第一話 2通の手紙
新章スタートです!
迅と紗耶が互いの気持ちを確かめあってから1週間がたった。
それからの二人の様子はというと・・・
「迅~。会いたかったよ~。」
「おっと・・・。紗耶。いきなり後ろから抱きついてくるな。びっくりする。」
「ダメだった?」
「まあ、いいけどさ。」
「えへへ・・・迅・・・好き・・・」
物凄い良好な関係・・・どころか、今まで以上にところ構わずイチャイチャしていた。
以前は人目を気にしていた迅ですら、紗耶が人前で甘えてくるのを気にしなくなっていた。
いや・・・気にしてはいたが、紗耶が注意しても止めないので諦めていた。
「さて、帰ろうか。紗耶。」
「うん~。」
後ろから迅に抱きついていた紗耶は素早く隣に移動すると、迅の腕に抱きついた。
「なぁ・・・。親友よ・・・。」
紗耶の行動を微笑ましく見つめていた迅は後ろからの声に振り替える。
そこには、クラスメイトの親友の伊藤と、男子生徒数名が血涙をしてるかのような表情で立っていた。
「えっと・・・。どうしたの?伊藤?」
「なあ、親友よ。俺たちは何があっても親友だ。それは変わらない。けどよ・・・。」
伊藤はそう言うと、主人公が敵にこんなことは間違っているとでも言うような感じの雰囲気を出して言った。
「リア充はいかんよな。いくらなんでも。俺は・・・俺たちは・・・リア充になってしまったお前を元に戻す!」
「えっと・・・」
いきなり、意味不明なことを言い出した伊藤に迅は戸惑ってしまう。
しかし、クラスメイトの男子はその台詞にうんうんというように同意しており、「その通りだ!」とか、「如月はこちら側の人間だ。」とか、「如月くんはボクのものだ!」とか、「リア充・・・殺っても大丈夫かな?大丈夫だよね?」など様々な声が聞こえてきた。
呆れて茫然としていた迅は紗耶に腕を引っ張られ、意識を戻す。
「行こう。迅。」
笑顔で腕に抱きついている紗耶は周りの声など聞こえていないかのようにそう迅に言った。
それに対して迅は・・・
「そうだな。待たせてごめん。」
そう言ってクラスメイトと親友に背を向ける。
この茶番劇を続けてあげるほど迅は暇ではないのだ。
しかし、そんな迅の前に立ちふさがる男が一人・・・
「・・・どけ。伊藤。」
持ち前の身体能力を無駄遣いして、一瞬で前に移動した伊藤はさせねぇよといわんばかりの表情で立っていた。
そんな無駄にカッコいい伊藤にどうしようかと思っていると、紗耶が口を開いた。
「ねぇ・・・。そこの人。」
呼ばれた伊藤は背筋を伸ばす。
それほどまでに、静かで迫力のある声で紗耶は言った。
「私と迅の時間をこれ以上潰すつもりなら・・・。」
そう言って紗耶はいつのまにかまたしても手にカッターを取り出して笑顔で言った。
「どうなってもしらないよ?」
笑顔なのに迫力の凄い紗耶に伊藤はガクブルといった感じに震えていた。
「行こう。迅。」
「あ、ああ。」
そんな紗耶の態度にある程度免疫がある迅でもなんとか返事をするのが精一杯だった。
「ふふふ・・・迅・・・」
腕に抱きついて、猫がするように頭をこすりつけて甘えてくる紗耶。
当たり前になってきてるその行為にいまだにドキドキする迅は、それでもなんとなくホッとしていた。
(やっぱり・・・紗耶といると落ち着く・・・。)
紗耶の笑顔が、紗耶の一つ一つの行動が、紗耶の香りが、紗耶からの好意が心地よいと感じている迅は控えめに言ってもバカップルの素質があるだろう。
そんな調子でふたりで下駄箱に向かう。
紗耶はクラスが違うので、ロッカーの場所も若干遠い。
名残惜しそうに手を離した紗耶は「すぐ戻るね!」と言って靴を履き替えにいく。
毎度のことながら、迅は苦笑いだ。
ちなみに、紗耶が離れた瞬間に若干の寂しさを覚えているのは迅だけの秘密だ。
そして、迅も靴を履き替えにロッカーに手を伸ばすと、迅のロッカーに何やら手紙が入っていた。
それも2通も。
(こ、これは・・・まさかのラブレター!?)
迅はそれをみて、旋律していた。
始めてのラブレターに嬉しかったわけではない。
これをみた最愛の人の反応が怖いのだ。
(い、いやしかし、まだラブレターと決まったら訳じゃ・・・)
便箋を裏返してみると、2通とも可愛らしい字でそれぞれいかにも女の子なシールが貼ってあった。
(や、ヤバイ・・・どうしよう。)
迅は盛大に焦った。
きっとこんなものを持っていた、紗耶は一瞬で気がつき、次の日相手はこの世にはいないかもしれない。よくて、記憶を亡くして病院送りだろう。
(なにより・・・悲しませたくないしな。)
迅は相手のことよりも、紗耶が少しでも悲しむのを見たくはなかった。
相手には悪いが、処分しよう。
そう思い、取り出したところで、紗耶が顔を出した。
「お待たせ。迅。」
「お、おう。紗耶。」
咄嗟に手紙をポケットに入れてから迅は後悔した。
(や、やっちまった・・・)
やましいことはないが、咄嗟に隠してしまうのは男の悪い性であるだろう。
「えへへ。迅~。」
そうとは知らず、いつも通り抱きついてくる紗耶。
すると、紗耶は一瞬ぴくっと反応すると、迅に笑顔で聞いてきた。
「迅。何か隠してない?」
(さ、さっそくばれたー!)
いきなりばれた迅は素直に手紙をだした。
それをみた紗耶は笑顔ではあったが、物凄い迫力であった。
「中身はみたの?」
「いや。だって、仮にラブレターだったら、断るのは前提だし、なにより俺には紗耶がいるから。」
当たり前のように言った迅の台詞に紗耶は嬉しそうにした。
「私も、迅のものだよ!」
嬉しそうに抱きついてくる紗耶。
ホッとしたのも束の間、それはそれといった感じで紗耶はふたたび手紙に目を向ける。
「で、中身は?」
「ちょっと、待って・・・」
緊張で震える手をなんとか動かして手紙をあけると、ひとつは演劇部へのお誘いだった。
これは問題ない。しかし、もう一通が問題だった。
「これは・・・」
手紙にはこう書いてあった。
『本日の放課後。渚公園前でお待ちしております。久しぶりにお会いしとうございます。お兄さま。』
そして、手紙の最後にはこう締めくくられていた。
『愛しの妹、ひかりより』っと。
落書きコーナーはっじまるよー!
さあ、またまたこれがあるんですよね。
このコーナーは本編には関係ないやり取りや、もしものコーナーです。
〈手紙の開封時〉
迅はそっと手紙をあけた。
すると、中には・・・
『ヤラナイカ』
そう一言と、郷田ひろし(ごうだひろし)という男の名前が書いてあった。
「男かよ!」
がっかりする迅に対して、紗耶は真剣な表情をしていた。
「男からもモテるなんて・・・流石は私の迅。でも・・・じ、迅の始めては全部私のものだし!」
「ちょっと、紗耶さん。廊下で何を言ってるの!?」
「迅のすべては私のものだもん!後ろのはじても私のものだよ!」
「だから、女の子が何を言って・・・ちょっ・・紗耶落ち着いて・・・!」
「迅・・・私が始めての奪ってあげるね・・・」
「さ、紗耶・・・待って・・・」
「待たない。」
「ちょっ・・まっ・・・アッ・・」
「迅・・・」
そして、校舎に男の悲鳴が響きわたったとさ。
紗耶は男でも迅に近づくと嫉妬しちゃいます。
まあ、迅もまんざらでもないんでょうけどね。
さて、いよいよ新章です。
皆様のたくさんの応援のコメントと、誤字、修正ポイントの報告は凄く助かり、作者としても俄然やる気になります。
あと、とあるオリジナルアニメのキャラに似ているという方もいましたが、モデルは別のキャラだったり・・・
まあ、それはともかく、いつも応援ありがとうございます。




