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ヤンキー女子高生といじめられっ子の俺が心中。そして生まれ変わる?  作者: 麗玲
第2章 ヤンキー美少女の下僕は格闘技とチーマーを始めました
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ルールと敗者へのペナルティ

 姫野が武と会話をしている間、麗衣は鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードの親衛隊長・赤銅鍾磨あかがねしょうまと、話をしていた。


「人の事呼び出しておいて、テメーのところの総長は来てねぇってどういう事だ?」


 麗衣は今にも掴み掛からんばかりの勢いで鍾磨を怒鳴りつけていた。


「まぁ、8時までには来るって言っていたからな。まだ集合時間じゃない」


「8時まで、ただ待っていろって事か?」


「いや、折角、うるはに早く来て貰ったんだ。先に代表を決めてタイマンをしてしまおう」


「分かった。で、ルールはどうすんだよ?」


「そうだな。基本的に武器ドークの使用は禁止。と言いたいところだが、使()()()は専用の獲物は使っていい。安心しろ。俺らは女相手に武器なんざ使わねぇよ。勝ち負けは当事者が負けを認めるか、失神するか。周りが止めるか。当然加勢は禁止。と言いたいところだが、お前のところは加勢しても良いぜ」


「ハッ! 随分と紳士的なこった! あたし達もタイマンで加勢なんかしねぇよ。ただし、武器ドークじゃねーが、あたし達はオープンフィンガーグローブだけは使わせてもらうけど、タイマン前に仕込みがないか確認しろ」


 オープンフィンガーグローブとは主に総合格闘技の試合等で使用される薄手のグローブの事である。

 ボクシンググローブと比較して防御面で劣るが、薄手の為に拳の威力を直接相手に伝えやすい事や、一本ずつ指を通しているため、相手を掴みやすく、投げ技や組技を掛けやすいというメリットがある。

 また、直接裸拳で殴るよりは拳を保護する事が可能である。

 些細な点ではあるが、よくあるのが喧嘩時に手を掴まれた時、爪を立てられ、ひっかき傷になる場合があるが、それもオープンフィンガーグローブで守る事が出来る。暴走族潰しをしているとはいえ、女子である麗衣達が手の傷を気にするのはある意味当然の事であった。


「メリケンを仕込んでいようが別に構わないけどな。まぁそれで気が済むならやる前に確認させて貰う」


「で、代表の人数はどうするんだ?」


「麗のメンバー三人に対して、俺達は特攻隊長、親衛隊長、総長の三人。これで勝ち抜き戦にするか?」


「テメーのところの総長来てねぇぞ?」


「俺達二人を相手に勝ち抜けると思っているのか? 良いだろう。総長が来る前に俺と亮磨の二人を倒せたらお前らの勝ちで良い」


「へ。ありがたいこった。じゃあさっさとやろうぜ」


「まぁ、話は最後まで聞け。負けた方はケジメをとって勝った方の言う事を聞くっていうのはどうだ?」


「あ? 何でそんな事をするんだ?」


「ここまで色々とうるは側に有利な条件を示してやっているんだぞ? お前らが一方的に俺らのメンバーを四人も病院送りにしたくせに、代表同士のタイマンにしてやったんだ。何ならタイマンを止めて総力戦にしても良いんだぜ?」


 麗三人と鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロード十数人で総力戦をしたら結果は火を見るよりも明らかだった。

 麗衣は歯ぎしりをしながら鍾磨に吐き捨てるように言った。


「チッ! ……良いぜ。で、テメーらはあたし達が負けたらどうするつもりだ?」


「お前ら『鬼法眼一家おにほうげんいっか』について名前聞いたことがあるか?」


「ああ。確か半グレ集団で、ちょっと前逮捕者出したってニュースがあったな。それがどうした?」


 半グレ集団『鬼法眼一家』は少し前、著名な芸能人を酒の場で恫喝を行い逮捕されたと報道されており、世間的にも少し名前も知られていた。


「その『鬼法眼一家』だが、俺と親睦があってな。で、この人達は風俗の経営店で十代の家出少女やらを薬漬シャブづけにして売春うりをやらせている訳だが、人手が足りないって嘆いていてな」


 鍾磨が何を言わんとするか悟った麗衣は険しい表情を浮かべた。


「つまり、負けたら、そいつ等の所で売春うりをヤレって事か?」


「その通りだ。何、大人しく従ってりゃ薬漬シャブづけにはされないから安心しろ。条件は飲めるか?」


 恐らく鍾磨の真の狙いはこれだった。

 総力戦なら鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードが圧倒的に有利なはずなのに、わざわざタイマンを持ち掛けた理由であろう。

 なるべく麗衣達の商品価値を下げぬよう痛めつける為にリンチではなく、タイマンで圧倒的な力の差を見せつけ屈服させるのが目的なのだろう。


「分かった。でも条件がある」


「条件とは?」


「麗が負けた場合、売春うりはあたし一人がやる。それが条件だ」


 麗衣の言葉を聞いて、勝子は麗衣の腕を引っ張りながら声を上げた。


「駄目だよ! 麗衣ちゃん!」


「駄目だ。それじゃあ。タイマンの設定してやった条件に釣り合わねーな」


 鍾磨も同じく駄目だと否定するが、それは勝子の否定とは違った意味合いのものであった。

 このままでは納得させるのは無理と思ったのか、麗衣はとんでもない提案を行った。


「なら、もし麗が負けたら、あたしをここに居る連中全員で輪姦まわしてもいい。それならテメーラも美味しいだろ?」


 麗衣の提案にギャラリーは一斉に歓喜の声を上げた。


「おっ! 良い提案じゃねーか!」

「親衛隊長! その案乗りましょうや!」

「鍾磨さん。たまには俺達にも良い思いさせてくださいよー」


 欲望に沸くギャラリーは口々に提案に乗る様に鍾磨に迫った。

 そんな空気の中、勝子は麗衣に必死で訴えた。


「なっ……駄目だよ! そんなの絶対に駄目!」


 すると、麗衣は強く否定する勝子の手を握った。


「大丈夫だ。あたしが……あたし達が負けると思うか?」


 麗衣はまるで幼い妹に接するかのように僅かに屈み、背の低い勝子と目線を合わせながら優しく言った。


「ううん。思わないよ」


「要するに負けなきゃいいだけだ。これは保険じゃなくて、あたし自身を背水の陣にして負けないようにするためだ」


「だったら私も……」


「あたしは一応リーダーなんだぜ? だから少しぐらいリーダーらしい事をさせてくれ」


 麗衣が勝子の手を強く握ると、赤面した勝子は頷いた。


「うん……分かった。私も頑張るから絶対負けないよ」


「ああ。勝子さえ居れば誰にも負けないさ」


 場違いな仲の良い姉妹のようなやり取りを不快に感じていたのか、鍾磨は二人の間に強引に割って入った。


「麗しい友情も結構なことだ。元々総長はお前を犯すつもりだったらしいから、それで飲んでやるよ。まぁ出来るだけ商品価値が下がらないように、ぶっ壊れない程度にはしておいてやるからよ」


 女を肉塊としか考えていない下種の考えそうな事だ。

 麗衣は嫌悪の感情を隠そうともせず言った。


「そりゃどーも。お優しいこった。で、テメーラが負けた場合は当然こっちの要求飲んでくれるんだろうな?」


 麗衣は皮肉りながら、自分達の要求を突きつけようとしていた。


「こちらとしては、これ以上妥協する必要も無いと思うが」


「ハッ! 何だかんだ理由付けて、負けるのがこえぇだけじゃないのか?」


「何だとコラ! もうイッペン言ってみろ!」


 麗衣の挑発で亮磨が今にも飛び掛からんとばかりに詰め寄ろうとしたが、鍾磨はそれを腕を上げて制した。


「安い挑発だ。だが、ここまで言われてこちらだけ要求するのは確かに鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードの名折れだな。要求を言え」


「あたし達の要求は唯一つ。鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードの解散だ」


 麗衣の要求で、先程までの歓喜で沸いたギャラリーの空気は一変し、怒号が飛び交った。


鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードの解散だと! ふざけんな!」

「てめぇコラ! 今すぐリンチして輪姦まわすぞ!」

「商品だからって優しくしてりゃ付け上がりやがって! そのすましたツラ叩き潰すぞ!」


 麗衣は口々に罵倒されるが、ギャラリーに対して怒鳴り返した。


「代表にも選ばれないような雑魚は大人しくしてろや! 女に負けんのがそんなにこえぇのか!」


 麗衣の気迫に圧倒され、人数では上回るギャラリーが静まり返った。

 これは心理戦の一種でもあった。

 鍾磨は売春の話で麗衣達を心理的に委縮させようとしたが、麗衣は鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードの解散を持ち掛け、拒否できない状況にする事によって、却って有利に立とうとしていた。

 しかも、鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードのメンバーの欲望を利用して、麗が敗北しても麗衣一人の身で全てを負う約束を取り付けてしまった。

 鍾磨は心理戦では決して麗衣が折れない事を知ったのか、諦めたように麗衣に言った。


「……良いだろう。その条件飲むぜ」


「アンタ等の総長が居ないけどアンタが決める権限はあるのか?」


「総長は俺が説得する」


「信用しがたいが、その時はお前らが女に負けた珍走だってネットにばら撒くからよぉ」


 麗衣はスマホを取り出して見せた。


「今までのやり取りは録音したからな。コイツが証拠になるぜ」


「別に構わんさ。俺達がお前等に勝って、そのスマホを奪うだけの話だ」


「へっ! 出来るもんならやってみろよ!」


 こうして、タイマンのルールと決着後の処置については決定した。

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