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 夜中にトイレに行く。


 先に家族の誰かが入っていて、真っ暗な廊下で黙って待っていると、トイレから出てきた家族が、びっくりして悲鳴をあげる! ……そんな経験、ないだろうか?


 新築のわが家は、そんな心配はいらない。トイレの前の廊下に、人感センサーを取り付けて自動で照明が点灯するようにしたからだ。


 これは、父のこだわりだった。


 設計士との打ち合わせで、父がトイレのドアを外側に開くようにこだわった。内側に開くドアだと、万が一にも中で倒れたりしたら、救助出来なくて困るからだという。そうすると、廊下を歩いていて、開いたドアにぶつかる可能性がある。


 だったら、スペースを工夫して引き戸にしようという事になった。ついでに、夜はスイッチをいちいち触らなくても、廊下の照明が点灯するようにしようという話になった。


 怖がりの妹が、夜中にトイレで鉢合わせて悲鳴をあげることが、わが家ではわりとあったからだ。


 夜中に起きた。明るい廊下を歩いて、トイレに行った。


 用をすませて引き戸を開けた。隙間から見えた廊下が明るい。誰か、トイレに起きてきたのか?


 トイレの引き戸を開けると、父が立っていた。何だか満足そうな顔をしている。無言で場所を譲ると、トイレに入れ替わりに入っていった。


 明るい廊下を歩き、部屋に戻る途中、和室の仏壇が目に入った。


 待望の新築に入居して、間も無くの事だったから、未練があるのはわかる。


 しかし、四十九日の法要が済んだのだから、そろそろあの世に旅立ってもらえないだろうか?


 父よ。




お読みいただき、ありがとうございます。

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