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第五話 晴れ(2)

 学校内には実は結構、ロボットがいたりする。

 購買で売り子をしているのはメイドロボだし、学校のコンピュータを管理しているのは執事ロボだったりする。

 お手伝いロボは戦闘にこそ向かないが事務などの演算などが得意な機体はある。

 そして、今神機楼が売り子のメイドロボを見ている。

「随分と、感情豊ですね」

「最新ではないけど人とのコミュニケーションを優先して作られた機体だからなぁ」

 お手伝いロボは世代を新しくするにあってどんどん感情豊になってきている。

 今では動物愛護団体ならぬ、ロボット愛護団体まであるのだ。

 まぁ、今のお手伝いロボは人と同じ感情があるから当然なのかも知れない。

 しかし、人の生活を助ける為のロボットに自由にされては困る。ロボット権利はペットと同格ぐらいだ。

 売り子のメイドロボは丁寧な口調で応対し親しみやすそうな笑顔を浮かべている。

「コロッケパン五個」

 いや、お前、食べ物食えないだろ!

 何故か神機楼が購買でパンを注文していた。

 ……しかも五個。誰が食べるんだ。

「…………ありません。売れません」

 拒否されていた。

 しかも、さっきまでにこやかな笑顔を浮かべていた売り子が物凄い無表情。

 そして相対する神機楼も無表情。

 なんだが無言の重圧が場を支配している。

「客に物が売れないんですか?」

「機械は客じゃあ、ありません」

 トラブっている。

 周囲もメイドロボ同士のトラブルとあって遠巻きに見物している始末。

「いーのか?」

 雄太がヒョコリと現れた。

 周りも段々迷惑そうにしている。回収に行くべきタイミングだろう。

「あー。そこまでにしたら? 後ろも待ってるし。てゆーか、お前、食べれないだろ?」

「……若。若の為にコロッケパンを、と思いまして」

「いや、大して好きじゃないし、コロッケパン」

 何なんだろう。そのあくなきコロッケパンへの執念は。

 好きなんだろうか。





 結局、コロッケパンを10個買ってしまった。

 やっぱり好きなんだと思う。

「お手伝いロボは自分の役目が在ってそれを全うするのが生きる意味ですが、私は何の為の機体なんでしょう……」

 お手伝いロボとして役目のある売り子がうらやましかったのか、突然そんな事を言い出した。

「そーだな。お前はイレギュラーでイリーガルだからなぁ。でもお前の役目はハッキリしてる。俺の護衛だ。機械兵士が暴走した時もお前のお陰で助かった」

「…………いいですね」

 思いの他、気に入ったみたいだった。

「若はどうして、私を信頼してくださるんですか?」

「いきなりだな。昔、ばぁちゃんの作ったメイドロボに命を助けて貰った事がある。お前はどことなく、そのメイドロボに似てるからかな」





 研究所へ行く途中の道を塞いでいる人がいる。

 金髪に加えて縦のロールと言う普通ではお目に掛かれない容姿をして。

「見つけましたわ。さて、あなたは何ものかを聞かせてもらいましょうか?」


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