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第四十四話

「第四十四話」


「まぁ怖い。」

「これどうする?」


 エレナの仮面をどうするのか尋ねた。


「ああ。ごめん。少し、持っていて。これは私が片付けるよ。」

「分かった。」


 エレナが俺を背中に隠すように立つ。


「元部下の教育不足は上司の責任だからね。お仕置きをしなくちゃね。」

「お前が居なければ私は歪まなかった!!!お前のせいだ!!!」


 サーモから溢れ出す憎悪の数々。

 殺意ににも似た、敬愛の形。

 あまりにも歪み切ったその形は、事情を知らない者から見たら異常な光景であっただろう。

 しかし、その形を否定する者はここには存在しない。

 結果がすべてを判定してくれる。誰が正しくて、誰が間違っているのかを。


「『結界・重力』」

「『結界・防御』」


 両者の『結界』がぶつかる。

 エレナの上からの圧力。

 サーモの絶対防御。

 どちらが勝つのかは分からなかった。



 お互いに余裕そうだ。

 エレナの『重力』が全く効いていない。

 サーモは銃を構えてこちらに向かって撃ってくる。

 放たれた弾は重さで地面へとめり込んでしまう。


 お互いに攻撃方法が通用しない。

 両者動くことがない。

 お見合い状態だ。


「知っているかい?君の『防御』の弱点を。」

「何を!?」


 エレナが前に出る。

 少しずつ前へと歩いていく。


 エレナがサーモに手を伸ばす。

 その手は弾かれることなくサーモの顔に触れる。


「なっ!?」

「これが弱点。君の『結界』は無意識のうちに有害と無害のフィルターを形成する。君にとって私は無害ということなのかな。昔は、逆だったのにね。私の教育の賜物かな。」

「ふ、ふざけるな!!!」


 サーモが銃をエレナに向ける。

 しかし、撃たない。


「どうしたんだい?撃たないのかい?仮面を外したことで君には、攻撃ができると思ったんだけれどね。」

「う、撃てる!!お前なんか!!」


 銃を握る手が震えている。

 この上ないほどに。


「悪いね。私は、君をもう一度利用させてもらったよ。」

「何を!?」


 エレナの手が、サーモの顔を伝い、首へと伸びていく。

 首へと到達したときに、


「悪いね。もし、君に自我があるのなら、恨んでくれ。それとも、まだ誰かに頼らないと立って歩けないのかな。『結界・重力』」


 サーモの首がへこんでいく。


「あ、、、ぐ、、、なぁ、、、、」


 息ができずに、その場で痙攣する。

 サーモは首を抑えながら、地面へと寝転がり、じたばたと動く。

 その直後に、首が飛んで行った。切れたのだ。頭と胴体をつないでいる首が無くなり、首が転がっていく。


「終わったね。」

「ああ。そうだな。馬車は確保できたのか?」

「あ……そうだった。忘れていたよ。」

「……何しに来たんだよ。」

「正直に言うとね。ヴァルモンド家がどうやって動いているのか知りたくてね。この機に聞いておこうと思って。」

「馬車はどうする?」

「そうだね。ここまですれば、彼らも帰るしかなくなるんじゃない?」

「……悪魔だな。」

「まぁ、酷い。その悪魔の相棒をやっているノアは、悪魔なりえないのかな?」

「冗談だろ。俺は、番犬だ。」

「悪魔の言うことに忠実な?」

「いや、自分の嗅覚に忠実な。」

「さすが私の相棒。」

「ほら、行くぞ。」

「待ってよ。こんな傷だらけの乙女を置いていくの?」


 さっきまで普通に動いていたくせに、よく言う。


「俺だって足を撃たれてる。」

「治してあげるよ。『結界・回復』」


 足のケガが無くなった。

 アーサンから受けた攻撃もすっかりきれいになった。


「どう?」

「まぁまぁだ。」


 手足の動作を確認しながら、エレナに返す。


「あと、仮面返してくれるかな?」


 エレナに仮面を返す。

 それを付け直し、こちらを見る。


「どうだい?傷だらけの乙女を置いていくというのは?」

「なんとも思わんな。」

「いやいや、君の良心は訴えているでしょ?」

「別に。行くぞ。」

「あ!待ってよ」


 その場から動かないエレナ。

 ついに座り込みやがった。


「何が目的なんだ?」

「おんぶ。」

「は?」

「おんぶだよ。分かるでしょ?」

「無理。」

「じゃあ、動かない。」


 こいつ……。


「分かった。すれば良いんだろ。すれば。」

「さすが、ノア!」

「ちっ!」


 エレナの前で屈んで見せる。

 その背中に躊躇なく飛びついてくる。


「よし!出発!」

「重い。」

「酷い。」


 そのまま階段を降り、一階へと向かう。

 階段を降り切った後に、


「止まれ!!」


 銃を構えた軍人が並んでいた。

 虫みたいにわらわらと出てくるな。

 どれだけの人員を抱えているのだろうか。


「そこで跪け!!」


 一人の軍人が叫び続けている。

 この場においては何の脅しにもなっていない。


「どうする?」

「そうだねぇ~。」


 流石に余裕である。

 彼らは本当の修羅場を知らないのだろうか。


「この男がどうなっても良いのか!?」


 その軍人は一人の男を盾にしてきた。

 その男には見覚えがあった。

 俺をここまで案内してくれた人物で、主任と呼ばれていた男だ。


「さぁ!跪け!!!」


「誰?」

「馬車の受付にいた男だ。俺をここまで連れてきてくれた。」

「そう。でも、馬車を貸してくれなかったよね。」

「そうだな。そうとも言えるな。」

「じゃあ、無視しても問題ないんじゃない?」

「分かった。」


 その並んだ軍人を無視して、そこから立ち去ろうとする。


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