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放浪系騎士の様なナニカの冒険記的なサムシング  作者: 名状し難い魔王
狂気的な日常のその向こうはやっぱり非日常な俺氏
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燃える三眼、這い寄る混沌4


男はその身の丈ほどの大剣をまるで小枝のように振り回し的確に急所を切り裂き、女は黒い瘴気のようなものを纏い全身に血を纏い、血を流し物理的な威力を伴った呪弾を放ち、男の仕留めた魔物や息のある弱った魔物を死霊術や傀儡術で強引に動かし爆裂させ戦って居た。

しかしその周辺に居た魔物は青白い燐光を放つナニカによって死体も残さず消滅し、あっけにとられる二人組、そこにやってきたのは明らかにそれをやったであろう青い燐光を纏ったヒミツだった。


「君らは・・・そうか、破壊神教徒、色々とちょっかいをかけてきた割にはうって変わってボランティアか、媚でも売りにきたのか?」


「なんだと…!」


憤る剣士の男だったが一瞬で間合いよりも内側に入られ転ばされる。


「ふむ・・・」


ヒミツはたやすく転がった大剣を持った男にはさほど興味を示さず、眼麗しいと言える女性の正面に立った。


「で、どう言う風の吹き回しだ暗殺者?」


そう、彼女こそがアーサー王暗殺事件の実行犯、聖剣を無理矢理に開放したヒミツと最初に戦った彼を聖剣使いと知る数少ない人物の一人であった。


「何、此度のことも先のことも全ては我らが破壊神様の神託よ、それ以上でもそれ以下でもない、それに・・・貴様もこんなところで止まっている時間はないはずだ。いずれ貴様を殺すが今ではないし貴様も今我らを殺す必要はない、わかっているのだろ?」


しかして、この前怒り狂いながらヒミツに悪戯のような嫌がらせをして居たのが嘘のように理知的な、そして合理的な物言いである。


「な!オイ!」


「黙れ脳筋、今の隙に何回殺されていると思っている。今の奴は人外どころではない、それがわかっているのだったら此処は、黙れ、殺すぞ?」


剣士風の男がその判断に声をあらだてるが女は明らかに男とは別次元の殺気を放ち、黙らせる。

それに対しヒミツは静かに答える。


「そうだな・・・今は構っている暇がないのは確かだ。」


そう言って一瞬彼らが死を幻視する程度の殺気を放ち二人ともの首にノータイムで剣を添えた。


「「ッ!!」」


しかしすぐに剣を下ろし、いつの間にか膝から崩れて居た彼らを見下ろして


「がこのまま殲滅に参加し続けなかったら灼き殺すからそのつもりでいろよ?」


斬り殺す価値も、そのような必要は今は無いと示すように鞘に剣を収め、影に消えて言った。


「・・・クソガァ!」


「・・・・」


彼らの理不尽な者に対する怒りは再び集まってきた魔物に向けられるのであった。



魔力というのは超高密度なエネルギー体であると同時に謎の現実改変、事象改変をする視認不可能な粒子状の物だ。しかし逆に考えればそれが視認可能なレベルに圧縮されそれが撒き散らされていればどうなるか、答えは簡単、事象改変などの余地を挟む間も無く凡ゆる物体を粉砕する不可避の暗器となる。


「ぬぅん!」


「暑苦しいのよ!燃えなさい!」


彼女ら超級の冒険者ともなるとある程度魔力を感じ取ることや、周囲の環境変化を瞬時に見抜けることが要求される。

そして大概は訓練や実直な技術と経験によって、稀にだが直感や持ち前の感性によってそれらを感じ取る。しかし、それは飽くまで平時の場合であって今回のような神話体験では周辺の魔力濃度が常に高くなってしまいほとんどそう言った繊細な感覚というのが感じ取れなくなってしまうのだ。故に、


「伏せてくれ。」


「「!?」」


背後に常に凶器じみた魔力の嵐を纏っている人物が近づいてきても気づかない、月が高くなるにつれ高まる魔力と反転し凡ゆる身体機能を通常の2倍まで引き上げているヒミツが右手を軽く振るうと周囲の魔物は消し飛び、残滓は月光と同じ燐光を放ちながら周囲をフヨフヨと漂う事で魔物を一定範囲内に侵入させない結界を作る。


「よかった。ずいぶん元気そうだな。」


ヒミツは血みどろの二人を見て少々心配して居たがその全てが返り血や既にふさがった傷であるのに気付き安堵する。


「そちらこそずいぶんと雰囲気が変わったな、なんというか、二つの相反する力が合わさり最強に見える、的な何かを感じる。」


「その頭悪そうな説明どうにかならないの?さっきも『黄金の鉄の塊!』とか、『バックステッポ!』とか、掛け声うるさいし。」


「・・・・」


まあ、元気そうでなによりである。


「二人とも、こいつらの発生源を発見した、おそらく下水・・・というか王都地下に広がる迷宮のような地下空間だ。証拠にそこに繋がる入口や排水溝なんかのどれもが破壊されたような痕がある。少なくともそこに何もないと言う事はないはずだ。」


とりあえず此処にきたのは軽い情報共有だ。いくら王都内の事象を把握しているからと言って現在仲間である彼らに話さないと言うのもおかしな話だからな。


「それは良いニュースだ。」


「が、もうそろそろ敵の力が最も高まる夜が本格的に訪れる。結界のみで耐えてはいるが魔法使いも限界だろう。私は防衛に向かう。守る事ぐらいしか能が無いのでな。」


なんと言うかこの男がキチンとやるべき事とやるべきで無いことをキチンと取捨選択できると言うのは意外だった。が、まあよく考えてみれば冒険者に必要なのはある意味謙虚さなのだろう。必要なものを選び取り自身のできることを考えて行動する。それが出来なければ無能もいいところだ。


「私もね、ぶっちゃけ攻撃型じゃ無いのよね〜」


とりあえず予想通り二人は自主的に防衛に回ったな、さっき見たマーリンの水晶では侍従長やアーサー、モードレッドは遊撃手として戦闘しながら逃げ遅れた住人を避難させているようだ。・・・俺のせいでは無いと思うのだがこの最悪な状況を予期して居ながら被害をもう少しでも減らせなかったのかとやるせなくなるなぁ。


「オーケー、城は頼んだ。冒険者最強の盾はどちらなのか期待しているよ。」


まあ、俺のやる事はただ一つ、ひとまず分霊であるニャルラトホテップの本体、正確にはこの世界に顕現した際の最も力ある個体を討伐する事だ。彼らの全ては本体で間違いないがやはり無限のものは存在しない、全てが本体ならその全てを潰せばいい、俺が目指すのは王都地下、恐らくだが邪教徒絡みの隠れ家かそれとも自身の異界を形成しているのか・・・もしくはその両方か、俺の強化された知覚には鼓動のような音が地下からせり上がってくるのを感じて居た。

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