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第四十五話

「第四十五話」


「お、おい!この男がどうなっても良いのか!?」

「ご飯は何が食べたい?」

「なんでも良い。」

「困るねぇ~そういう返答は。」

「じゃあ、なんていえば良いんだ?」

「そうだなぁ~……」


 バァン!!


 発砲してきた。

 もちろん当たるわけがない。


「やる気満々だね。『結界・重力』」


 エレナが『結界』を展開して、人質となっていた主任以外の軍人が全員潰れた。

 店内が血の海へと姿を変える。


「さ!ご飯でも食べようか。」

「ああ。」


「ま、待て!!!」


 主任の男が焦りながら、こちらに向かってくる。


「なんだい?」

「なんだい?じゃねぇ!!今、見捨てようとしただろ!!」

「そりゃね。」

「なんなんだ!?俺がこのガキを助けなきゃお前は死んでた!!」

「ノア。ちょっと下して。」

「ああ。」


 エレナを下す。

 やっと重荷から解放された。

 エレナは主任の男へと歩いていく。

 エレナが近づいたことで、ビビったのか主任の男は逃げ腰になる。


「まずは感謝申し上げよう。ノアを導いてくれたことを。ありがとう。」

「お、おう……。」

「それと、後で馬車を借りに行くから手続きをしておいて。」

「は、はぁ?」

「じゃあ、行こうか。ノア。」

「ああ。」


 その店から出て、ご飯を食べに行く。

 宿を背に歩き出すと


「待て!!」


 主任の男が叫んだ。

 まだ、何かあるようだ。


「はぁ。なんだい?」

「お、お前ら、イカれてる。」

「何が?」

「人をこれだけ殺しておいて、その後に飯!?イカれてるぞ!!」

「確かに、そうかもね。でも、君には関係ないでしょ。現に恩は返したでしょ?」

「……」


 信じられない目でこちらを見てくる。

 何かおかしなことがあっただろうか。

 運動後には腹が減る。それは、人間の営みとして、別段おかしなことではない。

 それを否定してくる彼は、何が言いたいのだろうか。


「じゃあ、行こうか。ノア。」

「あ、ああ。」

「どうしたの?」

「おかしいのか?」

「何が?」

「い、いや。なんでもない。」

「?」


 エレナと歩く。

 行きは急かされていたために、ゆっくりとこの街を見れなかった。

 でも、今はゆっくりとその雰囲気を堪能できる。


 時刻は夕方から夜へと変わり、街の景色も様変わりする。

 夜には夜の姿がある。

 その温度差で参ってしまうほどに。


「ここなんてどう?」


 エレナが提示してきた店は、小奇麗な外装に、似合わない綺麗な看板を持っている店だった。

 なんの店かは分からない。

 でも、別に何か特別に食べたいものがあったわけではないので、そこへ入ることにした。


「いらっしゃい!!」

「二人で。」

「はいよ!!」


 陽気な店である。

 店内の喧騒で何も聞こえないほどに。

 でも、エレナは狙い通りみたいな顔をしていたので、目立った場所ではできない話をするつもりなんだろうか。

 そんな話よりも、料理の方が気になる。


 数品頼み、それを待つ。

 以外にも繁盛しているようで、料理が来るのが遅くなりそうだ。


「今日は宿を取ろうか。一泊しよう。」

「分かった。」


 馬車に乗るのは明日か。

 この時間なら仕方がないな。


「聞かないのかい?」


 「何が?」とは言わない。

 おそらくだが、ヴァルモンド家の軍人と顔見知りであったことについてだろう。

 かと言って聞きたいことなど存在しないが。


「ああ。興味ない。」

「もっと興味持ってよ!」


 以前ミステリアスなんてほざいていたが、自分のことをひけらかしたいのだろうか。


「じゃあ、なんて聞けば良い?」

「ほら、なんか……何かあるでしょ?」

「……ない。」

「そんなに興味ない?」

「ああ。」

「はぁ。」


 仕方がないみたいなため息である。

 昔のことを詮索しなくては気が済まないこいつはそのことが理解できないらしい。


「分かった。ヴァルモンド家とはなんだ?」

「そこ?私ではなく、そこなの?」

「じゃあ、聞かん。」

「わ、分かったよ!言うから!ヴァルモンド家は【ルメレイン】から」

「それは聞いた。」

「……一番勢力が強くて」

「それも聞いた。」

「ねぇ。」

「なんだ。」

「何が聞きたいの?」

「なんで馬車を借りてまで行きたいところがあるんだ?」

「あぁ。そこね。それはね、エヴァンシール家を自分の領土にしたいからだよ。今、エヴァンシール家は、力が弱くてね。五家の中で狙い目なんだよ。そこで、【フロストホロウ】を経由して攻撃しようとしたんでしょ。」

「なんでわざと捕まった?」

「現状のヴァルモンド家について知りたかったからね。そこでエヴァンシール家を攻撃することを知れた。でも、エヴァンシール家を今攻撃されることは避けたくてね。」

「なぜだ?」

「知り合いが居るからさ。その知り合いに恩でも売っておこうと思ってね。」

「だれだ?」

「それは後でのお楽しみ。」


 こいつの秘密主義の発動である。

 こうなると、何も教えてくれなくなる。

 言いたくないなら聞かなきゃいいのに。


「お待たせしました!」


 注文した料理が運ばれてくる。

 街が違うとは言え、料理は似たようなものだ。

 別に、新鮮さもない。


 それを口へと運びながら、今日の出来事を振り返る。

 最も印象的だったのは、主任の男。

 俺たちをイカれてると評した。それが気がかりであった。何か、おかしな行動をしただろうか。

 喉に骨が刺さったように、気になって仕方がない。


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