加害者も被害者
政府は早く田舎の公共交通機関を充実させるべきだと、ここ最近ずっと思っている。
毎日のように高齢者がアクセルとブレーキを踏み間違えたというニュースを聞くたびに、胸の奥がざわつく。
どうしてこんなに頻繁に起きているのに、まだ何も本気で変えようとしないんだろう。
うちの町はとにかく交通が不便だ。
バスは一時間に一本どころか、二時間来ないこともある。
電車も昼過ぎになると待ち時間の方が長くて、乗りたい時間に乗るという感覚とはほど遠い。
こんな場所で暮らす高齢者が車を手放せるはずがない。
うちの家族だってそうだ。
買い物も病院も車がないと行けない。
運転が怖いと思っているのに、車を使わなきゃ生活が成り立たないから結局ハンドルを握る。
その姿を見るたびに、車という便利な道具が年をとった人にとっては半分“凶器”のような存在になっている気がしてならない。
事故を起こしたくて起こす高齢者なんていない。
反応が遅くなるのも視野が狭くなるのも仕方のないことだし、責められるべきはそれを前提にした仕組みを作ってこなかった側だと思う。
それなのに毎回「踏み間違えた」「高齢者ドライバーの事故」と言い続けるだけで、何も改善しない。
田舎で生きる高齢者は、車を失えば外とのつながりまで失う。
それなのに危険を抱えたまま運転させる以外の選択肢が用意されていないのはどう考えてもおかしい。
バスの本数が増えるだけでも、車を手放しても暮らせるという安心が生まれるはずなのに。
公共交通機関を整えて、高齢者を車という名前の殺人マシーンから解放する。
これは善意でも理想論でもなく、ただの現実的で当たり前の話だ。
この国が本当に高齢者の安全を守りたいのなら、そろそろ“責任を本人に押しつける時代”を終わらせるべきだ。




