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タカラモノ

セミの鳴き声がうるさい。まだ寝ていたいのに。

ピンポーン

ドアを開けると私の相棒の足立 椿が立っていた。

「おはよ、カナ」


「今日はいつもより暑いね。」

9月3日華日和中学校の始業式。ウチの学校では生徒会はみんなより早く登校しないといけない。

生徒会長なんだから車を用意してほしい。

「ねぇー、椿が次の生徒会長やってよ。」

イラッとした顔でため息をついた。

「俺だってなれるもんならやってるよ。」


10分たってやっと華中(華日和中学校)に着いた。

「おっはよー。」

生徒会室に入室。いつも通りのかたぐるしい雰囲気。これだから嫌なんだよ。

椿も私に続けて挨拶をする。

華中では年に2回の生徒会決定テストで成績上位5名が生徒会に選ばれる。第83回目の生徒会メンバーである私たちは毎日生徒のために何かしらやらないといけない。正直言って面倒くさい。

生徒会は生徒会長:小鳥 カナ、副会長:足立 椿、書記:成田 鞠、広報:早川 響、補佐:原野 真守の5名で結成されてる。

「小鳥さん、今日の始業式の進行書です。」

進行書って面倒くさい。こうゆうのは苦手なんだよねー。誰か会長変わってくれたらいいのに。

「あー、ありがと鞠ちゃん。」


「そろそろ時間、集会室行くぞ。」

あーダルい。


・・・・

「ー続いては生徒長の挨拶です。」

「えー、皆さんお久しぶりですね。生徒会長の小鳥 カナです。夏休みは楽しみましたか?気持ちを切り替えて2学期も頑張りましょう。早速ですが、お知らせがあります。」

前から計画してた企画の発表をー…原稿がない。

鞠ちゃーん原稿は?

いやだからグッチョブじゃなくて原稿!

そういえば、生徒会室に置いてきたんだった…

「第1回華日和大会の開催を宣言します。華日和大会とはスポーツ、芸能、学力、音楽のトップを決める大会です。審査員として有名プロダクションの方をお招きします。」

華中では普通科以外にスポーツ特進科、芸能科、音楽科がある。ちなみに私と椿は普通科だよ。

「10月6日に大会があります。ぜひ参加してください。」

やっと終わった!原稿なくて焦ったけど覚えててよかったー。


「お疲れ様。」

椿が先に廊下で待ってた。

「お疲れー。」

今日は始業式だから午前で帰れる。

「そういえばカナ、原稿生徒会室に忘れてただろ。」

ニヤッとした顔でこちらを向いてくる。

「忘れたもんはしょーがない!全部原稿道理に喋れたからいいじゃん。でしょ!」

「まー、確かに。帰ろうぜ。」

「そうだね。今日は仕事もあるし、がんばろ。」


夜10時30分。カナと椿は仕事に向かう。私たちはカレンデュラの構成員として夜に仕事を行う。

「あ、悠!」

伊串 悠之介。華中の通信科生徒。少し長めの髪を、ひとつにくくってる。

「今日も寝坊?遅かったな。」

「僕だっていつも寝てるわけじゃないんだよ。」

実際悠は5分前寝ていた。

「今日って私と悠は一緒に仕事するんだよね?」

呆れたように仕事の資料を渡す椿。もう、保護者だよね。弁当とか作ってくれるし、朝も起こしてくれる。やっぱり私の相棒!

「じゃあ行こうか。」

道路に黒い車が待っていた。中にお菓子あるかな。



「はぁ。なんで、車の中にお菓子ないの?」

悠は 笑いながら答えた。

「まさか椿がお菓子置かないでって言ってるなんて想像してなかったよ。」

過保護なのは知ってたけどここまで手が回ってるとは…

「…もうすぐ時間だね。」

今回の仕事は1つの組織を潰す事。小組織だから私たちでなんとかなる。それに、私には灼熱竜がある。

灼熱竜とは火の能力のこと。私は能力者。

この力があれば資料よりも強い相手でもなんとかなる。

「あ。危ない!」

今どきバットで攻撃って…。古いね。

「カナ!大丈夫⁉︎」

これはやられたな。嘘の情報を流されてる。小組織がいくつか集まってるんだな。

「うん。全然へーき。それより、ちょっと本気で潰すよ。」

「わかった。」

さっき頭殴られたの結構響く…。血が出てきたから早めに対処しないと。


…めまいがする。

「カナ!…出血がひどいよ。」

…ダメだ。いくら倒しても終わらない…。数が多いんだ。いつもなら大丈夫だけどこの怪我じゃ無理だ。

でも、あれならいける!

「悠、紅使うよ。それならコイツら倒せる。」

驚いた顔。ひさびさに見たよ。

「…うん。わかった。」

灼熱竜が私と一体化する。私の目は赤色から水色に変わる。これが本来の姿。


ここまでしないと倒せない相手なんて、私の力不足が目立つ。

私が撒き散らした炎で周りの建物が少し溶けている。急いでこの場を離れないと悠まであぶない。

上からビルが倒れてきた。

「悠‼︎」


止血しても頭からの血がとまらない。

「…カナ?」

この状態で病院に行ってももう…

「悠。」

悠がすっと笑った。

「泣かないでよ。」

私のせいで、悠が…。

「悠。ごめん、私が、私のせいで…。」

なんで笑ってるの。

「ねぇ。僕さずっと言ってなかったけど、混沌の奴らに妹を殺されたんだよ。マフィアに入ったら混沌に近づけると思ったんだ。」

「……」

「でも、カナみたいに幹部にならないとダメだったね。ずっと…恨んでるんだ。」

指先が冷たい。…悠。

「ごめんなさい。」

「カナが謝る必要はない。」

「……だって私が、私たちが混沌だから。」

「…………」


伊串 悠之介はずっと起きてくれなかった。私はそれから1度も能力を使っていない。


本社に戻ってから私は入院をした。1週間で退院できるらしい。


コンコン


「はーい。」

シュークリームを持った椿が病室に来ていた。

「あ!椿!お見舞い来てくれたんだ。ありがと。」

私のベットの横に座った。

「具合はどう?」

「もう仕事に戻れるよ。前にクラスの子もお見舞いに来てくれたんだ。悠は?まだ学校?」

「…え?」

戸惑っているようだ。どうしてだろう。

「えってなに?悠、今日学校じゃないよね。」

北条 響さんと春香がお見舞いに来てくれた。北条さんはカレンデュラのボス。春香はカレンデュラのハッキング班の人。

「ボス、春香さん。」

「カナちゃん、お見舞い来たよ。元気?」

「はい!まだ骨折は治ってないですけど仕事行けますよ。」

今回の仕事で両足、左腕骨折。右腕ひび割れ。

割と重症。

「この状態で仕事は危ないからねー。」

「わかってますよ、ボス。まだ悠は来てないんですか?」

「でも、悠之介くんは……」

「俺、病院の先生を呼んできます。」

みんなはどうしてそんなにあわててるんだろう。


・・・・

「北条 響さんですね?委員長の柳瀬です。」

カナは今病室で椿と一緒にいる。

「小鳥さんはご友人がなくなったショックで記憶喪失になっています。」



カナは記憶に鍵をかけた。


伊串 悠之介がなくなってから3年。

悠之介は長期任務中ということになっている。


退院してからずっともういない悠之介に毎月手紙を送り続けている。

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