表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

愛の行方【読切】

作者: BOBINBA

5作目です。

よろしくお願いします。

 ラブレターを書こう。

 毎日少しずつ、でも確実に。


 題材は既に決まっている。大好きな君のことを綴るに決まっている。

 僕の心の容量では、君への想いの大きさは到底入りきらないから。

 溢れ出してしまう前に、こぼれ落ちてしまう前に、どうにかしなければと思ったから。


 君への無限大の愛を余すことなく堪能するために、僕は表現の道を選んだのだ。

 君への愛情とイコールだから、文字が尽きることはない。永遠に書けてしまうのだ。


 むしろ悩んだのは、一言目。最初に何を伝えるか。

 結局、僕に選ぶことはできなかった。


 馬鹿にするなり、意気地なしと罵るなり好きにしたらいい。

 しかし、僕はタダでは転ばなかった。大好きな君が主人公の物語を書こうと閃いたのだ。


 小説を書こうと決意したのだ。

 そうすれば、君への想いを時間をかけて伝えられると思ったから。


 ――――――


 そうして、第1話が完成した。


 君の魅力が詰まっている。名作ができたと確信した。


 嬉しくなって、誇らしくなって、勢い余ってとあるサイトに投稿した。

 ……結果、大当たり。たくさんの読者が名作として喝采してくれた。


 嬉しかった。こんなにも作品が愛されて、僕は幸せ者だ。

 

 君もとても喜んでくれた。


『ちょっぴり恥ずかしいけど、胸がきゅーってなるね』


 意味はよくわからなかったけれど、祝福してくれてることは伝わった。


 そうして、PCにかじりつく日々が始まった。


 もっといいものを、よりよいものを書かなければいけない。

 それができなければ、読者も君の心も離れていく気がして。


 僕は必死だった。


 寝る間も惜しんで、何もかもを犠牲にして愛の結晶を書き連ねていった。


 そして、僕の本は大変人気を博した。


 書籍化が決まり、その後も売れに売れた。

 いくつかの賞ももらったそうだ。

 最近のニュースでも取り上げられたらしい。


 だが、そんなことはどうでもよかった。


 そんな過去の余韻に浸ってる暇などない。僕は書き進めなければならない。


 1日のほとんどを机の上で過ごす。いや、もはや1日の感覚すら麻痺してしまった。


 僕の血と涙と時間の結晶は、出せば出すほど伸びる売れる。


 そんな極限の続けていたある日、ふと思う。


 【僕は何のために書いているのだろうか】


 ――――――僕は再び極限へと身を投じた。

 


 


 

 

 




 

これで短編は一回終わりです。

少しでも楽しんでいただけましたか。

気が向いたらまた書きます。

それより長編の準備が忙しくって。

感想・ブックマーク・レビュー等々お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 書き手として共感できる部分はありますね、というかそれは私も通って来た道です。 いまは楽しく書けて、”誰かに喜んでもらえる物語を!”というスタンスです('ω')ノ
[良い点] 愛すべき人をほったらかしにして書き続けたということだと思います。本末転倒ですね^^ それを上手に文章にしておられる。 描写も変わらず素晴らしい。 [一言] うたうたうもそうでしたが、短編に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ