フザケテル
夢を見た。
起こることの無い・・・・・・夢を見た。
それは僕の願望だったのだろうか。
それとも、誰かの願いだったのか。
でも、それを誰もが望んでいることだけは・・・・・・確かなんだ。
それは僕も同じことだ。
いや、少し違うのかもしれない。
そうだ、僕が描いた、願いは・・・・・・・・・・・・・
♦♦♦
目を開くとそれは死骸の山だった。
一瞬、まだ夢を見ているのかと思ってしまった。
「自分でやったことなのにな」
僕はそんなことを思いながら苦笑した。
さて、目が覚めたところで僕は『狂わされし虚偽』を発動した。
寝ていた時間はたいして立っていないようだ。
寝ていた、と言うより意識を失っていた、と言ったところだ。
敵の反応はない。
あそこまで派手に暴れたのだ、これでここに来る様なものは〈漆黒犬〉ぐらいだろう。
何万という魔物の力を奪ったのにも関わらず、まだ〈漆黒犬〉に勝てる気がしない。
それは僕が弱いんじゃなくてあいつが強すぎるんだ。
・・・・・とにかく、今のところの安全は確保できた。
その間に僕は〈ヨータム〉を確認することにした。
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仮名称:ナルマー(制作獣)
種族:魔物
【能力】
『消えし存在』・・・他人の五感、魔法及び【能力】の探知、第六感での探知を遮断する。他の物にも付与出来る。
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「・・・・・・・・・・・・・・は?」
いやいやいやいや、待て待て、おかしい、なんだこれ?
確かにさっきの戦いでナルマーを大量に殺したよ?
奪った【能力】が重複しているときどうなるのとか、考えた時あったよ?
でも、でもこれはおかしいだろう。
・・・・・・・・・・・・・取り乱した。
多分、【能力】が一度奪ったものに重ね掛けされて強くなったんだろう。
僕がどれだけナルマ―を殺したのかはわからないが結構な量を殺っているはずだ。
そして重複し過ぎるとヤバイ【能力】になる、と。
まぁ、もともとがイカレテル【能力】だった訳だからそれも仕方ない気がする。
でも、これなら他の奪った【能力】はどうなっているのか、
・・・・・・・想像しただけでヤバイ感じがする。
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仮名称:ウザイラ(制作獣)
種族;魔物
【能力】
『認識改変』・・・相手の五感、魔法及び【能力】、第六感などの認識可能器官を阻害する。
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仮名称;ゴブリン・コボルト・オーク・トロール(制作獣)
種族;魔物
【能力】
『時空探知』・・・人が感じられる次元の更に高次元の空間を探知できる。
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もう、何も言わない。
「・・・・・・ん?」
少し難しい言い方だな。
『認識改変』は『認識阻害』の上位互換だな。
『認識阻害』は【能力】での探知には効かなかったからな。
それを克服したのが『認識改変』なんだろう。
『時空探知』は制作獣――ゴブリン、コボルト、オーク、トロール――が持っていた【能力】を寄せ集めたものだろう。
多分、この【能力】がふざけている所は高次元さえ探知できるところだ。
高次元が探知できるということはそれより下の次元であるこの世界のことを簡単に知れるに等しい。
きっと『時空探知』と同等の【能力】は殆どないはずだ。
・・・・・・・普通にありそうだ。
ま、まぁいい
とにかく一回使ってみよう。
使ってから分かることもあるわけだし。
それじゃあ、『消えし存在』から使ってみた。
「お、おお!」
存在がどうとかじゃなくて世界から消えた様だった。
じゃあ、次は、と、そうだな、うん、『認識改変』にしよう。
使ってみた、がやはり自分では効果を確かめるのは難しい様だ。
それじゃあ、最後に『時空探知』を発動した。
「ウ⁉っく‼」
加減を誤った。
最大を探知してみたが見ることは出来ても身体が付いていかないな。
今度は少し緩めで発動した。
「・・・うん、これは使えるな。」
しっかりと探知出来ている。
少し不安だったが使える【能力】で良かった。
『時空探知』は『狂わされし虚偽』の殆どを上回っている。
そのどちらも演算力で範囲が決まってくるが燃費と使い勝手は断然『時空探知』だ。
だけど、『狂わされし虚偽』には嘘を見抜く力も備わっている。
これだけは『時空探知』にはないものだ。
この二つは時と場合によって使い分けた方が良さそうだ。