スキはナシ
グルメ要素ほぼないのにグルメタグつけてごめんなさい。
初めて書きました。
拙いですがぜひ見てください。
俺の幼馴染は隙が無い。完璧人間だ。
塾や教材を使っていないというくせに、昔から勉強ができる。具体的にどれくらいできるかというと、常に全国学力テストで10位以内をキープするくらいだ。
何か習っていたというわけでもないのに、運動も無茶苦茶できる。クラスマッチのテニスで現役のテニス部と互角に戦っていた。打ってからバウンドせずに転がる打球を、俺はあの日初めて見た。
さらに性格もいい。なんというか、話していてまったく邪悪さを感じない。困っている人がいたら必ず手を差し伸べている。いつも誰かの陰口を言っている女子の集団が、彼女について話しているときに、全く悪口が出ていなかったことを鮮明に覚えている。
他にも料理お掃除などの家事、音楽性や美術的感覚、虫や幽霊などを全く怖がらない、顔もかわいくスタイル抜群等々、何もかもが優れている。文字通り完璧人間なのだ。
そんなパーフェクトな幼馴染にも、苦手なものが一つだけある、らしい。
何度も「それは何だ」と聞いているのだが、
「君にだけは教えられないなー」
と、毎回逃げられる。捕まえて尋問しようにも、俺より運動神経がいいので逃げられる。
あの手この手で聞き出そうとしても、俺より頭がいいので先読みされて詰む。
全く隙が無いのだ。今ではそれを聞き出すことを諦めている。
なぜそこまで彼女の苦手なものに集中するのか?
それは俺が幼馴染のことが好きだからだ。もちろん恋愛対象として。
考えてもみてほしい。男よりかっこよくスポーツで活躍して、大人よりかしこくズバッと難問を解き明かして、誰よりもやさしく人のことを考え手助けする。
そんな男や大人よりカッコいい女の子が自分の近くにずっといたらどうか?
憧れないわけがない。
そしてそんな子が自分のためにおいしいお菓子を作って、照れながら渡してくれたり、何の理由もなしにかわいい服を着て家に遊びに来てくれたり、悩んでいるときは家族よりも親身になって話を聞いてくれる。しかもめっちゃ可愛い。
それが昔から今までずっと続いたらどうだ?
惚れないわけがない。
ホモでもない限り間違いなく惚れる。
だがしかし。好きな子より、勉強もできず、運動もできず、何一つとして優れているものがない俺はどうか。
まずプライドはズタズタ。頑張ってみても追いつくこともなく卑屈になる。そして落ち込んでいるところを彼女によしよし、と慰められる。そして彼女の素晴らしさを再確認しつつまたプライドが折れる。
自分が嫌になる。だってどうしようもないのだ。
昔、というか中学生のころくらいまでは負けるものかと何度も頑張っていた。そのおかげで料理とゲームだけはアホみたく上達したが、結局それも彼女にかなったことは一度もない。
そして高校生となった今では、ほぼ完全に彼女に何か一つでも勝つことを諦めている。どれだけ頑張っても無理なものは無理なのだ。
とにかく負けたままでは悔しいのだ。何でもいいからギャフンと言わせたい。
そんな虚しさ切なさを抱えて、いつも通りの学校生活を終えて帰っている途中。
「ねぇ兄ちゃん、私ね梨花姉の苦手なことついに聞いたんだ!」
新たな風が自分の心を吹き抜けていくのを感じた。
「マジで?梨花の?」
「うん、梨花姉の」
梨花とは例の完璧幼馴染の名前だ。
「へーふーん、そうなのか」
あまりの動揺を隠すため、俺は興味がないふりをする。が、妹は俺の顔を見てニヤニヤとしている。間違いなくバレている。
「えー?兄ちゃん興味なさそうだねー?じゃあ教えなくてもいいかな~」
「ばっかてめ、興味ないわけないだろ馬鹿かお前バカ」
「馬鹿じゃないし!!三回も言わないで!!」
ここで変な意地を張って聞かない、なんてのはあまりにアホだ。プライドなんざとっくの昔にズタズタなのだ。今の俺に失うものなどない。
「で、何が買ってほしいんだ?」
「さすが兄ちゃん、話が早い!でも兄としてその腰の低さはどうなの……」
「今の俺にプライドなんてない。妹にだって土下座してみせる」
「絶対それはやめて兄ちゃん!」
そうして俺たちは近くのコンビニに入り、妹様が指定したちょっと高めなアイスを買うためレジに二人で並ぶのだった。
「梨?」
プラスチックのスプーンでアイスを掬いながら妹が言った言葉を俺は聞き返した。
「うん、梨花姉の唯一苦手なモノなんだって」
ソファに転がり妹は満足気にアイスをほおばる。
「妹ちゃんよぉ、アイス欲しさに嘘はよくないぜ?」
「いやホントだし!話の流れでポロってもらしたんだよ!」
「へぇ?」
なんとも信じられない話だ。あの完璧ウーマンがただの果物が苦手だなんて。宝箱を開けたら、中身が子供銀行の紙幣だだような気分だ。
それに梨花は普通に梨を食べれていたような気がする。
「ホントだってー!食べるときがあってもやせ我慢してるんだって!」
あいつのことだ。ホントにやせ我慢して食べそうな気がする。なんとなくだが。
「この場に梨花姉がいればなー……」
「いやここにいても教えてくれないだろあいつ」
「でも梨花姉嘘はつかないし!」
「答えずに逃げるだろ」
「あー、うん……」
テンションが落ちても妹はアイスを食べる速度を落とさない。見ていて変な気分になる。
この妹は性格上、嘘を言うことはほぼ無いということは分かっているのだが「梨」というのがどうも信じられない。
名前に梨付いてるし。なんというかほんと評しぬけなのだ。
「もー兄ちゃん信用してよー!私アイスが絡む話で嘘ついたことないじゃん!」
「分かってるんだけどなぁ、予想外すぎてちょっと……」
「いいよもう!そこまで言うなら、信じるか信じないかはあなた次第!!以上終わり!!」
「わーったわーった信じる信じる」
嘘か本当かはわからないが、彼女にとって唯一の弱点かもしれないもの。それがようやく解ったのだ。
「そういえばお前、今日は暇か?暇だよな」
「暇だけど、まさか……」
「今日あいつん家で梨パーティーが急にしたくなったんだ、付き合ってくれ」
「うっわー最低……」
呆れ半分に妹がこっちを見つめる。だがもう半分はどこか安堵してるように見えたような、気がする。
「なんとでも言え、そんなことよりあいつを一辺負かすことが大事だ」
「何の勝負なのさ……」
「俺がそんなこと知るか」
「知らないんだ!?」
「ほれ千円給料やるから梨買ってきてくれ」
「がってんしょーちだよ兄ちゃん!!」
やはり現金なやつだ。御することはたやすい。
妹は買い物用の袋をどこからか持ち出しそそくさと家を出て行った。
「さてと、俺も準備するか」
よいしょと立ち上がり冷蔵庫と調味料の棚を確認する。ここしばらく自分で料理することがなかったので、何となく違和感を感じる。
はじめてだ。はじめて、完璧で隙がないあいつをぎゃふんと言わせることができるのか。まぁただの嫌がらせでしかないが。
ただ、昔からどんなちょっかいをかけようとしても毎回防がれて、一回も彼女への嫌がらせを完遂することができなかったのだ。
心が躍る。かつてないほどに。
俺の今からやることは、ちょっぴりハイレベルにした小学生の嫌がらせのようなものだ。そんなことなのに、俺はすごくワクワクしている。
きっと、これは俺の青春への復讐なのだ。好きな女の子に一度もちょっかいをかけることのできなかった、灰色な青春時代への。
不思議と体の奥からエネルギーが湧いてくる。今の俺なら、何でもできる気がする。
拳を強く握り気合を入れる。
「よしやるか……!!」
「ただいまー!梨めっちゃ買ってきたよー!」
「おし来たか!!いっちょかましてやろうぜ妹よ!!!!」
「テンションめっちゃ高いな兄ちゃん!?」
そんなこんなで、梨パイ梨シュークリーム梨ゼリー梨パフェ梨の刺身梨プリン梨クッキーとかなんかめっちゃ作り、俺たちはにっくき幼馴染の家の前に立っていた。調子にのってクッキーはハート型とかポケ〇ン型とか作ったが無駄だったかもしれない。
「いよいよ来たね!兄ちゃん!!」
「あぁ、心が滾るな!」
数々の梨スイーツの入ったカゴを強く握る。
「……なんか妙にテンション高くない兄ちゃん??」
「あぁ!」
呆れた目で妹がこっちを見ている気がするが、そんなことはどうでもいい。今日俺は初めて気になる子に嫌がらせができるのだ。テンションがあがらないわけがない。
「でも良かった」
「ん?」
「兄ちゃんがそんなギラギラしてる姿が見れて」
何を言ってるんだろうかこの妹は。
「何言ってんだお前?」
「なんで素のテンションに戻るのかな!ほらピンポン私が鳴らすね!」
「いいや俺が鳴らす!!」
「あーもうほんとめんどい兄ちゃん!!」
そうしてインターホンをどちらが鳴らすかを10分近く揉めて結局二人で同時に押すという結論に落ち着いた。
「はーい、ってあれ?」
インターホンから少し驚いたような声がしてすぐに、家のドアが開いた。
「どうしたのこんな夜に、?入って入って」
パジャマ姿で出てきた梨花は、すぐに俺たちを家に入れた。
「今日はお父さんとお母さんどっちもいなくて寂しかったんだー」
「え……てことは私と梨花姉の二人きり……!?」
「ナチュラルに俺省くのやめてくれ」
「そうだね、林檎ちゃん……二人っきりだね」
「梨花ァ!」
あははは、と笑う二人。ちなみに林檎は妹の名前だ。
「なんか、君妙にテンション高くない?」
「だよねー梨花姉。おかしいんだよ兄ちゃん」
「いやいや全然普通だし」
嘘である。今俺はめっちゃテンション高い。最高にハイってやつだ。
「それで二人とも今日はどうしたの?」
〈来たよ兄ちゃんッ!〉
〈来たか!!〉
妹とアイコンタクトを交わす。
ついに来たのだ。気になる子に嫌がらせができる、この時が!!
「いやな、ご近所さんに超大量の梨をおすそわけしてもらってな」
「梨……?」
少し、梨花の声色が変わり、俺が持っているカゴを見つめる。
ひょっとしてもう中身に気づいたのだろうか。
「それで梨で作った菓子を作ったんだけど作りすぎてな」
「まさか……」
梨花の顔に焦りが滲み出はじめる。梨ごときでここまで焦るなんて。めっちゃおもしろい。
「あぁ、おすそ分けしようかなって」
「へ、へぇ、おすそ、わけ……」
声がブルブル震えている。勝った。俺は勝ちを確信した。間違いなく、こいつは梨が苦手なのだ。
「てことで、こんだけ作ってきたんだ。三人で食べようぜ」
「あぁぁ……」
俺はテーブルの上に容赦なく大量の梨スイーツを並べる。
梨パイ梨シュークリーム梨ゼリー梨の刺身梨プリン梨クッキーその他色々が次々にテーブルを埋め尽くしていく。
それに比例して梨花は顔が青くなっていったが、やがて顔を下に向けて沈黙した。
(うわぁ兄ちゃん、これ辞めといたほうがよかったんじゃ)
妹が引き気味に、ヒソヒソ言ってくる。
(いやぁ、梨が苦手だってこと喋ったのお前だし?全ての責任はお前にあるだろ)
(えぇー!?)
さて、ここから本気で怒るか、それともガチ泣きするか。はたまた無茶苦茶嫌がるか。
どの反応でもいい。どれであっても楽しみだ。だって、どの反応も見たことないから。
「いやぁ、梨料理作りすぎちゃったなー。誠に遺憾だ」
俺は椅子に座りながら、梨花の精神に追い打ちを掛けようとする。
「……これ全部、君が作ったの?」
「あぁ、たまには料理したくなってさ。味はそこのアホ妹のお墨付きもらってる」
「誰がアホかー!!あ、料理の味はどれも最高だったよ!!」
そういうところがアホ言ってるのに。
「へぇ、全部君が、へぇ……」
「おう、全部。全部梨たっぷりだ。めっちゃ梨の味がしておいしいぜ」
「もはや梨的な!ねえ兄ちゃん!!」
何故かはしゃぐ妹とは対照的に、梨花は黒いオーラが見えそうなくらい静かだ。
多分妹がはしゃいでるのは、また梨料理が食べれるからだろう。やっぱアホである。
「梨、梨……私、梨だけは」
小声で梨花がそう呟くのを、俺は聞き逃さなかった。
「ん、どうした?」
聞こえなかったふりをして、聞き返す。こう、なんていうか。すごいいじめたい。
「その、私……梨が……」
「梨が、どうかしたのか?」
(うわぁ……)
さっきまではしゃいでいた妹が、軽蔑した目でこっちを見てくる。今はその視線すら気持ちいい。
「私、梨が、苦手なんだ」
「へぇ~~~~~~~~初めて聞いた」
嘘である。数時間前に聞いたばっかである。
梨花は体を縮こめ、申し訳なさそうに目線をふらつかせる。
心の底に眠る嗜虐心が、くすぐられる。
「お前、苦手なものあったんだなー完璧だと思ってたのにー、あったんだー」
「……」
うわぁ、と妹が完全にドン引きしてるのが目の端に移るが関係ない。
梨花は完全に黙ってしたを向き、プルプル震えている。
勝った。ついに勝ったのだ。苦節10数年、ついに。俺は。気になる子に。嫌がらせができたのだ!!!!!!!!
俺はトドメといわんばかりに、梨パイの皿を梨花の前に置いた。
「くくく……あは、あははははははははははは!!!」
いかんうっかり爆笑が出てしまった。でも嬉しいからしょうがない。
だいたいなんなのだ、名前に梨が入ってるくせに梨が苦手とか!!ギャグか!!!!
常に完璧で隙が無いのに、やっと唯一の隙が梨とかもう笑いが止まらない。隙は梨ってかははははははははははははははは!!
「……何が、おかしいのかな?」
今まで下を向いて黙っていた梨花が、ようやく口を開いた。今、彼女はどんな顔をしているのだろうか。怒り、悲しみ、恐怖。さて、どれかなククク。
俺は期待を膨らませて彼女の方を見たが、その顔は俺の想像していた表情とは大きく異なっていた。
笑っていた。梨花は笑っていた。
「……お前こそ、なんで笑ってる」
俺は恐怖を覚えた。こいつは、自分の唯一の弱点を目の前に突き付けられているのに、どうして。
よく見ると、梨花の手元にあった梨パイが消えている。
「よくまぁ、梨をたくさん持ってきたねー。私、本当に梨が苦手なのに」
背中を嫌な汗が流れる。梨花の手元のパイはいったい誰が食べたのか。
梨花は梨パイの横にあった梨シュークリームを手に取る。
根本的な疑問が脳裏をよぎる。
「ほんとーーに、ひどいことするよね。君」
彼女は俺をニヤニヤした顔で見つめた。
『本当にこいつは梨が、苦手なのだろうか』
いや、違う。
『本当にこいつは梨が、嫌いなのだろうか』
「そういえば私がどうして梨が苦手なのか言ってなかったね?」
俺や妹は早とちりしていたのかもしれない。
必ず、嫌い=苦手が成り立つわけではない。
例えば猫が好きだけど、猫アレルギーの人がいたとする。
その人に嫌い=苦手という法則は、あてはまるだろうか。
好きだけど、苦手。そういうのも、あるのではないか。
梨花がシュークリームを持ったままこっちに来て、思わず俺は後ずさりする。椅子の足にひっかりそのまま椅子に腰をかけてしまった。
「梨を出されるとね、止まらないんだ」
何が、とは言わない、その「何が」なんなのか俺にも、もうだいたい分かった。
ちくしょう、はめられたのか、俺は。
「あーほんと、梨は好きすぎて苦手だなー」
梨花はおいしそうに、シュークリームを頬張る。その顔はとても満足そうでにこやか。嫌いなものを食べている顔じゃなかった。
腕の力がふと抜け、俺は椅子に寄り掛かかる。
完全に勝ったと思ったのに、最初から負けてるとは。ちくしょう。
ぼんやりと天井うぃ眺める。妹と梨花がおいしそうに梨スイーツを食べている姿が目の端に移ったが、しばらく敗北感で何をすることもできなかった。
やはり、俺の幼馴染に隙はなかった。
***
椅子に座って茫然としている兄ちゃんを私は何とも言えない気分になった。
嫌がらせ失敗して、そんなになるって高校生としてどうなの兄ちゃん。
「あはー、完全にぼうっとしてるねー」
それよりも怖いのはこの人だ。
「梨花姉、策士だねー……」
「そんなことないよ、二人が騙されやすすぎるだけだって♪」
多分、私が帰り道の話題で、梨花姉の話を出すとか、そのあとハーゲン〇ッツで買収されることととか全部予測してたんじゃないかなー……。
「計算通り二人が今日遊びに来てくれてよかったよーほんと」
「結局梨花姉は、なんでお兄ちゃんけしかけさせたの?」
「あはー、林檎ちゃんもっとオブラートに言ってよー……」
そう、結局この人は今回何がしたかったのか。これがわからない。いや、梨が食べたかっただけかな?うーん。
「何でけしかけたかというとね、茨くんの料理を久々にたべたかったからなんだ」
「兄ちゃんの料理?」
茨くんとは、兄ちゃんの名前だ。
「ほら、だいぶ前に『お前に勝つ―』って言って料理の猛特訓してたじゃない?彼」
「うんうん」
あれのおかげで兄ちゃんの料理の腕は多分シェフ並みになったと思う。多分。結局梨花姉には負けたんだけど。
「あの勝負の時の一回だけ彼の料理を食べたんだけどものすごくおいしくて」
「おいしいよねー!兄ちゃんの料理!」
「そうなんだよ!だから何度も『何かつくってー』てお願いしてたんだけど作ってくれなくて……」
梨花姉に負けてから兄ちゃんはあまり料理を作らなくなった。おいしいのにもったいないったら。
「で、この前も一回お願いしたんだけど『そんなに食べたいんなら自分で作った料理食えばいいじゃん、俺のよりおいしいんだし』って言われて」
「うわー兄ちゃん」
うわーないわー兄ちゃん。仮にもそれを好きな子に言うか。うわー。
「で、カチーンときて今にいたります」
「うん、梨花姉は悪くない私が許す」
全て兄ちゃんが悪い。今もまだ椅子にもたれたまま茫然としてるけど自業自得である。けど梨花姉が怒るなんて珍しい、というか初めてのような?
「ごめんねー林檎ちゃんまで巻き込んで」
「ううん!私は今回なにも損してないから全然!さ、梨スイーツ食べよ!」
むしろ、アイス食べれてお小遣いもらえて兄ちゃんの料理食べれてラッキーしかない。
「でも何か気が引けるなー……何か私にしてほしいことある?」
「んーそれじゃあ遠慮なく!聞きたいことがあるんだけど」
私はひとつ気になっていたことを聞いた。
「梨花姉のほんとに苦手なモノってほんとにあるの?」
「あるよー?」
あははーと笑いながら梨花姉は答えた。
「うっそだー、これでまた好きなもの答えて兄ちゃんにもってこさせる気だー!」
我ながら名推理!今日の私はさえてるかもしれない!
とか冗談半分に思ってたけど、梨花姉を見ると少し驚いた顔をしてた。
「……そうかもしれないね、というかそうしようかなー」
梨花姉はハート形の梨クッキーを手に取りながら小さく聞こえないように言った。
「……私のホントに苦手なモノは恋、かな」
「え?梨花姉今なんて?」
「う、ううん何でもないよ」
一体今なんて言ったんだろう。
よくわからなかったけど、一つだけ。なんとなく予感してることがある。
また、何か一波乱あるということ。
それにはなんとなく、巻き込まれたくないなーと私は思った。
fin
スキは恋に続く、かもしれない
めっちゃくだらないと書いてから気づく。
蛇足ですが、梨はバラ科バラ目。
そして主人公の名前は「茨」。
まぁそういうことですよね。
以上!読んでくださった方ありがとうございました!!
何かおかしいところがあったら指摘してくださると助かります。