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まずは友だちを作ろう!

「昨日も絡まれたんだって?」

優雅な所作でナフキンで口を拭いながらフェリックスは言った。私は口の中にいっぱいお肉を詰め込んでしまったので話せない。なので、斜め前に座る彼の目を見つめながら曖昧に微笑んで首を振った。


私の周りには校内でも目立つ4人が座って一緒にランチをとっている。そう、あの4人だ。

どうしてこうなったかというと、毎日こうだから。としか言えない。

私には友人と呼べる人はこの4人しかいないらしい。1年の時にあるイベントをことごとく成功していたことに気がついた昨夜、半ば気を失うように眠った。いつもより早めに寝付いたおかげで気分とは裏腹にすこぶる体調が良い。

なのでいつも通り学校に向かい、授業を受けて同じクラスのニコラスに連れられていつも通りにランチを食べている。

食堂の席は決まっておらず早く来た者から自由に席を取るのだが、ここは貴族の学校。早いもの順と言われていても日当たりの良い席から高位貴族が座っていてほぼ固定席になっている。

本来なら男爵の私はもっと隅にいるべきなのだが当然のようにキラキラしい4人の席の真ん中に席が固定されてしまっている。


どーしよう。このままではジュリアンヌ様を追放してしまう。昨夜ぼんやりとこの一年を振り返っていたが、どう考えてもジュリアンヌ様は良い人だ。

ゲームでは嫉妬に狂って攻撃してくる人。という扱いだったが、彼女に言われたことを思い出すと、貴族としてのあり方を知らない私にマナーを教えようと四苦八苦しているとしか考えられない。

私が天然な返しをしたり、変に自信満々に私は私なので!と強気に返したりするからだんだんと口調が強くなっていっただけだ。そんな様子を見て、入学当初は声をかけてくれていた同じ男爵家の令嬢や、地方貴族の令嬢たちは痛い子を見る目で、近づいて来なくなった。今ではこの4人しかそばにいない事がさらに私の周りから人を去らせている。今更声をかけたところでこの4人と仲の良い私は、恐れられるだけで対等に友情を育むことはできないだろう。

と、なると私のハッピー青春学園生活を手に入れるためにはあの4人しかいない。ジュリアンヌ様と取り巻きABC!


そんな事を考えながら口の中をなんとか空にするのと、隣に座るニコラスが代わりに答えた。


「そうなんです。せっかくソフィアが僕にクッキーを作って持ってきてくれたんですが。」

「クッキー?ソフィアは料理も上手いんだな!今度俺にも作ってくれ!それにしても困った奴らだな。一度ガツンと言った方が良いんじゃないか?」

「それは僕も思ってたんだよなぁ。彼女たちの態度はちょっと目に余るよ、ね。ところでソフィア、僕もクッキーは好きだよ?」


ニコラスとは反対の隣に座るマーキスが私の髪を一束掴みながら二人の会話に混ざる。


「気安く触るな。私は甘いものは苦手だと伝えたはずだが?」


皆が口々に手料理を強請ってくるのを聞き流し、やっと口の中が空になった私は高々と宣言した。


「私、明日はジュリアンヌ様たちと昼食をとりますね。」


きちんと必殺スマイルも忘れない。


そうだ。彼女たちが最後の砦!待ってて私の友情!


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