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いつかの幸福  作者: Retisia
9/11

っく‼これが格差社会か。


そいつは丸かった。フワフワしていた。皆お馴染みのナルマー?な、はずだ。



この”?„は誰だって付けたくなるだろう。



このナルマ―、・・・・・・・・可愛かったのだ。



それはもう愛らしいを付けられる位。



だが思い出してほしい、未踏破区域のナルマ―を‼



全くもって可愛らしくなかった。もはや別種と言ってもいい。



「っく‼これが格差社会、あまりに厳しすぎる‼」



顔だけでここまで差別されるのだ。何とも哀れ、制作獣ナルマー。そして〈漆黒犬〉美的センス悪‼



それにしても盗賊の知識にはナルマ―のことについては何もなかった。何故だろう?



「・・・・ん?あれ?なんで傷ついてないんだ?」



ナルマーの身体のは傷一つなかった。だが『時空探知(レーダー)』による探知で調べても反応は弱々しい。念のため『狂わせれし虚偽(エア・メアート)』でも調べてみたんだが同じ答えが返ってきた。・・・・・これはもう事実を認めなければいけないみたいだ。



「これが・・・・・・・・・・・・本当の、ナルマー?」



そもそも未踏破区域で戦った魔物は全て〈漆黒犬〉が作った物だ。目の前にいる奴は制作獣であるナルマーのもとになった本当のナルマ―なんだろう。



「・・・・・・」



もう何も言えなかった。



こっちに来ればそこそこ強いやつと戦えると踏んでいたんだがこれは意味が無くなるかもしれないな。



「まぁ、鼠殺してた時と同じで数をこなせば強くなれるし、いいか」



未踏破区域じゃ、それもできない、完璧に詰んだ状態になる。



「死ね」



適当に『狂弾(きょうだん)』を発動した。どの程度の速度に反応出来るのか気になったので多少速度を落として放った。



「ぴにゃ⁉」



・・・・・・普通に当たった。避ける動作すらしなかった。


想像していたよりも随分と弱いな、と思ったがそれも仕方のないことなのかもしれない。



考えてみてほしい、そこら辺から生まれた量産型と強さを求められて作られた量産型、どっちが強いかと聞かれれば答えは誰もが後者と答える。



だがそれも例外はあるはずだ。そしてその例外たちは強くなりやすい。



なぜなら例外というのは普通とは違うということ、そんな者が普通な奴らと上手くやるのは難しいだろう。



殆どは必ずと言っていいほど例外は排他され淘汰される。



その経験を持っている者は三つの行動を取ろうとする。現状を維持し何もしないか、諦めるか、僕のように強くなるために戦うか、それは人それぞれとしか言いようがない。




そんなことより〈ヨータム〉を確認してみたが【能力】を奪うことは出来なかった。やはり魔物全員が【能力】を持っているわけではないのだった。少し安堵したががっかりもした。



「あの弱々しい反応でこれならそこそこの反応の奴はもしかしたら【能力】を持っているかもしれないな。」



そう思うとその魔物のところに行ってみたくなった。



常時発動している『時空探知』にはしっかりと探知出来ている。この【能力】があるので迷子などにはならない。不利益があるわけでもないしちゃとだけ、寄り道しても、いいよね?



そんなわけで僕は反応がある場所まで行くことにした。もちろん読書しながらだ。森の中を歩いているので足元は歩きにくいが『時空探知』で認識しているので何の問題もない。



そこそこの反応をしている魔物がいる所はここから4km位はある。もっと正確な距離も分かるがたいして意味がないので言わない。



本当は走ったら1分と立たずに着くことができるのだがそれをするとこのように本を読む時間が無くなる、それは由々しき事態なのだ。



移動時間の短縮より本を読む時間を選ぶ、今の僕には本の方が大切だ。



実際強くなる為に必要なことなのだ。


知識は【狂魔法】の何かのヒントになるかもしれないし、強い魔物のことが書いてあるかもしれない。実用的なものを持ってきたので見る価値は十分ある。



今考えたがもしかすると王都には実用的な本がたくさんあるかもしれない。そう思うと王都に行くのも悪くはないと思う・・・・・・・わけがないな。



まあのんびり行くか。




♦♦♦




そろそろ着くな。500m程度で僕は本を読むのを止め、そちらに集中する。




400m、魔物の圧を感じた。さっきのナルマ―とは大違いだ。




300m、瘴気が出てきた。だが〈漆黒犬〉とは比べるにも値しないものだ。




200m、草木が枯れ始めている。




100m、僕は期待を胸に慎重に進む。




そして20m、魔物の前の来た。



そいつは狼の形をした魔物だった。毛は緑色をしている。



感想はその位しか出てこない、強さはナルマ―たちにも劣っている、と感じているので強さを褒めることは出来ないのからだ。



「よし、とりあえず殺そう」



不狂視弾(ノーティア)』を放ち殺した。



強化されているとは感じない、この強さの者たちで感じる地点はとっくに通り過ぎているようだ。

だが【能力】はちゃんと持っていたみたいだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名称:森の番人


種族:魔物


【能力】


『視力強化』・・・視力が上がる。最大は発動者の目の20倍。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




微妙だ、とても微妙だ。



森の番人って名前なのに。



欲を言えばもうちょっと良い【能力】を持っていてほしかった。



でもわかった、この強さの奴は【能力】を持ってる。

多分だがこれよりも少し下の魔物も持っているんじゃないかな。



さっき倒したナルマ―程度の弱い魔物にはたいした需要はない。この強さの魔物を倒した方が効率的だ。次からはそうしていこう。




さて、初めての寄り道も終わったことだし元の道に戻って目的地に向かおう。





勿論本を読みながらね。












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