ラスボス系俺氏
「マッスル!レボリューション!!」
一番早かったのは筋肉モリモリマッチョマンの変態、凄まじい速度でふりかぶられる拳は空気との摩擦によって発火する。
「マッスル!ファイアー!」
魔力量は少ないが彼の魔力の純度は相当だ。それが全て物理法則の改変に注がれ、彼と彼の周囲だけだが彼の認識により常に改変され続け、彼の信じるものつまり筋肉が全てを支配する空間が形成されている。つまり、彼が彼であり、その身を鍛え続ける限り筋肉こそ正義なのだ。
ベキョォ!
真っ赤に燃える拳がまっすぐに振られる。ただその速度と威力がために空間が歪み拳の届く範囲よりもずっと広範囲に被害が及ぶ。
「甘い!」
しかしヒミツはそれの現象を剣戟で、しかも走って勢いをつけるでもなく、魔力を注ぐでもなくただ全身の関節を使った加速をフルに使うことで左手に握った標準的なロングソードで発生させる。
「ぬっ!?」
「あはははは!すごい!すごいです!」
吹き飛ばされるマッスルな男と入れ替わる様に飛び込んできたのは山田少女(変態)、しかし、先ほどとは違い魔剣を使用しておらず自身の魔力によって身体強化をするのみで特に変わった様子はない、強いて言えば、先ほどよりもずっと鋭い抜き身の刀の様な殺気を向けてきていることだ。
ヒミツは無色透明察知不可能の透華を振るうがそのほとんどをお完璧に見切って突っ込んで来る。
「・・・参考までにどうやって避けてるんだ?」
ヒミツがそう聞くと少女は鞘と刀の両方を構え口角を上げ、雷と言うよりは獣じみた動きだった先ほどとは打って変わって技巧と人の業によって練り上げられた剣術を放ちながら言う。
「見ているのは起点であろう柄を持つ手と殺気の方向、そして・・・勘です!」
恐らく本当に見えていない、彼女はほとんどで勘のみで避けていると言っても過言ではない、確かに鞘と刀の二刀にすることで接触する可能性を増やし、それがどう動くかを予測して避けているところもあるが、それはヒミツはもちろんこの剣が打ち合いに向いていないのを承知で撃っているからである。
普通に考えてこの剣ですべき理想の一撃は全くの死角から突然に、それこそ最初の一撃で決めることだ。なぜなら伸びたり、物理的にも魔法的にも不可視であっても打ち合えばそのリーチは予測され、打ち合えば少なくともそこに刀身が存在していることが露呈してしまう。不可視でも存在はしているのだ。達人ともなればそこにあるとわかるだけであとは風切り音や砂けむりなどの僅かな動きで刀身を察知されてしまう。
「そうか・・・じゃあこう言うのはどうかな?」
なので、彼はこの剣の本領、八つの刀身による同時連続攻撃を発動させる。
彼女はなんとかしのいでいくがと途中で違和感に気付いたのだろう。疑問をその瞳に浮かべ、その瞬間彼女の避けきれない箇所から突然に刀身が発生、太ももを貫き、動きが止まった彼女の四肢をさらに他の刀身が貫く。
「ッ!?ガッハ!アハハハハハ!すごいです!すごいです!!」
「いいだろう?コレ。」
しかし致命はあえて取らない、なぜならこれは訓練なのだ。一瞬で終わらせては面白くない、此処から彼女がどう対処するのか、それが問題だ。俺は刀身を消し、彼女を仲間のいる場所まで投げ飛ばす。
「どうした?まだ二人しか来てないぞ?」
「いや、3人だ!・・・っく!」
と、同時に挑発をするが背後に気配、透華が自動防御をするのでそのまま放置、ぎゃリンと言う金属のぶつかり合う音が響き、同時に背後にいた忍者に次々と透華の刀身が襲いかかる。
「うーん、そこかな?」
俺は個人的に違和感を感じる場所にロングソードを振り、空間破壊を巻き起こす。
「な!?まじかいな!」
「お、ビンゴ〜」
「ぬぅ。」
忍者くんの隠密は相当だったのだが、彼個人の力だけで俺の知覚からはずれることはできない、もし出来るのなら筋肉くんや山田が来ている間に背後からざっくりしているはずだ。
そうできないのには何か理由がある。そう、例えば・・・
「支援魔法の使い手がいる。とかね?」
俺は上方向にロングソードの先端から単純な魔力収束砲を打ち上げる。
「ニャン!危ないじゃんよ!」
すると隠蔽状態だったものが剥がれ落ちフリフリスカートにかぼちゃパンツと言うある種正統派な魔法少女衣装に身を包んだギリギリ少女(高校生)が現れる。
まず、魔法少女がゆっくりと魔力の濃度を変化させ魔法の発動を気取られない様にし、そこに糸目くんが隠蔽系の魔法を発動、忍者くんの奇襲を囮に魔法のが上からズドン、と言う手筈だろうか?
「ありゃりゃ、失敗か〜」
「正面からの突破以外無い・・・か?」
「て言うか、どうやって気付いたし、やばすぎだし。」
魔法使いが前線にいると言うことは、山田を回復しているのは正義くんか義手義眼君、筋肉君は自己改変と現実改変以外に割く魔力はないはず、ならば・・・
「山田がくるまでの時間稼ぎ、かな?」
魔法少女の多重展開された攻撃魔法による飽和攻撃を障壁一枚で押し返すと土煙の中から随分と雰囲気の変わった正義君が現れる。
「全く・・・相変わらず馬鹿強いですね。」
「そう言う君もなんだか心入れ替えたらしいね。」
さて、このハイスピードコマ送り小説の中で彼が出て来たのを覚えているだろうか?ちなみに俺は苗字を忘れた。
だが、まあそんな事はどうでもいい、彼は一度エルフの里で主人公の座をかけて俺に突貫し、一瞬でやられた挙句どっかの爆発少年見たいなヘドロじみた何かに取り込まれ暴走、俺の全魔力を使ったエクスカリバーの魔力収束砲にてヘドロを粉砕、救出されたのが彼である。
そんな彼の今の武器はロングソード、防具は無難で無骨な金属鎧そして大きな盾だ。いわゆる重戦士スタイルの彼はその見た目にそぐわない軽快な動きで距離を詰め魔力を自身の武具に漲らせる。
「付与『魔法剣』『魔法盾』!行きます!」
大楯をこちらに投げつけながらその一瞬で一気に接近し、無難かつ愚直といってもいい実践剣術らしい急所や死角を狙ったいやらしい剣を放つ。
「いいじゃない!泥臭いのは好きだぜ?」
俺は盾を弾きそれをキャッチされるのを見ながらその嫌らしい剣を透華の偏在刀身で弾く。
彼は一瞬その無色透明な唐突に現れる剣身に驚いた様だが、直ぐに砂を巻き上げ魔法によって軽く操作しながら刀身が出てくる際の揺らぎに注意している。が
「な!影が!?」
「おしいおしい、ちょっと配分を間違えたなぁ。」
なので俺は、ニヤリとして彼の影を遠隔操作し彼をその場に縛り付けた。魔力を盾や武器、防具また周囲の環境に馴染ませるのは良かったがいかんせんかれ自身の魔法耐性が低くなりすぎた。
魔力による気配察知によると山田と筋肉君は既に復活しこっちに向かっているし、魔法少女たちはまた策を弄す様だ。
「ふむ・・・まあ、とりあえず剣も動きも悪くはなかった。魔力操作はもっと磨けるな。」
俺はそういって正義君の頭を吹き飛ばし、退場させた。




