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勇者達と俺氏


空を見ればまだ朝方、しかして迷宮探索は迷宮内部の時間に合わせなければならないためギルドも24時間体制らしい、しかも外からは分からなかったが中は相当な混雑具合だ。受付嬢や冒険者がごった煮状態だ。そんな中、俺はアシェイラとデインに頼みごとをしてから一旦別れを告げ、五人程度の集団、勇者達と合流した。

見ればそれぞれかなり個性的な格好をしている。さっき声をかけてきた回復系魔法使いらしい彼女は女子高生って感じの制服に身を包んでいるし、極端に影がうすい彼はザ・ニンジャってかんじだ。だがそれよりももっと個性的なのがおれのめのまえにすわっているし、俺は今そいつの放つ強烈な殺気の中にいるのだった。


「小夜は・・・どこだ?」


内包する魔力はかなり多いし、体も鍛えているようだ。それに異様なのが右の機械腕、そして明らかに無機物的な左眼である。魔力の流れ的に義眼義腕なのだが、目は常に鑑定系魔法を発動待機しているし、右腕に至っては既に臨戦態勢っぽい、おー怖い怖い。

また、後ろに控えるのは四人どれも普通に現代日本で暮らしていても出ない威圧感的なものを放っている。ジッサイコワイ。


「多分王都、ああ、王国の方だよ、あと微少女がいなくなったというよりは俺が転移させられたんだけどね。」


にしても人相がアレというか、なんというか、堅気の顔じゃねえ的な顔の白髪灼眼である。本当に高校生か怪しいレベルの殺気と肉体だ。が、俺はそれよりも別の話に集中している。


「というかそのようじょはなんだ?」


『ていうかマーリン、そいつ転生者ってマジ?』

「ああ、暗殺者A、Bはあっちで捕らえたらしい。」


『マジだよ〜、信じ難いことにねー、ただ精神に汚染があるからちょっときな臭いかなぁー』


流石の俺も聖徳太子の真似はきつい、というか二人の時点で既に厳しいのだ。十人など不可能だろう。俺は念話による通話と目の前の勇者というよりヤのつく自由業をやってそうな学生との会話に四苦八苦する。


「まあいい、本題は、『あんたが俺たちを元の世界に返してくれる』っていうのは本当なのか?」

『そういや、ヒミツなんかギルドから呼び出しくらってたよ?』


同時はもう無理です。


「・・・あー、俺はまだ術式を見せてもらってないからなんとも言えないが魔力があればそれで帰れると言うのは恐らく事実だ。」

『で、なんだって?呼び出し?なぜ?』


あっぶね、ギリギリ処理できた。


「そうか・・・じゃ、取り敢えず模擬戦でもしよう。」

『取りあえず迷宮都市に話を回してもらえるようにたのんどくねー』


喧騒が激しくなり、気がつけばもう昼過ぎ、飯時だ。


「ああ。」

『ああ。』


そして痛恨の返答ミス、今更慌てて変えるというのもあれだしなと逡巡するがそれ以前に空気が変わった。喧騒が静まる。というか勇者達の魔力が漏れ出して空間が歪みまくっている。ミシミシと嫌な音がするがそれをものともしない声が響く。


「受付番号二百番さーん!」


「あ、すまない俺の番だ。」


別れる前に一応アシェイラに受付を頼んでおいてよかった。まあ最初から混んでたしまさかそんな人数居たとは思わなかったけど…俺は手の中に正確に転移されて来ていた二百番と書かれた紙を確認して受付へ行く。


後ろから「模擬戦用訓練場で待っている。」と上から目線な声が聞こえたが、なんだろうか、無理している感じがする。まるで中二病じゃない人が中二病の真似をしてるみたいな無理の仕方だ。声の緊張、体の強張り、そして何より・・・


(お父様、あの人嘘をついてます、)


(やっぱり?)


(ええ、伊達で邪神界のトリックスターの能力を受け継いるわけではないですから。)


取り敢えず急いで居たので本人確認を超級冒険者章で通過し、サクサクと書類を作り明日あたりに迷宮探索者資格を取ることにした。ひとまず今日はここまで、なぜか専用受付がついたり、やばいものを見る目で見られたがどうということはない、よくあることだ。


受付を済また俺は魔力と気配での探知を実行、一応模擬戦用訓練場の場所は聞いたが複数あるらしく何番ですかと聞かれた時ちょっと焦った。

さて、それはそうと俺は第七番目の訓練場前にたどり着いた。が、俺にはもっときになることがあった。


「一体ここはどうなってんだ?」


ここは確実に冒険者ギルド内なのだが、それを踏まえた上で外観が酒場付きのちょっと大きめの戸建てだというのにキャメロットにあった冒険者ギルドに外付けされた訓練場と同じ規模のものが10個付いているというのだ。


「空間系魔法を常時発動しているのか?」


空間の広がりを作るのにはいくつかパターンがある。例えば俺の影の内部に部屋を作る魔法は、1から空間を作る創造系、魔力消費も多いが最も応用が効く。あとは落とし穴の様なあの罠の様に一定範囲の空間を引き延ばして広げる空間への干渉魔法や、かなり高位だが時間への干渉など様々だ。


(でもそういう割には魔力の動線や魔法式の発動状態ならではの独特の発光なんかが見受けられない・・・ん?)


もう一度周辺を魔力で探知する。そして恐ろしいことに気づいた。空間が全く不連続なのだ。コピーペーストを繰り返したような微妙な不揃いさ、そしてこれを成した魔法使いの腕に戦慄する。

つまりここは一見ただの扉に見せかけた全く別の異界へと続く扉なのだ。どう例えればいいだろうか・・・パソコンのメイン画面からショートカットを経由してそのプログラムを起動するのと似た感じだ。

つまりこの扉一つ一つがショートカット、そして開けて入ることで全く種類の違う空間への接続、プログラムの起動がなるのだ。そのほかの内部の設定は魔道具やなんかで調整しているのだろうが作ったやつは正気じゃない、マーリンの持つあの杖の様な異世界を10個も作ったということだ。・・・神かな?


「へぇー、よくできてるなー」


俺はひとしきり周辺の構造やノブのところにあった魔法陣を読み取って覚えておくことにした。


「さ、入るか。」


中はスタンダードな訓練場、ではなく道場の様な畳と木造の閉鎖空間だった。


「設定はヒットポイント性、気絶やなんかもありだ。」


そしてそこにはいつの間にか増えた高校生勇者達20人


「おー怖い怖い、」


「武装の使用はありだ。・・・因みにこれはただの私怨、ただの我儘だ。断ってくれても構わない。」


はて?なんの恨みだろうか、うーん、わからんな。


「よくわからんが、まあ君ら程度なら問題ない。」


俺はそう言い切り、周囲の気温が下がるのを感じながら、「あれっ挑発しすぎちゃった?」と内心汗をかいているのだった。

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