2話 悪魔と契約
目覚めるとそこは儀式の部屋ではなく保健室だった。
「あれ…… なんで僕は保健室に…… 」
「それはあなたが私と契約をした反動で気絶してしまったので、ここまで運ばせてもらいました」
答えたのは保健室の先生ではなく、見知らぬ長身の男性だった。だが、この男性は契約をしたと言った。ということはこの男性は悪魔なのは間違いない。だけど僕はあの空間で誰とも出会ってはいない。その疑問を投げかけると悪魔はその質問に疑問を覚えてるのか首を傾げながら言った。
「何を言ってるんですか? あなたは見返しきたではありませんか? それによって私達は契約で結ばれたのです」
その言葉を聞き思い出した。
僕はナニカに覗き込まれた気がして、見返したけど何も見えなかったけど、それがあの悪魔だったんだ。
僕は何も見えなかったけど、見返す事によってあの悪魔の存在を確定させた事になり契約されたんだ。
「では自己紹介を。 私はウェルター。階級は第4階級です」
第4階級!? 僕が第4階級の悪魔と契約できた…… 僕が契約できるのは第0階級ぐらいだと思ってたのに…… 僕はついにやったんだ! おっと、僕があまりの嬉しさに涙を流すモノだからウェルターが首を傾げてしまっている。
僕は腕の裾で涙をぬぐう。
「僕の名前はエイン。ルシナン魔術学園の一年生。これからよろしく、ウェルター」
自己紹介が終わるとそれを見計らったかの様なタイミングで保健室の先生が入ってくる。いや、実際見計らっていたのだろう。
「いやー、元気そうで良かった良かった。しかしエイン君が第4階級の悪魔と契約するとはね、驚きの一言だよ。あっ、ちなみに君が倒れた原因は魔力切れと足りない魔力を補う為に生命力も使っちゃったのが原因だ。魔力の方は元々溜めておける量が少ないから回復もすぐだけど、生命力の方は結構使っちゃてるからちゃんと休息をとる事! 聞いたらさっさと自室で数日ほど休んでるといい。先生方には俺の方から伝えておくから」
早口で言うだけ言って保健室からほっぽりだされてしまった。
保健室の先生にもああ言われた事だし、僕達は自室に向かった。僕の住む寮は保健室から近く、更に人通りも少ないので自室に向かう途中で誰とも出会わなかったのは幸いだ。会ったら馬鹿にされるだけなので僕は誰とも会いたくなかったのだ。
自室に着くと僕はすぐに眠くなり、ベッドにダイブして眠ってしまった。