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フェゴールとファッキンファンタジー  作者: 伊左坂ぐうたら
第1章 また来たよ、ファンタジー世界編
10/29

やーーーーってやるぜっ!(cv 藤〇忍)

※警告※

今回は、女性蔑視としか言いようがない、かなり不愉快な表現が出てきます。

 ケン少年との約束を果たすためにも、遺体を尊重すべく、彼の身体に居座る魂を抜くことにした。

 つくづく自分が悪魔で良かったと思う。普通の人間が同じ要求を依頼され、ヒロインの目の前でカッコつけようと気安く応えたとして、どういう手段でもって、本来の持ち主の身体と居座る魂を分離できようか。


「おい、あんな約束、安請け合いしやがって。お前、どう責任取るつもりだよ」


 どうやらシグには、自分が遺体をじっと見つめたまま何の行動も起こさない、起こせないように見えているらしい。


《あー、イサカ。ワリっちゃけど、契約書、持ってきてくんね?》

《わかりました。セグウェイをお借りします》


 イサカとのやり取りのあと、念話を傍聴したシグが契約書のことを聞いてくる。


「ざっくばらんに言うとさ、ケンの遺体から魂を引っこ抜くのに契約書がいるんだわ」

「何の契約書なんだよ」

「吸い取る魂を悪魔の好きにしてイイという契約書さ。

 契約書で有名な悪魔といえば、ファッークウスト博士を手駒にしたメフィストフェレスだな」

「おい待て、さりげなくゲーテの名作を穢すんじゃねぇよ」

「ああ、ゲーテ。知ってる知ってる。アレだろ、泥酔したお兄さんがコンビニのトイレに間に合わず、道路でゲーッて――」


 どんがらぴしゃーん!

 曇りなき青空の上からいきなり雷が落ちてきた。

 とっさに避けたので大事には至らずに済んだが、直撃した部分が車一台分ぐらいは余裕のクレーターを生じさせた。


《マスター、無事でしたか?》

《とっさに避けたよ。アレは、何だ?》

《この世界の住人の伝承によると【天罰】だそうです。誰もが知っている偉人や偉業をバカにする輩が現れると、どこからともなく予告なしで落ちてくるものだそうですよ》

《ふーん。それはそうと、聡子、そんな情報、誰から聞いたんだ?》

《さっき牛乳配達にきたお兄さんが、ガクガグブルブル震えながら教えてくださいました》

《ああ、あの兄ちゃんか。貴重な情報のお礼をいつもの支払いとは別に払っておいてくれ》

《了解です、マスター》


 なるほど。神が存在する世界らしいお仕置きだな。しかし、困ったことに歴史の教科書の落書きみたいなもので、そんな情報聞いちゃったら、ますますおちょくりたくなるね。

 今後の楽しみが増えたなぁ。ムフッ。


「まぁ、ともかく(イサカから契約書を受けとり)ありがとう。

 ここに、契約書がある。真ん中の魔法陣の上には契約書の効果・範囲等の規約事項がゴチャゴチャ記されているが、いちいち取り上げて説明するのは今回はパスして、その下にある魔法陣の中央の空白にケン少年の唇をあてるわな」


 魔法陣が作動して、少年の唇から白玉のような魂がスルリと抜けだすや、五芒星の中央の空白に囚われた。


「おおおっ」


 シグが驚きの表情を見せる。


「どうやったんだ、コレ」


 え、種明かしとかするの? これ、マジックショーちゃうよ。まぁ、いいけどな。


「この魔法陣だが、ナノ単位の小ささが見える顕微鏡で見たらわかるんだが、びっしりといろんな魔法施行に用いられる公式や数術が詰め込まれている。

 本来だったら【唇に当てる→魂が簡単に抜ける】という動作に対し、『遺体からの離脱抵抗低減術式』とか『魔法陣への安定移行に対する包括的かつ強制上書き発動術式』とかその他いろいろな術式を同時多角展開詠唱する必要があった」

「それを契約書内に全部まとめたのか!」

「ああ、スゴイこと考えたもんだよ、メフィストフェレスってやつぁ」

「ん? フェゴールは会ったことないのか?」

「ない。自分と同じく現実世界を長く生きている悪魔らしいが、今まで一度たりもない」

「まぁ、お前、無名だしな」

「おっさんだから、人気もない」

「自分で言ってて悲しくならないか?」

「わーん。シグちゃんのひんぬーで癒されたいよー」


 自分はすかさずシグに向かってフライングアタック!

 シグが足技で迎撃態勢を整える前に、貧しい胸元をキャッチするんだぃ!

 すかさずシグの頬を桜色に染め上げれば、あとはもうグフフフッ。


「フェゴール様は、我々をお忘れですか?」


 と、シグの目の前にイサカが立つ。その横に竜牙兵(姉さんの牙)がバスターソードを構えている。

 幸か不幸か、フライングの距離が足りず、イサカたちより少し前に着地した。そして、そのまま流れる動作で土下座の姿勢へと移行する。


「ッサーセン」


 イサカの赦しが出るまでずっと土下座姿でいた。

 その姿を見た誰かが、【プライドゼロのどげあく(土下座悪魔)】と表現したらしい。

 上手いことを言う。おーい、ヤマダくん、座布団一枚持ってきて~。





 イサカの赦しを得、次の行動へと移る。

 まずは、ケン少年の墓石をパパパッと造り、埋葬の準備を整えた。

 自分、シグ、イサカ、竜牙兵の4人? では、弔い客の人選の華に欠ける気がしたので、念話でパートナーズから希望を募る。

 モナ、ベレッタ、ライカ+αが集まった。


 モナは手ぶらだったが、ベレッタは色とりどりの花束を持ってやってきた。

 棺桶の中に入れるやつか。気が利く。

 そのことをほめつつ頭を撫でてやると、すごく喜ばれた。

 治療前は「いえ、当然のことですから」と素っ気なかったから、だいぶ気を許してもらえて何よりである。

 自分のナデポは一朝一夕にあらず。チート勇者とは違うのだよ、チート勇者とは。


 モナが出遅れ感を気にしてプルプルと震えていたので、呼び寄せて、簡単な仕事を割り振らせた。それはそれはこちらが恥ずかしくなるような笑顔の対応でさっそうとこなしてくれた。

 本来はイサカがモナに与える仕事だったが、イサカの命令だと素直に応じないのがモナなので、気を利かせたことに対して、イサカからお礼を言われた。


 ライカは、天使たちの見張り番をしていたはずだ。なので、ここへ来れた理由を聞こうとして、理解した。手なずけるという言い方は悪いが、天使たちは現在、目の前にいたライカを主人設定し、付き従っていた。


「フェゴール、頼みがある。彼女たちの呪い、解除できないかな」


 ライカからそう頼まれたとき、「何で?」と素朴な疑問を口にした。

 そういえば、屈強なガードマンがタダで手に入った割には浮かない表情が気になった。


「さっき、僕と彼女たちは少し話が出来たんだ。勇者が死んだから、少し時間がとれた……っていろいろなことを教えてくれたんだ」


 天使たちがライカに伝えたのは、この世界の神が彼女たち2人に施したいばらの冠のことと、彼女たちには自由意思があり、神様の言うことが絶対であっても、無理やり従わらせられるのはおかしくないですか? という神様非難。そして、助けてくれたら『なんでもいうことを聞く』という魔法の言葉。


「何でも! って言ったんだよね、ライカ」

「確かに聴き届けたよ、フェゴール。僕は彼女たちが不憫で仕方がないと思っているけど」

「ますたーの視線がゲスいですぅ」

「だよな。ヨダレ垂らして心底嬉しそうな笑顔でいっそう救いようがねえ」

「のぅ、フェゴールや。お主が何をしようとそれは構わんが、神の施した祝福をどう解除するつもりなんじゃ」

「グフフフッ……じゃなくて、え~とですね、大丈夫、第3者の知恵から有用な情報がありまして、それを実行します」

「は?」

「いえいえ、なんでもなくて。では、解除しますよ!」


 と、パートナーズ全員の視線が集まる中、自分は腕に傷をつけ、天使たちの冠に対して、悪魔の血を勢いよく振りかけ……アレ?


「血が出ない?」

「ご自分が復活したばかりなのをお忘れですか、フェゴール様」

「あ!」


 そうだった。イサカの指摘通り、復活したばかりで血の元になる体液が身体の中で造られていないんだった。今からアルブミン製剤をつくって飲むのも悪くはないが、それは人間の血液の話。

 自分の遺伝情報がどっさり詰まった体液といえば、夜な夜な内部注入ばっかししていたパートナーズ全員の体液にかなりの濃度が混じり合ってるよね。


「モ~ナ~!」

「分かっとる。アレじゃろ。ほぅれ、鍵じゃ」


 とモナが自分にプライベートルームの鍵を放り投げてきた。

 何にもない空間に普通に鍵穴をさす動作をとると、ガチャリという音のあと、モナの部屋へと直通するドアが開いた。


「じゃ、ちょっと体液補充してくるわ」


 モナを抱きかかえたまま、部屋の向こう側へと渡る。

 ドアを閉めようとノブの方へと手を回そうとしたその時、イサカが怒鳴り込んできた。

 その表情が怖かったので慌ててドアを閉めようとすると、イサカの侵入速度が増した。

 この様子から、イサカを拒絶するよりは説教覚悟で受け入れたほうが、例の暗黒オーラ状態との格闘戦をせずに済むであろうという打算が働き、ドアを完全開放した。

 すると、これをどう受け取ったのか、他のパートナーズが一斉にドアの向こう側へとやってきた。

 ライカまでやって来たので、天使2人もそのままモナの部屋へと案内された。


「ちーす、隊長。お邪魔してるぜ」


 大所帯でゴチャゴチャしているところ、先客がいた。

 ベネリが全裸待機で挨拶してきた。

 ダークエルフの全・裸・待・機である。どんなご馳走だよ。

 前々からエロ方面に理解の早いダークエロフだと思っていたが、やけに気が早い。


「おっと忘れるところだった。どうしてパートナーズ全員が集まったか知ってるかい?」

「全員という割には、聡子やウィン、カムとチェスターの姿が見えないが?」

「ああ、あいつらは隊長の部屋で準備中だからさ」

「準備?」

「聡子とウィンがシミュレートしてみた結果、ひとりのパートナーから大量に得るよりは、全員から適量ずつ吸収していった方が、隊長があたいたちに与えた遺伝情報が再吸収される率が高いらしいんだ。だったら、そのための準備を整えようという話になったのさ」

「すわっ、もしやの13P」

「好きだろ、アンタ」

「大好物だが……今回は出るモンが出ない」

「う~~ん、そうだねぇ。残念だけど、今回の隊長は奉仕に回る立場さ」

「奉仕?」

「詳しくは言えないけど、頑張ってあたいたちからアンタ自身の体液をモノにするんだね」


 まぁ、早い話、いつもは入れる→吐き出す立場の自分が、今回だけはあれやこれやのスキルを駆使して、体液ゲットに勤しまなくてはならないということ。

 詳しい話は出来ないが、まぁ、それはそれで頑張りますとも。


 自分の部屋にて、微乳から魔乳までが横一列に並んだパートナーズ全員を一望して、奮起する自分。


「てめえらまとめて、や〇てやるぜ」


 などと獅子のごとき雄叫びのあと、頑張りました。

 ひたすら励ませてもらいました。

※ダンク〇ガに「愛の心にて悪しき空間を断つ」とか言われそう。

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