幼き決意1
少女は人間が嫌いでした。
同い年の子は少女を怖いと避け、大人はみんな少女に取り入って利用しようとするものばかりだからです。
両親も例外ではありません。
少女は人間が嫌いでした。
そんな少女にも一人だけ気を許せる人がいました。
それは、近所に住んでいた少し年上の男の子です。
少女は毎日のように男の子と遊びました。
しかし、大きくなるにつれて、その頻度は下がります。
寂しく思っていた少女は、こっそりと家を抜け出して少年に会いにいきます。
少年の家に行くと、家は静かで物音ひとつしませんでした。
不思議に思っていると、近所のおばさんが、話しかけてきます。
「ここの人なら引っ越したよ」っと。
少女は慌てて何故かを聞きます。
おばさんは、少女の問いに何やらもめ事があったらしいと答えました。
しかし、それ以上の情報は持ってませんでした。
少女はおばさんにお礼を言うと密かに少年のいた家に忍び込みます。
中はもう片付いていて何ものこっていませんでしたが、庭に出た少女はとあるものを見つけます。
それは、少年がいつも持っていたビー玉でした。
少女はそれを手に取ると、そっと目をつむります。
少女には物の記憶やその所有者のそのときの情景をみる特殊な力があったのです。
そこで、少女はみました。
少年が友達だと思ってた相手に騙され、監禁されたこと、少年がそれを返り討ちにして、その友達を自殺に追い込んだことを・・・
少女は涙します。
悲しかったからというのと、悔しかったのが理由です。
自分は少年が苦しんでいるときに何も出来なかった。
自分は少年のことを何もしらなった。
自分は少年を・・・助けられなかった。
そんな後悔と、悔しさが込み上げます。
少女はそのビー玉を持って家に帰ります。
一晩眠れぬ夜を過ごした少女は決心しました。
強くなろう。と。
かつて、自分を助けてくれた少年のために、今度は自分が少年を助けようと、そう心に決めます。
そして、少女は・・・




