表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/313

第三十九話

「第三十九話」


・エレナ視点


「我々は、命によりエヴァンシールを殺しに行きます。」


 現状のエヴァンシール家は最弱だ。

 最強のヴァルモンド家を凌駕できるわけがない。


「へぇ~。随分な話だね。五家のバランスが取れていないことは分かっていたけど、どうして一番遠いはずのエヴァンシール家を?」

「今後邪魔になると考えました。そういう『予知』が見えたのです。」

「そう。まぁ、間違っちゃいないか。」

「え?」

「ああ。多分私だよ。“ノルドハイム”へ行くついでにエヴァンシール家とコンタクトを取ろうと思ってね。それが、よくない未来へとつながるのかな。」

「あなたは………」


 何が言いたいのかは痛いほどよくわかる。

 トラブルメーカーと自分で言いたくはないけど、ヴァルモンド家には歴史上一番迷惑を掛けている自負がある。

 それに、追って迷惑を掛けようとしているのだ。

 小言では済まされない。


「……自分が何をしているのか理解できていますか?」

「もちろん。私は商売のために、他者を喰らう商人だ。ヴァルモンド家程度を恐れていたら何もできない。」

「あなたは……はぁ……」

「ため息が多いね。大丈夫?」

「元凶にそう言われるとイラッと来ます。」

「それは残念だ。私には悪意が無いからね。身に覚えがない。」

「ちっ」


 ついに舌打ちがでた。

 数十年前とは言え、上司であったのに。


「怖……そんなに怒ったらしわが増えるよ?」

「いちいち煽らないでください。気にしているんですから。」

「乙女だなぁ」

「随分と余裕ですね。」

「そう?」

「ええ。そう見えます。まるで、捕まっていないみたいだ。」

「そりゃね。私には相棒が居るからね。彼が捕まったお姫様を助けてくれる。」

「お姫様って……相棒!?あなたにそんな存在が居るのですか!?」

「もちろん。とびきり優秀な人がね。」

「ぷっ。」

「笑った?」

「いや、失敬。あなたには向かないセリフだと思いましてね。」

「酷いなぁ~。でも良いよ。許してあげる。彼は絶対に助けてくれるからね。」

「それはおそらくできませんよ。」

「どうしてだい?」

「こちらには人数がいますし、結界師も十人ほど居ます。そちらの御仁がどのような者かは知りませんが、勝ち目はない。」

「そっか~残念だな~」

「……まだ、余裕を見せますか。」

「うん。当然。君たちは勝てない。断言するよ。」

「っ!!」


 サーモが私の胸倉を掴む。

 そのまま睨みつけてくる。


「ふざけるな。」


 静かな声だった。

 しかし、はっきりと怒りを表現していた。


「なぜ、仲間と思ってすらいなかった私を嗤って、他の人間と手を繋いでいる……私の方が優れているのに……どうして!!」

「……」

「私は、あなたに認められたくて努力したんだ!!!それがなんだ!!相棒!?ふざけるな!!私なんか見ていなかったくせに!!!」

「……悪いね。」


 壁へと押し付けられる。

 しかし、痛みは来ない。その代わりに、非道だと訴える目でこちらを覗いてくる小動物が居た。


「私は!私は!!!あなたについて行きたかった!!!それを聞きもせずに受け流し!!そのうえで軍を逃げたあなたに!!!私は!!!」

「分かった。悪かったよ。でも、私は後悔なんてしていない。」

「っ!!」


 再度壁へと叩きつけられる。

 次はちゃんと痛かった。


「禁書なんてどうでもよかった!!罪人なんて関係なかった!!裏切ったことなんかどうでもいい!!ただ、あなたの隣に居たかっただけなのに!!!」

「……」

「なんとか言ったらどうですか!!!!」

「……そうだね。君は優秀だったよ。」

「じゃあ!!!!」

「それでも、ダメなんだ。どうしても。私の相棒にはふさわしくなかった。だから、君のことは眼中になかった。」

「っ!!!」


「襲撃です!!!」


 ドアを勢いよく開け、兵士が入って来る。

 その兵士を睨みつけるようにサーモが言う


「ヘルは子供を連れていたと報告がありましたね。」

「え、えぇ。はい!その通りです!!」

「分かりました。」


 呼吸を整え、気合を入れて私を殴った。

 地面へと倒れてしまう。


「そのガキを私の前まで連れてきなさい。」

「は!」

「早くしろ!!!!!」

「は、はい!すぐに!」


 兵士は逃げて行ってしまった。


「痛たた……」


 殴られたところが赤色になっている。

 腫れなければいいのだけれど。


「ガキ一人で何ができる……私が、私の方が優秀なんだ。私こそが、ヘルのそばに……」

「その少年の名前はノア。私の相棒兼想い人さ。」


 サーモが無言で蹴とばしてきた。

 転がった私を軽蔑した目で見てくる。

 そのまま上に乗っかって来る。


「私は、あなたの相棒を殺します。」

「できるかな?君なんかに。」


 上に乗られ身動きができない状態で、殴られる。

 一発。また、一発と。


「ふざけるな。ただのガキに何ができる。こちらは軍隊だぞ。十人以上の結界師相手に逃げないか見ものですね。」

「そうだね。でも、彼はそこまで来てる。」

「はっ。笑わす。私には、そのガキにはない力がある。絶対的な、完璧な。あなたの相棒ごときっ!!」


 ドカン!!


 壁をぶち抜いて二人の男が入って来る。


 一人は血を出しながら、白目をむいている。

 もう一人は、見ない日などなかった人物。

 ノアである。

 相手の返り血を受けながら、なんでもない顔で殺戮の限りをつくす。


 私の相棒だ。


「遅い。」

「黙れ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ