児院にいた頃に何度か売られたんじゃないのか」

「兄さん!」

「性的虐待目的ではない。見目の良い子を人形のように飾り立てて自慢し合う遊びは富裕層の間で昔からあった。」


「それに、君は村に来た当初、6歳なのに酷いカタコトでしか話せなかった。表情も無かったね。教会で禁じられてたんだろ?」


はい。人形として迎えられた後で、養子縁組をしてくれた家族もありましたが、すぐに教会に戻されました。

動物と会話する無表情な子供はいらないと。


でも、私はもう子供ではありません。

ガントレ子爵夫人は現在、とてもお金に困っています。

私を娼館に売ることぐらいは造作ないでしょう。


お金を手に入れるためなら、

私の両親を誘拐に関わったとして訴えるでしょう。


「教会は?養子縁組をした証明があるでしょう?」


「後ろ暗いことを探られるよりは、初めからいなかったと証言するさ。

それに、親バカのご両親だからね、教会にいた頃のことは忘れて欲しいと

書類を残しちゃいないだろう」


ありませんでした。


「親バカでお人好しなご両親だから、

なんならガントレ子爵夫人が一芝居打って、貴族の娘として手元で育てたいと言われれば、泣く泣く手放すさ。

後で訴えられるとも知らずに」


「それで、いざという時のために養女と?」


…。


「にゃっ!」


「うん。レイラ、メリー、行くよ。

カカオさん、バニラさんも着いて来なさい」


へ?あの、どこへ?


「君の家に決まってる」

「にゃ!」

「バカなあんたの事だから、家出しようとしてたんでしょ?

失恋を苦に失踪とか計画してたんじゃないの?」

「にゃ!」

「行きましょう兄さん。このバカ野放しにすると金髪を隠すために丸刈りしかねないわ」


それは第二案です!


いやちょっと待って!

話を聞いて下さい!

エメリヒさぁぁん!

レイラさぁぁん!


「「にゃふ!(ザマァ!)」」


うわあぁぁぁん!



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