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いつかの幸福  作者: Retisia
4/11

見える直前


ただ進んでいく。死と同時だと言われていた未踏破区域を何の躊躇いもなく前へ、前へと。


その間に出会う魔物が少な過ぎるように感じた。


いや、少ないんじゃない、いないんだ。



ウザイラ以来、魔物には出会っていない。


ここでも何かが起きたのか。それとも僕はまだ未踏破区域と呼べる場所には来ていないのか。


いずれにしろ、ここまで魔物が少ない原因を見つけないと、なんか、悪い予感がする。


お昼はとっくに過ぎている。


もうすぐあたりは暗くなり始め、夜が訪れることになる。そうなる前には見つけ出し、解決したい。


そうしないと1番困るのは僕だ。


たいして強くもなのに弱いまま進んでいくのは危険だ。

かといって引き返すのも何か違う気がしてならない。


なので原因の解決は必要不可欠なのだ!



今のところ、『隠れし闇(ハイド)』、『認識阻害(ブライト)』そして『空間狂偽(エリア)』を常時発動しているが使えなくなる気配はない。


本来、【能力】は何らかの制限が付いて回るもの・・・らしい。

例えば攻撃系の【能力】は1回使うと次、使うまでに時間がかかるものが多い・・・らしい。

他の【能力】は1日に使える回数が決まっていたり、特定の物を代償にして使ったりと、色々な条件がある・・・・らしい。


しかし僕はこうなる予想はしていた。

【能力】がいつでも使える位、当然のようにしてくるのが未踏破区域の魔物だと僕は思っている。

それが立証されただけだ、たいして驚くことじゃない。

それにしても殺した盗賊はいい知識をたくさん持っていた。どうでもいいけど。



それよりも問題はいつ、僕が持っている【能力】と【狂魔法】を見破り、襲い掛かってくる魔物がいるかだ。


正直に言って僕の攻撃手段は少ない。【狂魔法】の魔力を放出するだけの魔法―――名前がないのはあれなので『浸食(エルズ)』と呼ぶことにする―――と【狂魔法】の魔力を固めた『狂弾(きょうだん)』、それを『空間狂偽(エリア)』でアレンジした『不狂視弾(ノーティア)』だけだ。


それ以外があまりにも貧弱過ぎる気がしてならない。


僕のこれからの課題は【狂魔法】の強化、魔物の大量殺害による【能力】掠奪、それと接近戦もできるようになっていたい。


できることは多い方がいいよね。


そこで前々から考えていた【狂魔法】を使ってみようと思う。


今の僕に足りないのは探知能力だと思う。


五感に頼って探索をしていたがここではほとんど意味を為さないことは分かっている。

ナルマ―とかウザイラとか。


なので探知ができる魔法を作ってみた。



「・・・『狂わされし虚偽(エア・メアート)』」



名前からして全く探知系に見えないと思っているがちゃんとした探知魔法だ。




人は真理を見ることができるのに見えない。


それは真理以上に虚偽が見えてしまうからだ。


狂わされし虚偽(エア・メアート)』は虚偽を狂わせ、掻き消し、真理だけが見え、感じ取り、探知できる【狂魔法】だ。

効果範囲は自分の演算力に依存している。



「・・‼これは、・・・・なれないうちは大変だな。」



真理だけが見えるということは起こった事象をすべて知ってしまえると言うことだ。

しかも範囲内の地形は立体で感じられるので何がどうなってるのかもすぐにわかる。


だがそれは必要のない情報まで無条件に流れ込んでくるのと同じだ。


欲しい情報を的確に指定できるよう調整できないと、探知範囲も狭くなる。


さっきは100m位しか探知できなかった。

調整さえできれば今の僕で1km程度は探知できる自信はある。


今度は魔物の生命探知だけを条件で使ってみようと思う。


すると案の定1km位は探知できた。


魔物の生命反応は探知範囲ぎりぎりのところに1つしか感じなかった。



「とりあえず行ってみるか。」



♦♦♦


魔物を発見してからも移動速度を変えなかった。肝心の魔物がいない原因が掴めていないからだ。魔物の方は捕捉は出来ているので逃げられる心配はない。


もしかすると魔物が少ない原因は捕捉した魔物の所為かもしれないな。


ここら一帯に1体しかいないのはあまりにもおかしいし。


その場合、あの魔物は恐ろしく強いと言うことだ。


たったの1体で全滅させられるほどに周りの魔物が弱かったのか、あの魔物が強すぎるのか、この2択で言えば誰でも確実に後者を選ぶはずだ。



ん?



おっと、あと200mで魔物に出会うな。



それにしてもすごい圧だ。


なんでこの距離になるまで気が付かなかったんだろう?



僕は最大限の警戒をしながらその魔物に近づくことにした。


ゆっくり、ゆっくりと近づいていく。


今までには信じられないほどに慎重だと自覚している。


未踏破区域に入るときに感じた圧と同じだからだ。


きっとあの時にはもう、あいつに捕捉されていたんだと思う。



僕はあいつに勝てるのか?、そう思わざるを得ない。





そして、そして・・・・姿が見えた。










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