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第六十一話

「第六十一話」


 ドアに手を掛ける。

 ドアは木で作られていた。立派とは言えない。

 腐りかけの木は、息を吹きかけただけで崩れそうなほどに耐久力がなかった。


 ドアを押すと、そのまま崩れてしまった。

 パラパラと崩れるドアの奥で何かが光った。

 その刹那


 バァン!


 発砲音だ。

 なるほど、ドアはあえて腐った物を使い、侵入者を発見するための一種の罠だったか。


 放たれた弾を避け、剣を引き抜き反撃に出る。

 次弾を装填される前に、銃を撃った男の首を落とした。

 腐った木のドアなんかよりも簡単に落ちる生首。その音は警告音に近い、鈍く、響き渡る音であった。


 ドタドタと周囲に人が群がる音がする。

 崩れかけの小屋では、木くずが舞い上がる。


「あら、随分な歓迎だね。」

「ああ。どうする。」

「私が、主任君を探すよ。その間にノアは殲滅をお願いね。」

「分かった。」


 エレナを置いて、小屋中を走り回る。

 一人、また一人、そして一人。一人ずつ確実にとどめを刺す。

 この狭い空間で銃が無力なことは知っているが、味方を殺すことに躊躇がない連中だ。

 人影を見るや否や撃ってくる。


 外れた弾は簡単に壁を貫通し、家の間取りを変えてしまう。

 風通しの良い家の完成だ。よくも、自分たちの家をめちゃくちゃにして、平常心を保てるな。

 理解に苦しむ。


 家中を赤色に模様替えした後に、エレナと合流する。

 エレナは主任を連れていた。

 顔色が良く見えない主任からは怒りの感情のみが伝わって来る。


「あ!ノア!賑やかだったね。」

「ああ。多分終わった。」

「それはなにより。こっちも主任君が無事だったよ。」

「ブジ………無事だと!?お前、マジで頭おかしいんじゃねぇか!?」


 ブチギレている主任を確認する。

 なるほど、無事だな。


 右手の指が二本ほど減り、スマートになっている。

 また、顔には痣が多く見られ、歴戦を彷彿とさせる男前だ。

 体は………どこかの骨が折れていそうだが、問題ないな。


 これを無事と評さずしてなんと言えば納得するのだろうか。


「俺がどれだけ情けない言い訳を言ったと思ってる!!!」

「さぁ。想像できないけど、大変だったね。」

「ふざけんな!!!お前が置いてくからだろ!!!!」

「もう。うるさいな。ご飯食べる?」

「食えるか!!こんな体で!!」


 なくなった指を見せびらかしてくる。

 別に、指が無いのと腹が減っていないのは別問題だと思うけど。

 なにやらこだわりがあるらしい。


「仕方がない。『結界・回復』」


 エレナは一言漏らすと、主任に手を貸してやるらしい。

 主任の傷が治っていく。


「はい。これでいいでしょ?」

「な、なんだ……痛くない。指が生えた!?」


 主任は自分の指をしきりに触った後に、体をぺたぺたと触り、傷の具合を確認している。

 これで主任が言う無事になったようだ。


「な、なにをした……!?」

「別に。君は分からなくて良いよ。その方が幾分か幸福だ。」


 エレナは澄ました顔で外へ出る。

 周囲はすっかり夜に成り果てていた。

 日が完全に隠れると、昼間の暖かさは寂しさのあまり冷気を空間に敷き詰める。

 誰もが床に就きたくなる暗い世界の出来上がりだ。


「さぁ。何を食べようか。」

「お前ら……イカれてる……」

「なにがだい?」

「人を……殺して、その直後の行動が、飯、、、お前らには、血が流れていないのか……?」

「さぁね。でも、人間の残酷さは理解してる。それも、嫌なくらいに。」

「………」

「君はご飯いらないんだね。先に、宿へ戻っていてよ。」

「……俺も食う。」


 イカれていると論じた割にはあっさりと自分もその環境へ身を投げたらしい。

 それも、簡単に。


 街を歩き、適当に散策する。

 そして、良さげな店へと入店する。


 三人でご飯を食べる。

 並べられた料理が発する湯気を見ながら、飯に食らいつく。

 仕事終わりの食事と言うのは、万国共通で味の良し悪しに限らず、腹に入っていくものだ。

 人間の本能と言い換えても良いだろう。


「あまり、がっつくと喉に詰まるよ?」

「………」


 食事くらい自由にさせて欲しいものである。

 これが俺の流派だと言わんばかりに無視をする。


 しかし、俺が手で料理を掴もうとすると、手の平をぱしゃりと叩いてくる。

 教育のつもりだろうか。

 勘弁してほしい。


「今からの作戦でも伝えようかな。」


 エレナは話す。

 今後のプランについて。

 それを横目で見ながら、俺は手を止めないであろう。


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