回答者・医師エメリヒ
どうも。養女のメリーです。幼女のメリーじゃなくてごめんなさい。
あのですね、今日は相談があって。
今、お時間よろしいでしょうか?
_回答者・医師エメリヒ
ふしゅーっ!ふしゅー!
「メリー、大興奮の所悪いけど、そろそろ猫達を離してあげてくれないかな」
はっ!ここは?
「僕の家だよメリー。妹のレイラは買い出し中で留守だよ。そして君の膝の上の猫達が腰砕けなのは君が撫で回してたからかな」
私はっ?
「随分遠くからレイラの名前を叫びながら走って来たようだけど、
玄関に辿り着く前に猫達にアタックされて、すっ転んで頭を打ったみたいだね。ごめんね、タイミング的に間に合ったけど野菜籠優先しちゃった」
野菜が無事ならいいです。差し入れなので。
「気絶しちゃったのかと思ったら、
飛び起きてうちの猫達とにゃんにゃん、うにゃうにゃ喋り出してたよ。
動物と仲が良いのは知ってたけど、
正直お兄さんはドン引きしちゃったってのが、現在の状況かな」
え?エメリヒさん、わからないのですか?村1番の人気者なのに。
「誰に人気なのか詳しく知りたくなぁ。まぁそれが動物からなら、
十中、九は昔から君が動物を持ち込むからじゃないかな?」
でもエメリヒさんは、お医者さんですよ。
「王都で成功できなかった田舎医者だね。さ、水を飲みなさい」
ありがとうございます。
ぷはっ。
「さて。メリー、ボブやウォレスから聞いたけど、おかしなことを始めたらしいじゃないか」
人生初の、こ、告白をしようと思いましてですね。
「うん。恋をするのはいいことだよ。
でも、僕が聞きたいのは、おかしな自己紹介の件」
私は、養女ですよ。
6歳でお父さんとお母さんに引き取ってもらって、育てて頂きました。
「…君は、娘だ。ご両親の自慢の娘だ。
もちろん村の住人は、産みの親じゃないことを知っている。
小さい頃はそれで君は随分いじめられたけど、全員仕返しはしたろ?」
子どもを産めなかったお母さんを
悪く言った人だけですよ。
「あぁ、忘れもしない。洗濯場でお袋さんの悪口を言ったおばさん連中に
音を消して背後から忍び寄り、
『あたし宿屋のメリー。悪い口を洗ってやるの』と川に引きづり込んで」
懐かしいですなぁ
「くそガキが、『おばちゃん、赤ちゃんを育てるのが面倒臭いからメリーを買ってきたんだろ?』って言った時は
夜中に忍び込んで家族中を縛り上げ
『あたし宿屋のメリー。赤ちゃんが好きなあなたに夜泣きを聴かせてあげるの』と一晩中耳元で奇声をあげ、」
いやぁ、途中でむせたり、笑いがこみ上げてツボに入ったり大変でした。
「昔はやんちゃでした風に懐かしんでるけどね。
神出鬼没すぎて、宿屋のメリーは人間じゃない説で村中が騒然としたよ。まぁ全部君の両親が
『うちの子は可愛くて優しくて多芸なんです』って親バカで通して
どうにかなったけどさ」
褒められて育ちました!
「うん。前向きな所はご両親に似たね。
さてメリー。当時村の一部を恐怖に陥れた
『あたし宿屋のメリー』が
どうして今更『養女のメリー』って言ってるのかな?」
…。
「弟さん達が生まれても、
親父さん達は、メリーがお婿さんをもらって宿屋を一緒に続けるのが夢だって
ずっと言い続けておいでだよね」
…はい。
「養女メリー。それを聞いたご両親が悲しい気持ちになってしまうって、想像できないの?」
…嘘じゃ、ないですから。
「メリー。おバカな娘。
君がおかしくなったのは、君が描いた絵がコンクールで優勝して王都に招かれた後だ。
何があったか話しなよ」
…エメリヒさん。こわいです。
「怒っているからね。
告白だかなんだか知らないけど、
年頃の娘に相談してもらえないご両親が寂しい気持ちになるって、想像できないの?
家が嫌いになったんじゃないかって、不安になると思わなかったの?」
…。
「王都で何があったか話しなさい、メリー」
「にゃあ?」
…ぎゅっ。
「…だんまりか。わかっていたけどね。
…では、ここで。ご登場願いましょう!」
へ?
「三度の食事と、噂話が大好きでっ!」
へっ?えぇ?
「人脈は広く、根回しは深くが座右の銘!」
ひっ、ひぇっ、
「僕の妹、レイラさんのご登場です!」
バッターン!!
「話しは聞かせてもらったわ扉に隠れて!
そして王都の話しも聞かせてもらったわ村長を脅して!
さぁ!観念しなさいメリー!
貴女の親友、レイラさんのご登場よ!」
「」
「にゃ!」
「ん?」
「あぁ、うん。タイミングはよかったんだけどね、レイラ。メリーがね、
さっき打った頭に、扉が直撃しちゃったね」
ぬぉぉぉぉ!!目から火花出たぁぁ!