俺氏に厳しい祝勝会
なんと言うか最近無駄に大変な気がする。そもそも俺が旅に出ようと思った時に邪神は降りてくるし、結構強くて最終的に新しい左腕と元に戻った聖剣の力でゴリ押したもののそれまでにかかった負荷が高すぎて一ヶ月寝ちゃうし、月面は相変わらず地獄だし、帰って来たはいいものの武器を直そうと思ったら武器に取り込まれて武器を折られるし、
「未だ未成年ゆえ飲めないし…」
『お、お父様?目が、死んだ魚がドブに使った様な目をしているよ?』
未だ素の状態とぶりっ子モードが半々くらいの偶然生まれた剣の精霊、知性ある武器の透華、刀身は魔法的物理的共に持ち手から離れた状態で鞘から抜刀するか彼女もしくは俺に対する害意がある場合その刀身を展開する。
完璧に不可視だが、魔力も持たず物理的な質量すら不明なこの刀身は周囲の魔力を押しのけて存在しているため実はやろうと思えば視認できる。また、伸縮したり八つある全く同じ刃を虚空から出したり射出したりする場合発射点とそれの軌道はかなり容易にわかる。
不可視過ぎて逆に見えると言うちょっと残念に見えるこの武器だが意思があるので俺の意図しない、つまり相手にとっては完璧に死角となっている場所からや、思いもよらない場所からの攻撃、また八つある刀身はどれも伸縮自在で相当な強度があるため盾にもなる。
トリックスター的な奇抜さと汎用性、不意打ち力は相当だ。
「うぇ〜い!何死んだ魚見たいな目ぇしてんの〜?ウェヒヒw」
ドンと背中に衝撃、どうやらマーリンらしい。
ちょっと高級な酒場兼宿屋、まあ初日泊まった所を貸し切りにして今回の戦いで世話になったジャンヌやモードレッドと彼女の騎士達、アーサー、小夜、マーリン、ホーエンハイム、ガーランドと愉快な職人勢などなど邪教徒二人組とブロント以外全員に声をかけ俺の主催ということで祝勝会をしているのだ。
が、酒が飲める年齢の方々は初っ端、料理が来るより先に最高級のワインやらなんやらを軒並みのみあさり潰れかけ、酒が飲めない俺と小夜、ジャンヌ、この前の教訓から嗜む程度に抑えているアーサーちゃんまた一部の人間以外完璧に出来上がっており、酒に強いホーエンハイムはさっきから俺の後ろで高い料理を優雅に食べつつ俺をチラチラ見て来るし、ガーランドは樽を抱えて麦酒を大量消費中、マーリンはいつも通り・・・よりかなり酔っている様だ。
「ほれほれ〜」
一応私服、もといパーカーに着替えマーリンもかなりラフな格好だが背中に感じるのは少し柔らかい感じの膨らみ・・・ではなく、ほとんど肋骨だった。残念!
あとアーサーちゃんとホーエンハイムはさっきからグラスが壊れそうなくらい握っているがよく砕けないと感心する。なんというか二人の美女から素敵な視線を送られている今の状況だけで飯が食えそうだが、まあ、ここは一応祝勝会と現状報告会の場である。
「微少…小夜はもうだいぶ元に戻って来たな。」
「ええ、そうですね、今まではあんな変化はなかったので特に気にしていませんでしたが、親和性が高過ぎたのか、それとも神という存在が現実に簡単に干渉できる世界だからなのか・・・自分の能力についてもっと考えないといけないと思いましたね。」
「・・・というか素はアレなんだからせっかくだしあのま「アハハハハハ、何を言っているんですか?私は組織の次期当主、あんな醜態は見せて入られません、もし他言すれば・・・」」
暗にというか直接的に殺しに来そうなのでこの話題はやめよう。
「ジャンヌは・・・ていうかお付きの人はどうしたんだ?」
見ると招待をしたはずなんだが彼女の付き人兼秘書のようなことをしている騎士風の男がいない。
「ええ、彼は今ブロントについて行って聖騎士としての技量や心構えを盗みに行っているわ、ていうかあんたあんなブッ壊れな魔力放出とかできるなら最初からやりなさいよ!全く。もっと短期決戦なら発狂とかいう最悪な体験をしなくても済んだのよ!」
聞けば彼女のお付きの人は結構いるらしく。彼女が長のクラン、まあありがちな冒険者の作る互助会のようなもの、もあるらしく。今回の戦いでも救助や街の各部や障壁の強化に尽力してくれた・・・まあ、俺がここの地下のことをすっぽり忘れていたり、モードレッドたちの邪教徒締め出しがうまく行っていなかったりと外部より内部からの攻撃が多かったので大きな貢献には見えないが、彼らのおかげで建物の崩壊や火災などの二次災害を引き起こすことなく終わったのだ。
「ああ、なんというか面目無いな。」
それに彼女が言ったことは真理である。確かに俺がもっと左腕や聖剣との組み合わせなど様々な実験や策をねれば速攻かつ一撃でことが済んだ可能性もあるのだ。
まあ、言い訳かもしれないが実際今も左腕の機能を全て把握できているわけではない、例えば左腕の掌付近にある錬成陣のこと、これは結構印象的で覚えていたがそれが、何をどれぐらいの範囲で錬成できるのかについて実験していなかったし、魔力の圧縮による物質のハリボテ複製との差異などをもっと見たりしなければならないし、聖剣だってもう何年も使っていなかった上にそもそもこれに頼ると言うのは最終手段なので今回のようにポンポン解放すると言う経験がなかった。
「まあ、俺もまだまだ経験が足りないってことだよ。」
「ふん!超級冒険をやめて衛兵してたぶんのツケね!」
なんだろう、いやに饒舌だな。俺はちらりと彼女の手元を見て見るが何もない・・・おかしいな、今の会話中何故か彼女の吐息から酒気が検出できたような気が・・・
「ほれ。」
「ありがと…変わった味のブドウジュースね。」
「ねぇ、美味しいでしょ〜w」
犯人発見、マーリンだ。彼女の飲み物を徐々に酒にすると言う地味な作業を酔った状態でも敢行するとはさすが悪戯娘、いや、婆・・・
「ぶっ殺すぞ?」
べキィ!
首に細く白い腕が巻きつき酸素欠乏を狙ってくるがそれ以前に頸が折れそうな件について・・・と言うかライン切ってるはずだから読心術でも習得しているのか、それとも女の勘というやつか、
「はは、すまんすまん、」
強引に剥がしつつ。俺も飲み物・・・っと危ない。
「「「ッチ!」」」
どうしよう、気が重いんだが?




